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肉ゲットだぜっ!

「レオン凄いな……魔法を発動させるまで、けっこう訓練しないとダメなはずなんだが……しかも、鎖魔法使えるとは……将来大物かもな」


 魔法を発動させた俺を見ながら、唖然と呟く父さんは遠い目をしていた……。


「父さん!俺も狩りが手伝えるよ!」


「そうだな……レオン、鎖を伸ばせる所まで伸ばしてくれるか?」


 言われた通り、伸ばせる範囲で伸ばすようにしたら、50メートルほど伸ばせる事が可能だった。


「マジか……その年で俺と同じぐらい伸ばせるとは……レオン、この事は大きくなるまで内緒にしておきなさい。俺と一緒の時しか使わないように。それと狩りも許可しよう。それだけ伸ばせるなら問題なさそうだ。父さんは基本一人で狩りする時は遠くからしか攻撃しないからな」


 俺は頷く。


 やはり、父さんは安全を確保しながら狩りをしているのか。


 そして、狩りを継続する。


 ──出るのはゴブリンが多い。たまに狼らしき魔物も現れるが、基本的に遠距離から先端を尖らせた鎖を脳天に向かって放ち──絶命させている。


 特に命を奪う行動で気持ち悪くなるという事はなく。作業のように殺していった。


 とりあえず今はお肉だ! お肉が現れない……愛しいタンパク質……。


 これだけ食えない奴らばかりとは……。


「父さん、狩り失敗?」


「レオン、そんな日もある……というか俺は狩人じゃないから獲物がいる場所がわからん……こうやって適当に歩きながら見つけている……」


 そりゃー、専門の知識がないなら食卓にお肉が並ばないわな……そもそもこんな荒野みたいな場所に食えそうな獲物なんて来ないだろ!? 普通は森とか行かね!?


「母さん、がっかりしないかな?」


「うっ……せめて、兎でもいればいいんだが……」


「さっきからゴブリンと狼ばっかりだね……狼食えないし……ん?」


 ふと、空を見上げると大きな鳥がいた。


「父さん、上に大きな鳥がいるけど捕まえる?」


 それと同時に見上げる父さんは顔色を変える。


「レオン、まずいぞ! あれはロックバードだ! 逃げるぞ! 討伐ランクCの強敵だ!」


 へぇ〜、討伐ランクとかあるんだな。Cって事は中々高めだな。父さんも焦ってるし、どうするかな……。


 ってか、あれだけ大きかったら肉食い放題じゃね?


 それに逃げるって言われても────既にあの鳥は俺達ロックオンしてるぞ? こっちに向かって来てるんだけど!?


「父さん、もう遅いよ。迎撃するよ?」


 さぁ、肉確保の時間だ! なんとしてもタンパク質をゲットするぞぉぉぉぉっ!


 目の前の鳥は────そう、魔物なんかじゃない!


 唐揚げだ!


「なんで、お前そんな冷静なんだよ!?」


 なんでって言われても。この状況どうにもならんでしょうに……冷静さを欠く方が危険だと思うが……肉ももちろん欲しいけどな!


 俺は近づいてくるロックバードに鎖を空に向けて射出して迎撃するが軽く避けられる。


 そして、そのまま避けた方向に鎖を鞭のようにしならせて使う。


 この鎖って、けっこう自分の思い通りに動くんだな────って、この鳥速くて当たらないんだけど!?


 凄まじい速度で移動する唐揚げに、俺の鎖は当たらず、至近距離まで接近して来た。


 ヤバっ!?


「レオンっ!」


 父さんが、叫びながら──横から剣で爪を止める。


 俺も即座に鎖を放ち迎撃してみるが────避けられる。


 ロックバードは竜巻のような風を作り出して父さんを吹っ飛ばす。


 そして、そのままロックバードは空高く舞い上がり、体勢を整え────こちらを見据える。



「父さん!」


 吹っ飛ばされた父さんを見ると──地面を転がり、動く気配がない──気を失ったか!?


 ロックバードは俺を睨み付ける。俺を標的にしたようだ。


 俺には鎖魔法しか手段がない。一応、爺ちゃん仕込みの武術の心得はあるが────武器ないし、体術しか使えない。


 空にいる相手には不利過ぎる。


 鎖も一本だけじゃ、速くて捕まえられない………どうすればいい?


 何か方法があるはずだ。



 考えろ、考えろ、考えろ!


「ぎゅぁあぁぁぁぁあぁぁぁっ」


 鳴き声と共に急降下を始めるロックバード。


「痛っ!?」


 そのまま嘴で俺の右肩を貫通させた後、吹き飛ばして来た。


 転がりながらも、直ぐに膝を着いて体制を立て直す。


 ────痛い────唐揚げの分際で!


 何とか──そうか!? これなら行けるか!?


 おそらく魔法はイメージだ。鎖魔法もイメージで使えたし、操作もイメージ通り。


 俺は思い付いた事を実行に移す。



 イメージ……イメージ……。


 そして声に出す事によりイメージを固定させる。



「八岐の舞」


 8本の鎖が俺の右手から出る。その様は蛇のようだ。


 日本の神話に出てくる八岐大蛇からイメージしたのだから当然なんだが……。


 そのまんまのネーミングなのは余裕がないからだ。俺はまだ死にたくない!


「唐揚げ覚悟しろっ! 鎖よ────行けっ!」


 号令と共に、急降下するロックバード────いや、唐揚げに向かって8本の鎖がうねりながら向かっていくが──


 ──鎖をすり抜けて俺に向かって来る。


 俺の鎖の速度で──捕まえられないのは百も承知!


 なら、どうするか?


 鎖の根本に近付けば近付くほど、鎖の幅は狭くなる。そして鎖は蛇のようにうねっているため、ロックバードに悟られる事なく、取り囲んだ状態になっている。


 ────つまり、ちょっとした鎖の檻みたいになっているわけだっ!


「捕縛してやるっ!」


 俺は掌を握ると──8本の鎖は一斉にロックバードを囲み、捕獲する事に成功した。


「ギャャャャァァァァ!!!」


 暴れ回っているロックバードだが、8本の鎖で雁字搦めされているため、地面でもがき苦しんでいる。


「けっこうしんどいな……」


 俺は逃がさないために魔力を込め続ける。これ以上は正直キツいな。魔力が尽きそうだ────


 俺は父さんの方を見ながら────呼ぶ。


「父さん!」


 父さんは俺の声に気が付いたようで起き上がり────行動に移す。


「──!? 待ってろ!!!」


 父さんは直ぐにロックバードの眉間に向けて鎖を放った。


 グジャッ


 そんな音と共に、ロックバードの頭部は潰れ、動かなくなった。


 ふぅ〜っ、死ぬかと思った。父さん起きてなかったらピンチだったな。


「まさか、ロックバードを追い詰めるとは……」


 俺は魔力の使いすぎで意識が遠退く中、父さんのそんな呟きが聞こえた。




「知ってる天井だ……」


 って、家の天井だな。


 父さんが連れ帰ってくれたんだろうな。そういえば──俺の肩って貫通して重症だったよな?


 左手で右肩を触るがなんともない。あれか?


 ────超再生が発動したのか? 凄いな……。


 それより────あの鳥はちゃんと持ち帰ったのだろうか!? 痛い思いをして手に入れたタンパク質だぞ!?


 どうなったのか確かめなければ! いざ、父さんの元へ!


 扉を開けて居間に着くと。父さんは母さんの足元で土下座をしていた……。


 この世界にも土下座ってあるんだな……。


「エリク! レオンの肩が血塗れだったのよ? どういう事なの! 貴方が守るっていうから許可したのに……しかも、ロックバードなんて危険な魔物と戦闘してるなんて!」


 ん? この説教って始まったばかり?


 タイミングが悪いな……部屋に戻ろうかな。


「すまん! レオンの肩は戦闘後に治ったんだ! ロックバードがかなり高所にいて気付くのが遅れた事はすまないと思っている」


 あちゃー、これ今出て行ったら一緒に説教をされそうで非常に危険だ。やっぱり、お布団に戻ろうと足を部屋に向けると……。


「レオン!お前からも何とか言ってくれ!」


 クソ親父! 巻き込みやがったな!



 その後、3時間ぐらい説教された。


 超再生の話は、何故か昔から治りが早いって言っておいた。だって説明の仕様がない。


 まぁ、そんなこんなで俺の村からの初外出は終わった。念願の攻撃手段も手に入れる事が出来て満足かな?


 それと、鳥は美味かった。


 さぁ、これからはタンパク質を狩って栄養とりたいなぁ〜〜っ!


 ビバお肉っ!

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