第1話
…えーっと、自己紹介をしておこうか。
俺の名前はキューブ。
天才モンスター・テイマー、サーシャ・シュヴァルツシルトから生み出された幻獣であり、彼女の分身だ。
俺は自分自身のことをよく理解している。
自分の「能力」を誇りに思っているし、なんなら、自分の“才能”について鼻高々に言いふらしたいくらいだ。
それぐらい、自分が「何者か」を知っているつもりだった。
だが、どうだ?
最近になって気づいたんだが、世の中のトレンドはド派手なエフェクトの範囲攻撃魔法であったり、“とりあえず殴っとけ“的な脳筋体育会系のポンコツマインドだったりする。
地味な回復魔法や、強化系のサポート魔法なんて誰も見向きもしない。
とくに、「防御力」なんぞには。
あれもこれも、ハンター協会に現れた国際的大スター、“Mr.マックス“の登場によるところが大きいだろう。
最近じゃ、彼の活躍が民放のテレビでも放映されているほどだ。
彼は10年前に起こった”ある事件”を救った英雄として世間に認知されており、以来、グレンシティを代表するモンスター・テイマーとして、ハンター育成用のトレーニングジムを経営している実業家にもなっていた。