3,危険がいっぱい脱獄のお時間
どうも皆さんおはこんにちばんは!怪物mercuryです!
今作の伸びが悪い!
いや、びっくりするほど伸びない!
ということで、皆様どんどんレビューとか書いて紹介してくださいな!(まあまだ三話だけど)
俺の平穏を無意味にぶち壊してくれたのは、俺が年に一度の誕生日ケーキを作らせて、おいしくいただこうとした時だった。
3歳で捕まってこのかた、16年間にわたりコックに指導し続けてきた最高の味を堪能しようと、箱に手を入れると、中にはケーキの代わりにダイナマイトが入っていた。
「ふぁっ!?」
とにかく慌てて、万が一の時のために部屋に用意させていた金庫に突っ込み、ドアを閉めて鍵をかけ、ダッシュで部屋から飛び出た。
「お、おまえ!何をしている!」
さすがに驚いた看守が俺に向かって槍を構える。
「落ち着け!俺の部屋に爆弾が送り込まれてきたんだ!俺はとにかく逃げるぞ!」
ここの看守たちは、俺ですらかわいそうなほど権限がない。例えば、俺を逃がしてはいけないけど、俺に触れる、俺の動きの邪魔をするなどは容認されていない。恨むなら、こんなところに配属にした上司を恨んでくれ。
だが、優秀かどうかはまた別の問題。その兵士は、あわてて魔法で動く通信機的なものに連絡を飛ばし、応援だけ呼ぶと俺の部屋に爆発物処理に向かった。
普通の異世界チーレム人間なら、ここで助けに戻るのだろう。でも俺は自分が爆発すると被害が拡大するので逃げさせていただきます。
途中、何人かの看守とすれ違ったのち、後ろの方で爆破音が聞こえてきた。ここの世界の爆発物処理は単純明快。
地面に埋めて導火線から火をつける。黒色火薬と呼ばれるこの世界の火薬には、その程度の処理で十分以上だった。
「にしても、爆発音なんか大きくね?」
それに、冷静に考えたらこの時代にダイナマイトなんてあるもんなのか?
歴史や技術の発展というのは、たしかに先人たちが積み上げたものだが、ダイナマイトのような画期的な発明は、ノーベルのような一人の天才によってもたらされることが多い。
「ていうことは、この世界にはすでにノーベルレベルの天才が生まれているってことか?」
なんか引っ掛かるが、今は独り言をしている時ではない。前方に人だかり。看守と、何人かの大人たち。みんな手には武器。
逃げたい。だが、次の言葉が聞こえてきたので、そういうわけにもいかなくなった。
「いい加減、息子を返せぇ!」
父さんの声だ。いや、助けに来てくれたことはうれしいが、あまり無茶するなよ?俺の今の年を考えると、結構いい歳してるんだからさ。
父さんの他にも、フードをかぶって仮面をつけた真っ黒い悪趣味のローブ男が一人、看守に取り寄せさせた本に載ってたフェンリルとかいう巨大オオカミに乗っている、ポンチョを羽織った小柄な少年が一人、それ以外は普通の風貌だ。戦場での、だが。
まあ要するに、普通に顔を隠し、普通に剣を右手に盾を左手に、と言ったところだ。
「くそ、たかが数人、なぜ止まらない!」
「意地でも通すな!あいつを殺されたら、俺らだって死体も残らねえぞ!」
看守たちの怒鳴り声が聞こえる。恐らく、「あいつ」というのは死んだら爆発する俺のことだ。
「教祖様、なかなか奥に入り込めません!」
「少数精鋭できたから仕方ない。不死鳥様はいまケガをして部屋から動いていないはずだ!」
教祖様と呼ばれた男は、仮面で声をくぐもらせつつも、不穏なことを言ってくる。爆弾を仕掛けてくれちゃったのはあいつか。
でも、父さんはあいつとともに行動している。三歳までしか一緒にいなかったから、多くを知っているわけではないが、家族を爆破するような人間ではない。仮面の奴、父さんに黙って俺を爆破したな。
「つまり、この戦いは俺が出ていけば止むんだな。」
こんなんで死者を出されたら、寝覚めが悪すぎる。だからこそ出ていったのだが、そこでみんなの動きが止まった。
「久しぶり、父さん。」
まずは顔がわかる父さんに声をかけると、
「ハジメ!」
おいおい、大の大人が顔ぐしゃぐしゃにして泣くなよな。そういえば、俺の名前が元の世界と同じなのはなんか意味があるのかね。
「ハジメ……だと……?」
仮面の男が反応した。
「くそ、本当に出て来やがった。」
悪態をついたのはフェンリルに乗っている少年だ。声変わりもまだじゃん。こんな子を死地に連れてくるなよな。
次に動いたのは、仮面の男だった。なんと俺とはまだ十分に距離があるうちに、父さんの頭を後ろから殴ったのだ。
「がはっ!」
「父さん!」
声をかけるが、ピクリとも動かない。父さんは丈夫な人間だから、殴ったぐらいじゃ死にはしないだろうが、しばらくは動けないだろう。
「カノン、プランBだ!」
仮面の男が叫び、それと同時にフェンリルに乗っていた少年と周りの男たちが動き出す。
フェンリルに乗っている少年がこちらへ来た。ヤバい。まさか殺しはしないだろうが、とてもじゃないが丁重なおもてなしってわけでもなさそうだぞ。でも巨大オオカミ相手に人間ごときが逃げられるわけないしなぁ。
不幸中の幸いで、少年がロープを投げてくれた。フェンリルに噛ませて運ばせるのはさすがに怖すぎるからな。俺にとっても、その子にとっても。
「何ぼーっとしてるんだ、早く乗れ!」
まったく、普通の人は巨大オオカミに飛び乗る練習なんてしてないっての。
「あとで覚えてろよ!」
冷静になれ、ハジメ。こいつも父さんの仇の一味だろうが。今ここで暴れたら最悪フェンリルに殺されてしまうかもしれない。そうしたらすべてがオシャカだ。
「落ち着け。俺はお前の味方だ。」
大人ぶりたいのか、わざと低い声を出しているかのような少年は、俺の耳元にささやきかけてくる。
「父s……タロウ……あー、えっと、あの教祖から逃げるぞ。あいつはやばい。」
なるほど、あいつの息子か。そして名前はタロウね。後ろから頭殴ったやつの息子を自分の息子にさらわせるとは、良い趣味してるな。
「カノンってのはお前だろ。俺をこれからどこにつれていくつもりだ。あいつが『教祖』なら『教会』でもあるのか?」
「あるけど違う。俺も、あいつのところはもううんざりなんでな。」
もうすでにそこそこ離れたところで、父さんが看守に捕まるところと、仮面の男たちの撤退戦がみえた。
「いいか、今から俺らは町に向かう。お前の囚人用の服だと目立つから、ここでこれに着替えろ。」
どうでもいいけど、こんなところで服を着替えろと?極寒ですが。
「男だろ。黙って着替えろ。着替え方は見ればわかるだろ。」
へいへい、短気は損気って言葉をあとで教えてやろう。
「ここからフェイル……このフェンリルに乗って1時間ぐらいのところに町がある。まずはそこで一泊するぞ。」
もうなんか成り行きだよな。俺が殺されることはまずないだろうが、それでも用心に越したことはないだろうしな。
「俺を信用しているのか?」
少年……カノンが聞いてきた。
「そんなわけないだろ。ただ、このフェンリルの速度を見るに、こいつであと1時間もいけば、教祖が追ってくるまでに1日はかかるだろう。夜を含めて考えラバ、もっとかかるかもしれない。車でもない限りな。」
「そうか。ならばフェイルに乗れ。時間は多くはないだろ。」
そういうと俺に背を向けてフェンリルにまたがり、俺に手を差し伸べてくる。
俺はその手を取ると、フェンリルに乗った。
やはり……そうだ。カノンは、あることを俺に隠している。さっきの反応で確信した。こいつは……。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
そろそろ爆破しようかなぁ、やっぱりやめようかなぁ、と。
ちなみに今作はチーはしてもレムはするつもりないのでよろしくです!




