1:陽キャギャルでオタCさん
今日も高校へと歩みを進める。
小中から高校生になった僕だが、地元で完結していた人間関係から今度は駅を利用しての少し距離の伴う人間関係の難しさに悩んでいる。
地元だったら声をかけなくても、地域の少し大きな公園や誰かの家で自然と集まり遊んでいた環境は如何に楽だったか…
今では率先して声を掛けたり、メッセ(連絡用スマホアプリ)のクラスグループに呼びかけないとそのままボッチコースだ。
孤高のボッチになるとそもそも声をかけられない、又はメッセのクラスグループに招待すらされない。
僕は見事に孤高の人となっていた。
格好良く孤高などと表現しても、実態はただクラスに上手く馴染めずボッチになっただけだけど。
しかし、最近は少しだけ足取りが軽くなっていたりする。
理由は…
「お、Aくんやっほぉー」
彼女、Cさんの存在だ。
クラスでボッチのライトノベル鑑賞会をしていたら、読んでいたライトノベルを知っていたとの事で通学途中で話しかけてくれた。
一昔前なら陰キャ特有の趣味だった物が、今では陽キャギャルにもオタク文化が浸透している世の中だと言う。
すげぇぜ陽キャ、すげぇぜライトノベル!
「お、おはよう、Cさん」
「声が小さいけど、挨拶をしっかり返せているので許してあげよう!」
最初の声掛け時、登校中で無防備だった僕が陽キャギャルのオーラにやられスルーした事を根に持っているCさん。
あの時は凄かった…駅から高校までの道で挨拶されたが気恥ずかしさでスルー。
そそくさと教室に入った後に、Cさんによる事ある毎に僕の名前を呼ぶ作戦が決行され、遂に僕が折れた。
陽キャギャルのコミュニケーションメンタルは強いようだ…
「ね、ね!そう言えばお隣小悪魔JKのコミカライズが出たんだって!見た?」
朝から元気なサブカル陰キャに優しいギャルだ。
「僕、原作派だから」
「でたぁ~、原作忠実再現派!漫画やアニメだと端折られたり、描写が変わってると原作愛からヤンデレになるやつー」
「原作ではそこに至る過程や環境描写が描かれてるのが変わるとどうしても脳内で作られたイメージとの齟齬がズレてしまってですね。コミカライズ、アニメで入った人には問題ないんでしょうけど、どうしても一度作られた脳内イメージがちらついて作品に集中できなくなってしまう弊害があr」
「オタク早口、良くないぞー」
うぐっ…
「私はコミカライズでイメージ補完も出来るから好き!まぁ、A君の原作愛に溢れる気持ちも良く分かるけどねー!」
整った顔にきらきらとしている笑顔…真っ向から陽キャギャル成分を浴びて顔を反らしてしまう。
「おーい?どうしたー?こっち向けよー?」
にやにやしながら言うCさん。
暫くの間、Cさんの顔を直視できず、赤らむ顔と耳を隠して登校するのであった。
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