表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/16

遂に王都

投稿の仕方忘れてた。今更説明を見つつ投稿してます。

  馬車の窓から見える、やたらと背の高い建物たち。そして、行き交う身なりの良い人々。

 

 

 というわけで、遂に王都だ!!

 ようやく着いた。···長かった。なんかもう一年くらいかかった気さえする。

 行き先に見えるのは、凝った造りで美しいと評判のファーム城。目に入ったときは違う意味で感動した。

 隣に座るエバがすまなそうに、

「俺のせいでごめんな」

「そうね」

 あたしは忖度一切無しで頷いた。だって、間違いなくこいつのせいだから。

 なんで往復でも一週間かからない距離に、片道半月かかって到着しなきゃならんのか。

 いや、別にこいつが自発的に旅を妨害したとかではないんだけど。

 エバは十八歳のイケメン。だけど、とにかく顔色が悪い。そして、とことん体が弱い。

 ちょっと走ったら倒れる。

 スクワットしたら寝込む。

 誰かを軽く平手打ちしただけで手首を脱臼する。

 ···あたしと出会う前、こいつはどうやって生きてきたんだろうか?と、心配になるくらい、弱い。

「我が君、もうすぐ着きますよ」

 そう声をかけてきたのは、ここまで護衛兼案内役をしてきた、ファームの宮廷魔道師、フェルだった。本名はフェルネなんとからしいが、そんな長いもん覚えられない。

 性格は、性悪。というより、エバ以外の人間が人間に見えてないんじゃないかと思える。そんな奴だ。

 とか思っていたら、馬車が停まった。まだ城までは広場を通っていかなければならない。

「ここから先は、王族以外は徒歩でというしきたりがあるので、歩かなければなりません」

 フェルが説明する。

「なんか意味あるの?」

 あたしは聞いたが、シカトされた。むかつく。

 奴はふわっとした動作で馬車から降りると(多分風魔法使ってる)、エバに手を差し出し、

「我が君、お手をどうぞ」

「ありがとう」

 まるでお姫様かと思うくらい大事に馬車から降ろす。まぁ、エバは転んだだけでも重傷になるから、気持ちはわからんでもない。

 あたしが呆れて見てると、エバが振り返って、

「アグネ」

 あたしに向かって手を差し出す。

 あたしがその手をとろうとすると、

「いい加減立場をわきまえろ。下衆が」

 べしっとフェルに手をはたき落とされる。

 うん。殴ろう。

 しかし、あたしの繰り出した拳は、フェルが周囲に纏わせた風に弾かれる。ちっ。

「二人とも、毎日喧嘩してるな」

 困ったよう笑ってエバが言う。

 確かに、あたしはフェルとどうにも相性が悪い。

 理由はもちろん、こいつが性悪なせいだ。

「この者の性根が腐りきっているからです」

「誰がだ!!」

 こいつに先に言われると心底腹が立つ。

 あたしは自力でしゅたっと馬車から飛び降りると、初めて見る王都を見回した。

 キョロキョロしてると、いかにもおのぼりさんだと思われるだろうな。まぁ、事実だけど。

 しかし、都会は、垢抜けたイケメンが多いけど、やっぱどいつもこいつもエバほどじゃないな。こいつは周囲に花とかキラキラが舞い踊ってそうな超絶イケメンだもの。青白いけど。

 ちなみに、あたしはと言えば、この半月でちゃんと食って寝て、少しだけ肉付きは良くなってきたが、未だに十九歳に見えないガリガリのチビだよ。この野郎。

 別に、胸がばいんばいんの美女になりたいとまでは言わないけど、せめてエバの隣に立ってもくすんで見えないくらいに···いや、ダメだ。それこそ絶世の美女レベルだ。

 あたしはため息をついた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ