閑話 〜扱き〜
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…………
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「起きんかっ!!!」
ドカッ
「〜〜〜〜っ!?」
寝ている俺は腹部に強烈な痛みを覚え、目が覚める。
いってぇなっ!
どこのどいつ────だ?!
「────!?」
俺の目の前にいたのは見た目スマートなナイスガイなおっさんだった。
「うむ、やっと起きたか! さぁ、始めるぞっ! お前を厄災とやり合えるぐらい強くする──「ストップっ!」──なんだ?」
「これやらないとダメなのか?」
「別にやらんくてもかまわんが────このままだとお前ら住んでるとこ滅ぶぞ? 対応可能なのは今の所、お前含めて数人ってとこだな。討伐は今のままだと無理だな。ちなみに今のお前だと────お前以外は全員死ぬ。ほれ、とりあえず、かかってこいっ!」
「────!? この馬鹿力がっ!」
どこから出したかわからない刀を片手に斬りかかってくる男。
俺は蛇腹鎖で即対応するが────
────そのままガードの上から吹き飛ばされる。
「弱い……弱すぎる……お前は努力を怠って恋人達を亡くし、孤独に生きるがいい」
この野郎────
「九尾っ! 行けっ!」
俺は九尾を召喚し、襲わせ────男の周囲に黒鎖を出して捕縛しにかかる。
「甘いっ!」
男は一瞬に黒鎖を粉々し、九尾を弾き飛ばされるが、俺のターンは終わらない。
「お前もなっ! 【爆鎖】」
このまま、俺もただでやられない────
粉々になった鎖には予め、爆鎖を発動していた。
その結果────
俺の言葉と共に、男の周囲は爆発音が響き渡る。
更に追い討ちで二本の【穿通鎖】を両手から射出す──
「うざってぇーーなっ! おらっ!!!」
左手の拳を突き上げた瞬間に衝撃波が巻き起こり────上空に全てが投げ出される。
「────なっ!?」
あまりの出来事に一瞬唖然とする。
「中々やるじゃねぇか! まだまだ甘いが────ちっ、喋ってる途中に攻撃するのはマナー違反じゃねぇか?」
俺の鎖が再度、捕縛する為に襲いかかるが刀に絡みとられ無効化される。
「知るかっ! 俺の爺ちゃんは油断してる奴が悪いと言ってたからな! それよりお前倒せば、ここから出れるんだろ? なら攻撃するだろ? だから俺をさっさとアナの場所に戻しやがれ!!!」
「お前の爺さん中々良い事言うじゃねぇか。楽しめそうだな。確かに俺を倒せればここから出れるが────倒せればな?」
男はお前には無理だがなと言わんばかりに挑発する。
こんな所で時間を無駄に出来るかっ!
たとえ相手が神であろうと俺の道を塞ぐなら────突破するのみっ!!!
俺は早く琴音──いや、アナに会いたいんだっ!
「うおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
俺の雄叫びに呼応するように黒鎖が俺の腕に絡みつき────周囲を鎖が浮遊する。
今までに無いぐらい鎖とリンクしているのがわかる────これなら例え誰が相手でも行けそうだ────
「ふむ、纏衣をマスターしたか……「愛の力だっ!」……とりあえず、お手並拝見だ────見せてやろう……【戦神】の力を────飛燕乱舞────」
前面から斬撃が飛んでくる────
これは────アリスの使っていた刹那か!? 数が多すぎるぞ!?
俺は右手を前方に出し、鎖を出すよう念じると────
────大量の鎖が束になり、面攻撃となり放出される。
なにこれ!?
蛇口を絞らずに水を出すような感覚に落ち入る。
それらは戦神に向かうと飛燕乱舞と衝突し──
──中間地点では激しい衝撃音が響き渡る。
鎖を出し続けている俺の方に部が有るはず────
「まだまだ制御が甘い────ほれっ、一閃っ」
その言葉と共に強烈な薙ぎ払いが繰り出され、鎖もろとも俺はふきとばされる。
「いつつ────!? 九尾っ!」
俺は直ぐに体勢を整え、前を向くと────既に目の前まで男は来ていた。
九尾を放ち、俺はバックステップで下がる。
「ちょっと大人しくしとけ────」
九尾は掴まれ動かなくなり、そのまま地面に落ちる。
何が起こった!?
「九尾っ!」
呼び掛けにも反応はない。
「さぁ、お前の愛の力だっけ? 見せてみろ」
「しかと刮目しやがれっ! 俺の────愛の力を!」
「ぶっは、はっはっはっ────お前それ言ってて恥ずかしくねぇのか? くっくっくっ、俺は笑い死にしそうだ。お笑いの才能に目覚めたのか? それに纏衣を使いこなせねぇと俺に届かねぇぞ? 早く愛の力──見せてくれよ? ぷくくくっ」
笑うのを我慢しようとしているのはわかるが、台詞の所々で吹き出している戦神。
うっさいわっ!
この纏衣って奴は制御が難しい。魔力の込め具合を精密に行わなければ────制御が外れる。
慣れるしかない────俺は精神を落ち着かせる。
明鏡止水だ。
「ほぅ……」
俺の周りの鎖が段々と俺の意思通りに動くようになる。腕から無造作に出された鎖も今は本数を抑えて出せている。
これなら────
「────行くぞっ」
今度は俺の意思通りに全ての鎖が動き始める。周りの浮遊している鎖は常時防御に回し、手から発動している鎖は先程のような束になり、面になる程出ていないので、散らばらせ、男の全方向から襲わせる。
「少しはマシになったか……そのまま愛の──ぶっ──力を見せるが良い」
「もうそれやめてくれませんかねっ!?」
「ぶっ、お前から言い出しただろうが。その愛の力で俺に攻撃当てれたらやめてやるよ」
「────ぜってぇー潰すっ!!!」
………
……………
……………………
…………………………
その結果、俺はズタボロにされた。
もはや、次元が違う戦闘だったと明記しておく。
攻撃をすれば、刀で弾かれ、囲もうとしても即座に対応される。不意打ちに近い攻撃も難無く躱され、どんな技を使ってもどうにもならなかった。
こいつに攻撃を当てれる奴はいないんじゃないのかと思うぐらいだった。
そもそも地力が全然違う。
結局、こちらの攻撃は一切触れる事はなかった。
向こうが本格的に攻撃に移った瞬間────俺は細切れにされたり、真っ二つにされたりと即死攻撃を連発された。
笑いながら俺を殺す姿はまさしく鬼だ。
散々殺された後、戦闘は終わった。
今はちょっとした休憩なのだろう。
戦神と名乗った神は考え事をしている。
俺は周りの大草原を見ながら────即死回避や超回復が発動している事が疑問に感じていた。
……ここって精神世界じゃないのか?
転移したのか??
「なぁ、ちょっといいか?」
「なんだぁ? 俺は今お前をどう扱くか考えている所なんだか?」
こいつ、俺を帰す気ないな。きっと地獄のような未来が待っているんだろうなぁ。
俺は遠い目をする。
「ここって、現実世界なのか?」
「そういえば、なんの説明もしてなかったな。ここは現実世界みたいなもんだ────と言ってもお前の体は試練の洞窟にあるがな」
「意味わかんねーよ」
体が向こうにあるなら精神世界じゃないのか?
「爺さんが、精神を具現化させる世界を作ったって所だな。今もこの世界維持するのに必死こいてるはずだぜ?」
「あの爺さん、マジで神様なのね……」
ノリの良い爺さんの認識しかなかったな。
「まぁ、お前はここで修行してもらう。時間軸が違うから向こうじゃさっと────100秒ぐらいだな。約千年頑張ればお前もまともになるだろ。頑張れ!」
100秒か……なら問題ないか?
って────千年だとっ!? こんな鬼の化身のような化け物にずっと殺され続けるってことか!?
ここは試練の場ではない────きっと地獄だ……。
「そんな、しけた顔してんなよ。お前超ラッキーなんだぞ? 俺直々に教えるなんて滅多にないんだからな? ほれ喜べ────」
「ぐっ……いきなり首跳ねる奴を相手にどう喜べと?!」
首が痛い。この扱いだけで、嫌な未来しか想像できない。
「恩恵か……そこまで成長させるとは……お前どんだけ死んでるんだよ……千年で足りるか不安になってきたわ……」
「恩恵ってやっぱり使えば使うほど成長するんだな。────でもこれ副作用あるんじゃないのか? 呪いにしか感じない時あるんだが……」
「────それはいずれわかるかもしれないし、わからないかもしれない。俺には答えられる権限がない。神の決まりって奴だな。神会議で決まった奴だ」
ここでも神会議かよ!? こいつらの会議どうなってんのか知りたくなってきたわ!!!
「そうか……俺は強くなる必要があるのか? このままのんびり暮らしたいんだが?」
「そういや、爺さんから聞けずじまいだったな。今更だが────恋人との再会おめでとう。あの結婚式は良かったぞ? 神連中が全員見てたからな。爺さん空気読めねぇから、あの後女神達にボコられてたけどな。ざまぁ」
はぁ!? あれ神連中に見られてたの!? めっちゃ恥ずかしいじゃないか!?
確かに爺さん空気読めてなかったな。女神様方ありがとう!
「話続けるぞ? お前が選ばれた理由だが────単純に織田賢治の血縁だからだ」
「それだけ?」
「それだけ。お前の祖父生きてる時は訓練ばっかだったろ? お前がこの世界に来る事が────予め決まっている事を知っていたからな」
「言いたい事はたくさんあるが────1番気になるのは、爺ちゃん何者!?」
「生きてりゃ、そのうちわかる。さぁ、これからは俺の事を師匠と呼べ」
「はっ?」
ヒュン
「師匠と呼べ」
「えっ?」
ヒュン
「だから師匠だ」
「さっきから────切り刻むのやめてくれませんかね? 痛いんですが!?」
「師匠と呼ばんかぁぁぁぁっ!!!」
「呼ばせてみろやぁぁぁぁっ!!!」
こうして、俺の地獄の日々が始まった────
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