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かつての幸せを捕縛するっ!

『さぁ、呆けておるでないわっ! 結婚式するぞい?』


「「あっ、はいっ」」


 俺達の返事に神様の爺さんは満足げに笑みを浮かべる。


 しかし、ここ何処なんだ? さっきまで記憶の中にいたんじゃないのか?


『これっ、雑念を捨てぇいっ!』


 そんな事言われてもな……。気になる物は気になる。


「正一さん? 神様が結婚式してくれるって言ってくれてるんですよ? 今だけは私の事、考えてくれません??」


「────!? そうだな……すまない。爺さん、頼むわ」


 上目遣いでお願いされた俺は了承し、爺さんに頼む。


『扱いが雑じゃの……お主の幸せを願っておる者からの願いじゃなかったらやらん所じゃの……では、始めるかの……』


 だって、異世界に転生してから、変な事に巻き込まれてばっかりなんだぞ? 転生先が開拓村とかハードすぎだろ!?


 それに幸せを願ってるの誰なんだよ!?


 ────つ!?


 雰囲気が変わった。


 爺さんから神々しいオーラが出される。


 そういえば、爺さん……神様だったな。


 俺と琴音は爺さんを見つめると────普通の話し方で言葉を紡ぎ出す。


『新郎──正一、あなたはここにいる新婦──琴音を、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しいときも、妻として愛し、敬い、いつくしむことを誓いますか?』


「はいっ」


 俺は照れながら返事をする。


『新婦──琴音、あなたはここにいる新郎──正一を、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しいときも、妻として愛し、敬い、いつくしむことを誓いますか?』


「はい」


 琴音もはにかみながら返事をする。


『では────誓いのキスを』



 俺達は見つめ合い────



 ────唇を交わす。



 頬を赤らめて嬉しそうに笑う琴音は本当に可愛く────綺麗だ。



『うむうむ、これで────2人は夫婦じゃ! これからは一緒におるのじゃぞ? ()()()()()()()()()()()()


 かつて────約束した結婚式……。


 前世では叶わなかった結婚式……。


 前世で結ばれなかった俺達は……今世でも────


 ────出会えた。


 この瞬間────俺は過去に失った幸せを掴み取った。


「今世では必ず────必ず……ずっと、一緒にいような。琴音……いや、アナ……」


「ありがとう……正一さん……いえ、レオ。例え私が()()死んでも、自分を責めないでね?」


 先程までの嬉しそうな表情ではなく、まるで自分がまた死ぬかもしれないと言葉を繰り出すアナスタシアに俺は────


「あぁ、責めない……、でも────アナは俺が絶対死なせないっ! 俺が絶対に守るからなっ! だから────死ぬとか言うな!」


 ────絶対に死なせないと揺るぎない覚悟で伝える。


「じゃあ、信じてるからね? 目一杯幸せになって行こうね?」


 花が咲いたような笑顔になったアナスタシアは、俺を信じてくれたようだ。ただ、その時のアナスタシアの笑顔に影がさした気がした。


 不安に思う()()があるのかもしれない。


 そんな、アナスタシアの不安を払拭する為────


「当然っ! 俺がお前の笑顔を守るよっ!」


 自信満々に答える。


 幸せって何だろう?


 そう────ふと思う。


 今回、記憶を完全に取り戻した俺には────幸せという物がなんとなくしかわからない。


 だって、前世では幸せになれずに死んだから……。


 だけど、もう失うのは嫌だ……。


 これから幸せってのがわかるのだろうか?


 ただ、この笑顔を見てると俺は胸がいっぱいになる。


 その笑顔が続くのが幸せの証だと、今はそう思う事にした。


 この気持ちが幸せなんだろか?


 この気持ちがきっと────幸せに繋がる物なのだろうか?


 いつかきっと、俺は自分なりの幸せを──



 ──母さん、ゼドに約束した幸せを──



 ──────手に入れたい!



 俺達はお互いの存在を確かめ合い、抱きしめ合う。



 今はこの再会の余韻に浸りたい……。






『口から砂糖が出そうじゃの……』



 おい、そこっ! 空気読めよっ!

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