さ
それから、毎日楽しく書いていました。
以前からなろうは読んではいましたが、アカウントは持っておらず、1. 完結済みで、2. ランキングの上位に挙がっているものを、3. 上から読んでいく、という一番オーソドックスな読者でした。
星をつけようとか、レビューを書こうとか、感想を書こうとか、そういった発想すら頭にはなく、きっと何かの人気投票みたいなのでランキングに上がっているんだろうな程度の理解でした。
ですので、アクセス解析というものがあることは知らなかったのです。その機能を知ったのは、書き始めてしばらく経ってからのことでした。どうやら、どれくらいの人が私のページにアクセスしたか見ることができるらしい。そして、他の作者さんのアクセス数も見れるらしい。ということは、私のアクセス数も公開されるっているということ!?…恥ずかしすぎる。
試しにランキング上位の作品のアクセス数を何個か見てみました。
ズラリと並ぶ高得点。
「すごい!この点数。すごいというか、むしろ日本にここまで人口はいるのだろうか?えーと、星がつくと何点だから…」
…電卓片手に何度計算してみても違う数値が出てくるので、早々に諦めました。が、一つわかったことは、トップランナーの方々はとにかくすごいということ。
この天文学的数字の1000分の1でもいいから私の方に流れてくれないだろうか。
それまでは頓着せずのびのびと投稿してしましたが、怖いもの見たさで、ついつい自分のページのアクセス数を確認してしまう日々が続きました。
投稿した時間に10以下のアクセスがある程度。その中でも実際に読んでくれている方は半分以下ほど。
書くのは楽しい。物語を作るのも楽しい。でも、投稿するのが一番苦痛な時間になってしまいました。
アクセス0が続くのを見るのは精神力がゴリゴリと削られていきます。
始めて半年も経たないうちに煮詰まりました。
これだけたくさんの作品がなろうにはあるのに、私が投稿する意味はあるのだろうか?
そんな日々が続く中、ある作家様と出会いました。
私がその作家様(ここではエンジェル様と呼ばせていただきます。本当に天使のような人なのです。)の文章を目にしたのは、本当に偶然でした。
お便りコーナーというものがあるらしいと気づいたのは、数ヶ月経った後くらいのことでしょうか。
どうやら、書籍化された作家の方々がアドバイスをくれたり、メッセージをくれたりするコーナーらしいということで、何人かの作家様のおたよりを見させていただきました。
さすが人気の方々。すごいなの一言です。いやー、次元が違いすぎますなと思い、当時は落ち込んでいたこともあり、あまり積極的に見ることはありませんでした。ですがその日はふとお便りコーナーにアクセスしてみたのです。
そこで、エンジェル様のメッセージを拝読しました。
とても温かみのあるメッセージでした。読んだ後に、ほっこりと心が温かくなりました。文章から人柄の良さと温かさがにじみ出ていて、私はしばらくパソコンの前でポカンと画面を眺めていました。
「この方、とてもいい人そう。励まされたということを、お伝えしたい。でも、こんなぽっと出の知らない人から、何かを言われても引かれるだろうしな…どうしよう…うーん」
しばらく悩みましたが、それでもこの煮詰まった気持ちをほぐしてくれたエンジェル様に、どうしてもお礼が言いたくて不躾にもメッセージを送らせていただきました。
送ってから、案の定後悔しました。書籍化が決まったということは、大変お忙しいであろう
に、こんなわけのわからないメッセージを送られても、迷惑すぎるだろう…それからしばらくの間、申し訳なさすぎて自分のページを開くこともできませんでした。
でもそろそろ書きかけのお話をどうにかせんといかん、と勇気を振り絞って自分のページを開けてみたところ、なんとお返事をくれているではありませんか。
ドキドキしながらメッセージを開くと、丁寧な文章で綴られていたのは、私への励ましの言葉と、アドバイスでした。
なんと、わざわざ私のページまで来て、私の作品を読んでくれたとのことです。
「ごめんなさい。本当にそういうつもりじゃなかったんです。申し訳ない」と心の中で平謝りをしながら、私はエンジェル様からのメッセージを読みました。
読みながら涙がひっきりなしに溢れてきて、しまいにはしゃくり上げながら泣き出しました。
大人になっても、これだけ泣くことができるのだというくらい泣きました。
今まで投稿するという行為は、真空の中で声を張り上げるようなものでした。
自分の声も聞こえないし、もちろん誰かからの答えなんてない。
ですが、エンジェル様がお返事を返してくれたことで、私の声は誰かに届いているのだと初めて実感することができました。
グズグズに泣きながら「この方、なんて天使みたいないい人なんだろう。ネットは怖いところだと思ってたけど、こんないい人も中にはいるんだ」と思いました。
ツールがインターネットであれ、電話であれ、手紙であれ、最終的には人と人との繋がりなのだと、書くという行為の先には、人がいるのだと実感しました。それから、ありがたいことに、今でも交流を続けさせてもらっています。