1,弱体化スキル、ゲットだぜ
初めての方は初めまして!
そうでない方はおはこんにちばんは!
怪物mercuryです!
今回はチートものを書きたくなった……ので、書きました。
ハーレムはたぶん作らないのでご安心を!
今後とも、よろしくお願いします!
心理学者だった父の兄、俺にとってのおじさんが死んでから、どうも世界は面白くない。俺は世にも珍しいおじさんっ子で、いつもお世話になっていたから、うなずけない話でもないか。
いかんいかん。夜は考えが暗くなりがちだな。
「ハジメ、兄さんの3周忌、もちろん行くよな。」
父さんが声をかけてきた。
「当然。来週の日曜でしょ。」
正直言って、気が重いのはまだ悲しいからだろう。
「そうだ。そこは予定入れるなよ。」
当然だ。今の俺の生き方は、誰よりもおじさんの影響を受けている。
もちろん、父さんたちが嫌だとか、そういうわけではない。ただ、共働きの両親がずっと俺を預けていた、心理学者兼実質ニートのおじさんが俺の生き方に大きく影響を与えているというだけだ。
「いいかハジメ、死んじゃ何にもならないから、まずはうまく生き延びてみろよ。」
そういった本人は、道でトラックに轢かれそうになったお姉さんを助けて死んでいるんだから、かっこいいのか悪いのか、締まりのない人だ。
「あとなハジメ。生きているうちはなるだけ笑うといい。人生、生きて笑ったやつが勝ちなんだ。」
おじさんは、自分が死んだらそれに適当な理由をつけて笑えと言った。まったく、お人よしなんだか何だかわからない人だ。
でも、偉大な人だ。俺は今もそう思っている。
翌朝。
「いってきます。」
おじさんの仏壇に手を合わせ、家族の中で最後に家を出る。父さんも母さんも家を出るのが早いから、仕方ない。
俺の専攻したいのは心理学。そのためにわざわざ文学部に進んだ。母さんには、就職の関係で反対されたが、自分がやりたいことを学べずに何が大学だろう。
大学に向かう途中、いつもひやひやさせられる交差点がある。狭い道なのにミラーすらなく、しかもトラックがバンバン走っている。
この日は運が悪く、この交差点の少し前におじさんのことを思い出していた。そのせいでトラックに轢かれてしまうとは。師弟そろってバカばっかな心理学者なのかもしれない。
知らない天井だ……。
言ってみたいセリフというのは誰にでもあるはずだが、それを実践しないといけない状況というのはそう陥りたいものではない。
そういえばあの映画、最後はどうなったんだろう。ガチのファンではなかったが、結末は気になる。
「よしよし、いいこでちゅねー!」
誰かに抱き上げられる。力が入らない上に、やけに簡単に抱き上げられてしまった。
あーこれ、異世界転生という奴ではないだろうか。数は少ないが良質な友人たちの一人が、こういったものが好きだった。心理学的に見るなら、それは現実への不満感と……って、そんなことはどうでもいい。
「だーうーこーだー!(どういうことだ!?)」
うん、舌がうまく回らなかった。そういうこともあるさ。状況的に見ても、今の俺は赤ちゃんらしいし。
なんで慌てないのかって?慌てたって仕方ないだろ。
「じゃあ、スキルの鑑定をしましょうねー。」
この赤ちゃん……俺の新しい母さんが俺を抱き上げ、水晶玉のようなものを目の前に持ってくる。触れってことなのかな。
よいしょっと。
赤ちゃんは力も入りにくいから、手を上げるのすら大変だ。水晶玉を掴むと、中に「不死鳥」と表示された。友人の話を聞き流してしまっていたが、これはおそらく、異世界に行くともらえるスキルとか言う奴だろう。
冷静に考えれば、そんな非科学的なモノ……いや、物理法則から違うのかもしれない。それなら考えるだけ無駄か。
「ひゃぁっ!」
俺を抱き上げていた母さんが俺を落としかけ……いや、落とした。ベットの上に。
赤ちゃんというのは、普通に人が思っているよりずっと頑丈な生き物だが、だからと言って落とすのはやめてほしい。まあ、今の声的に何か驚くことがあったのだろう。
続きの文字が表示される。
「ケガ、病気、呪い、毒、寿命、あるいはその他の理由により死亡あるいはそれに準ずる状態になった時、半径5kmを燃焼して復活。」
わあいさいきょうだあ……なんて言っていられないだろ。ナニコレどういうこと?
さっきの母さんの衝撃も納得だよ。うっかり死にかけたりしたら、周りの人間とかその他すべて燃やして復活するってことだろ?なんちゅう迷惑スキル。
「なんだってぇっ!?」
向こうからおそらく新しい父さんの声が聞こえてくる。もちろんながら驚いているようだ。
……というか、要するに家のベッドに赤ちゃん型核爆弾が鎮座しているのと似たようなものか。確かにそりゃ困るな。
先ほどの母さんの服装や周りに見える家の調度品、家そのものから、おそらくここが異世界モノの定番、中世ヨーロッパに近い世界であることが予測できる。生活状況は、農村の中では金持ちってことか。本棚とかはないけど、こぎれいな家だし。
「あえ。おーうーあ。(さて。どうするか。)」
逃げられるほどの力もない。というか無理をして爆発したら大変だ。
うっかりベッドから落ちて村が一つ消える、なんてなったら笑えない。
「こちらです!」
「おお、神よ!」
この時代の人間の特徴だ。何でもかんでも神に頼るし、神の言ってることは大体正しい。俺的に言わせてもらえば、そもそも他人の言うことを丸のみにするなって話だが……。
「このスキルのことについて、箝口令を布く!」
新しい父さんがそう言って、みんなが頭を下げる……と言っても、新しい母さんと一人のお手伝いさんだけだが。
でもって、俺が今牢獄にいる理由を説明しよう。もちろん、深いわけがある。奇跡的に一回も爆発しなかったが。
まあ、要約するとお手伝いさんが裏切った。まあ誰だって、超威力爆弾と一つ屋根の下に暮らしたくはないわな。
お偉いさんみたいな感じの人がたくさん来て、父さんが抵抗したけど、数の暴力で捕まった。俺も暴れてもよかったんだけど、万が一それで爆発したら大変だろ?
そして俺は北の果てにある、凶悪犯罪者のみが集まる牢獄にぶち込まれた。現代風に言うなら、シベリア送りにされた、というとわかりやすいかもしれない。
3歳の子供を入れるべきかどうか、という話題は置いとくとしてだが。
さて、そんな凶悪犯罪者共の巣窟に入れられた俺はどうなったかというと、徹底的にハブられた。そりゃそうだ。誰だってこんな人間爆弾といつ死ぬかわからない牢獄生活をすごしたくない。
もちろん、凶悪犯罪者が集まるだけあって、結構な頻度で殺し合いが起こる。でも、俺が行くと鎮まる。
おかげさまで生まれてこの方ケガしてないね。
「どいつもこいつも、俺のこと怖がりすぎだろ。」
おかげさまで健康に育ち、言葉はしゃべれるようになった。
さて、俺の優雅な牢獄暮らしでも解説してやりますかね。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
ハジメ君をいつ爆破するか考えている今日この頃……
爆破するかどうかも含め、ゆっくりしたペースで考えていきます!
よろしくお願いします!