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4,ねえ、(なんで)知ってる?

どうも皆さんおはこんにちばんは!怪物mercuryです!

ちょっと後書きに大事な発表するのでよろしくです。

 一応、言われた通り黙って一時間ほどフェンリルに乗ってやった結果、きちんと町に着いた。ここの街自体がグルって可能性もなくはないが、フェンリルが速度を落とすようなことはなかったし、教祖が今日中に追いついてくることはないだろう。


 奴らもフェンリルを持っているなら、カノンだけが戦場にフェンリルで突っ込むこともないしな。


「おいカノン、ここはなんて町だ。」


 牢獄の中には、脱出のヒントにされるといけないので、地図がなかった。それゆえ、ここら辺の地理に関しては全くの知識がないのだ。


「名前はソレイユだ。なかなか日が差さない土地であるから、太陽という意味を持っている。」


 やはり、こいつの言葉はある程度の信用度を持つし、寡黙なふりをしつつ、余分な知識を教えたがる。


 人間というのは教えたがりな生き物だが、それにしてもカノンは、教祖が言っていた「少数精鋭」には程遠い。特に「教えたがり」な人物像だ。


 ところで、教えたがりなやつはたいてい知識をため込みたがる。俺もその例に洩れないがな。そして先ほど「車」という単語を出した時、あいつは俺に車について質問しなかった。


 この時代に車があるとしたら、せいぜい時速15kmほどが限界なのに、だ。雪山なら、まずはしれないだろう。つまり、こいつは「雪山を走れる車」について知っているのではないだろうか。そんなの、現代の軍用車ぐらいだが。


 だが、聞いたところで俺に少なからず警戒しているこいつが話してくれるとも思わない。今も腕を組んでいるしな。


「それで、今日はどこに宿をとるんだ?こんな寒さの中で野宿なんてしたら、一日でドカンだぞ。」


 俺は大丈夫でも、さすがに町の人に申し訳ない。


「宿をとるに決まっているだろう。お前には部屋をやる。俺は馬小屋で寝るなんかあったら言え。」


 優しいのはいいけど、馬小屋でも十分死ねないか?あと、自分が寝ている間、俺が逃げたりしないかとか考えないのか?


「そんなことしたらお前が死ぬだろうが。」


「い、いや、そんなことお前に関係ないだろう。」


「俺の寝覚めが悪くなる。」


「う、うるさい。」


 顔を赤くしているが、こいつ、優しくされたことが少ないのだろうか。この年でフェンリルを乗りこなし、戦場に凸ってる時点でそこらへんは推して知るべし、だが。


「な、なら部屋を二つ取るのはどうだろう?」


 自分が仮にも拉致モドキしている相手に意見を聞くというのはどうだろう?


 こいつ、不安になるレベルのおバカちゃんなんだが。


「非効率だし旅費の無駄。同じ部屋でいいだろう。」


 もちろん見張りが馬鹿でいてくれるのに越したことはないから、指摘なんて絶対しないが。


「ふざけるな!汚らわしいっ!」


 別にふざけてなどいないのだが。それともあれか?囚人のように鉱山で働く人間が、ってことか?俺はそんなことはしていないし、基本的にはシャワーも風呂も部屋にあったんだが。


「シャワーならもう浴びてあるぞ?お前らに吹き飛ばされる前にな。」


 するとカノンはさらに、


「も、もう浴びてある!?気が早すぎだ!だいたい、俺とお前はあったばかりだろう!」


 本格的にこいつが何を言っているのかわからなくなってきた。赤い顔や、落ち着かない手の動きから、羞恥や焦りは読み取れるが、それにしても焦りすぎだ。


 ……まさか。


「お前、男色か?」


 この時代、文明レベルなら。男色は恥ずかしいこととされていてもおかしくはないし、もしかしたらこいつの宗教……あのヤバそうな教祖の言っていることを信じているのかどうかはともかく……的に良くないとされているのかもしれない。


 そしてこの予想はおそらく的中。顔の赤みが羞恥によるものから、怒りによるものに変わっていく。


「俺は別に気にしていないし、お前を襲う気もない。心配するな。」


 だが、これがいけなかったらしい。


「お、俺は!女だ!!」


 さすがの俺も驚き、しばらく宿屋の玄関口の時が止まった。





 こういうのは先に動くと暴力が飛んできそうな気がする。だから、しばらく時間停止に付き合ってやると、


「お、お前はこれでここに泊まれ!俺は野宿でいい!」


 と言って、逃げてしまった。俺の監視などはしなくてもいいのだろうか。


「すいません、これで一泊で。」


 俺はこの世界にきてほとんどの時間を塀の中で過ごしたため、外の常識などはよく知らない。こっそり牢内に金を持ち込んでいたほかの囚人がいたから単位がかろうじてわかる程度だ。奴らには感謝しなくてはな。


「こらこら、あなた、さっきの痴話げんかカップルの片割れでしょう?」


 店主はオネエだった。うん。それ以上に表現のしようがない。しいて言うなら、女装をするならもう少しクオリティにこだわったほうがいいぞ、という程度だ。


「別にそういうんじゃないですよ。」


 さすがに、「俺を牢獄から脱獄兼拉致したのがあいつですよ」とは言えない。


「そういうのじゃなくても、女の子を男の子と思っちゃうのは失礼でしょ?見つけて謝ってこれたら、タダで泊めてあ・げ・る♡」


 何がハートだ。ここの一泊の安さと、あいつを探す手間を考えたら、ここで一泊素直に払った方がいい。それに何より、俺は父さんを助けに行かないといけない。こんなところで体力を浪費することはない。


「なら一泊分の金を素直に払うので、素直に止めてください。」


「お姉さん、女の子を大事にしない子は止めてあげたくないなぁ。」


 どんなにさばを読んでもおじさんかおばさんだろ。


「俺も急ぎやらないといけないことがあるんです。」


「そうだ、なら、あの子を見つけてあげたら泊めてあげる!でも、そうでないなら野宿なさい!」


 本当に野宿してやろうとも思ったが、それで関係ない町の人が爆殺されたらかわいそうすぎる。


「じゃあほかの宿屋に……。」


「言っておくけど、こんな小さな町に二つも三つも宿屋はないわよ?」


 へいへい、わかりましたよーっと。


「いってらっしゃい!外は寒いからこれでも羽織りなさい!」


 宿屋の店主は毛布を投げてきてくれたが……サイズ的に、二人で身を寄せ合って入ってきなさいってことか?


 さて、カノンは割とすぐに見つかった。


 宿屋がもうないのであれば、一晩明かそうと思ったら、暖が取れる場所しかない。そして、人肌以上の暖が取れるのは……


「やはりここか。」


 先ほど、フェンリルの奴から降りたところ。普通サイズの厩には入りきらないので、大型の場所を借りていた。


「今更何の用だ。」


 カノンが敵意むき出しといった風に聞いてくる。申し訳ないが、こいつが女であることを利用しよう。今の第一目標は父さんの救出だ。


「さっきはすまなかった。助けてもらった時から、お前にずっと惹かれていて、立場的に、それを否定する理由を探していたんだ。」


「そんなの、俺を男と言う理由にはならないだろ!」


「お前が、かっこよすぎたってだけだ。」


「う、うるさ!」


 あとは、口をふさがせてもらう。もちろん口で。利用する様で本当に申し訳ないが、それでも父さんの救出にこいつとフェンリルの力があるかないかで、成功率は大きく変わってくる。


「すまない。だが、これが俺の気持ちだ。」


「う、うるさい……。」


 俺は口を離した後、毛布を半分掛けてやる。


「さあ、宿屋へ行こう。お前が望まないことはしない。同じ部屋だったとしてもな。」


「なら……俺は、お前に秘密をしたくない……って言ってもいいか?」


「俺と同じ気持ちでいてくれるのか?ありがとう。」


 さすがに、騙してしまって申し訳ない。でも、人の命には代えられないんだ。


「ほ、ほら!なんでも聞いてくれ!」


 言われてみれば女子丸出しの笑顔でアピールしてくる。今なら、聞いても大丈夫だろうか。


「なら……一つ、教えてくれ。」


 今なら聞いても大丈夫なはずだ。


「なんで車を知っている?」

ここまで読んでいただきありがとうございます!

実はですね、このシリーズ……相当にPVが伸びないんですよ。いや、びっくりするほどに。

なので、次話を持ちまして失踪させていただきます!

万が一、要望等がきましたら復活するかもなので、そのような(物好きな)人がいましたら、こちらの感想か、Twitterの方までお越しくださいませ。

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