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閑話 〜ミア編〜 【成長したミアの挿絵あり】

 私は中学生の頃に虐められていた。


 理由は確か、気持ち悪いとかだったと思う。


 私には友達がいなかった。一人でよくいたんだけど、それには理由がある。


 私の顔にはそばかすがいっぱいあったし、思春期特有のニキビもたくさん出来ており、人と面とあって話す事が恥ずかしくて出来なかった……。


 隠す為に眼鏡をかけて髪の毛を下ろしていたのも虐められた理由だろうと思う。


 当然、話す事に慣れてないから話しかけられても、ちゃんと返事する事が出来ない、そんな中学生だった。


 毎日毎日うんざりするほど、周りの女子は私を罵ってくる。たまに暴力もあった。


 でも、その日はそんないつもの日常と違った。


 人気の無い所で、いつも通りに虐められていた私を男の人が助けてくれたの!


「大丈夫?」


 って、頬をかきながら声をかけてくれた。


 その男の人は少し有名な人────というか────


 その人のお爺さんは、かなり有名な人だった事もあり、次の日からは虐められなくなった。


 そのお爺さんは亡くなっているんだけど、その知り合いの人達(怖い人達)と一緒の姿をよく見かけると噂があったので、触らぬ神に祟りなしだと彼に関わる人は少なかった。


 今回の件で、その虐めていた人達は、その男の子に矛先を向けてしまった。噂もあったので、直接的ではなく、関節的な嫌がらせや、ある事ない事、噂を流し始めたのだ。


 元々良い噂がなかったその人にとっては追い討ちをかけるように周りは彼を責め出した……。


 私はお礼と謝罪を込めて話し掛けようとしたら────


「関わらない方がいいよ」


 ────と言われた。その時に正ちゃんって呼ぶよって言ったら、また頬をかいていた。


 結局、私は何も出来なかった。またあの頃に戻りたくないと思い、勇気が出なかったのだ。


 申し訳ない気持ちでいっぱいだった……。


 そんな彼はどんな仕打ちを受けようと、いつもと変わらず堂々としていた。


 私にとって────彼は救世主だった。 


 胸がギュッとなる……。


 あの時、私は恋に落ちたのだろう……。



 時間が経ち、知り合いのいない高校に進学した私は中学生の頃とは見違えるぐらい、かなり可愛くなったと思う。高校デビューという奴だ。


 友達もたくさん出来て、男性から告白される事が日常茶飯事になっていた。


 私は全て断った。あの時のように心に響かないのだ。


 正ちゃん……あの人の事が忘れられない。


 初恋は実らないと友人に言われたが。


 せめて、告白してから諦めたい……。


 そうすれば吹っ切れると信じて────


 そんな時に、私の目の前で数人の男の子達に殴られている人がいた。


 その人は多勢に無勢で為す術なくやられ、罵声を浴びていた。


 チラッと顔が見えた。


「正ちゃん?」


 血塗れになった正ちゃんが、そこにはいた。


 私に出来ることは何かないか? 


 そう思い、直ぐに110番をした。


 しばらくして、警察が来ると一目散に全員逃げ出した……。


 正ちゃんも逃げ出した……。


 私は正ちゃんを追いかけたが、追いつけなかった……。


 その道中で、人気のない路地裏に来てしまったようだった。


 すると、後ろから声をかけられる────男の人が3人いた。


 私は服を破かれ、脱がされて、乱暴されそうになった時────


 また男の人の声がかかる。


「何やってんの?」


 正ちゃんだった。


 私は涙が溢れ出た……。


 再会して涙が出たのか、助かったと安心したから出たのかわからない。


 けれど、私は確信した────


『やっぱり私は、この人が好きだ』


 ────と。


 その後、私を襲ってた男達は一方的に殴られて、地面に転がった。


 私は思った。


 こんなに強いのになんで、あんなに一方的にさっきは殴られてたのかと。


 素人目に見ても、彼に勝てる人はそういないと思う。


「大丈夫?」


 あの時と同じように優しく、同じ台詞を言ってくれる彼が、とても愛おしく感じた……。


 さっきは何で一方的に殴られてたのか聞いたら。


「あれ? 見られてたの? 恥ずかしいな」とお茶を濁し、頬をかく。あの時と同じ彼の仕草だ……。


 数年経っても変わらない。


 その後、私は家まで送ってもらった。


 連絡先を聞こうとしたら、親が出てきて怒鳴り散らしてしまったので、聞けなかったが……。


 彼は鼻筋を揉みながら帰っていった。


 私は事情を泣きながら話し、親に怒鳴り散らした。人生で初めて怒った気がする。


 そして10年の歳月が流れ、私は26歳になった。


 結婚はしていない。絶対に彼を見つけて告白するんだ! 


 そう────ずっと思っているのだ。


 そんな私に吉報が来る。友達がSNSで彼を発見したと言っていた。ちょっと犯罪臭い方法を使ったけど、彼と会う為なら仕方ないと割り切った。


 そして、自分が一番可愛く見えるようにコーディネートし、会いに行った。



 家に着いたら、凄いたくさんの人がいた……。


 皆んな悲しそうな顔をしている────


 そして、黒い服を────着ている?


 これっ……て………喪服?


 まさか……そんなはずない……ない────よね?


 私は私服とか関係なしに、足元が覚束無く虚に家に上がる……。


 そこで、目にしたのは……。


 安らかに眠る正ちゃんだった……。


 これから葬式が始まる所だったみたいだっけど、私は大切な人が亡くなった事のショックが大きすぎて、その場で脇目もふらず大泣きした。


 それにつられてか、周りも泣き出した。


 正ちゃん……なんで死んじゃったの?


 私、可愛くなったんだよ?


 正ちゃんのためにずっと自分を磨いてきたんだよ?


 正ちゃん────


 正ちゃん……正ちゃん……正ちゃん────


 うぅ……ぅ……どうしてなの?


 周りの人達に慰められ、落ち着きを取り戻した私は事情を聞いた。


 死因は急性心不全だったそうだ。


 正ちゃんには婚約者がいたらしく、その人が先立ってしまったらしい。


 心身共に窶れ────それはもう無残なぐらいの変わりようだったそうだ。


 多くの女性が泣いていた。きっと、モテたんだろうな正ちゃん……。


 私だって近くにいたら、射止めていた自信はあるけど、それはもう叶わない……。


 帰ってから自暴自棄になって自殺した……。





 そして、神様に会った。


 普通は神なんかいないんじゃないかって思うんだけど、このお爺さん────半端なく光っていたのだ。


 LED使っても、これは無理だろう。そんな感想を思った。自分が浮いているのが一番信じる要因になったんだけどね。


 その神様は特別に異世界転生をしてくれると話してくれた。心が病んでいたので断ると、正ちゃんもいると言われた瞬間に即答で行くと答えた。


 今度は絶対に正ちゃんの近くにいたいと伝えると。本来の恩恵は5つだが、その4つを対価に近くに転生してあげると言われた。もちろん私は了承した。


 残り1つはどうするか聞かれたが、正ちゃんに会えるならどうでもいいと伝えると。


 神様は『君は花が好きだったじゃろ? だからそれに関係する恩恵は────植物成長じゃな』と言われた。


 確かに花は好きだ。私は頷いた。




 そして、生まれ変わった────


 産まれた瞬間から意識があるというのは不思議な物だと思う。私は親らしき人から話しかけられても言葉がわからなかった。


 神様は言語理解、無限収納、簡易鑑定と残り2つの恩恵の内一つを足した4つを正ちゃんに会う為の対価とした。


 この、言語理解があればきっと話がわかったんだろうな。


 そして、何度も私に向かってかけられた言葉がミア。


 そう、私の名前はミア、この名前が異世界での名前だ。


 成長していく中。ここが開拓村であったり、色々と情報がわかるようになった。


 もう少し大きくなると保育園的な子供を集めている所で私は運命の再会を果たす。

 

 正ちゃんだ。


 見た目は違うけど、この心に響く感じ……。


 間違いなく彼だと思った。レオンと名乗っていた。


 7歳になるまでに、いっぱいアプローチをしたの? でも子供の戯言としてスルーされちゃった……ちなみに幼馴染のアリスも便乗していた。


 絶対に将来一緒になるんだ!


 でも────


 私は村の不作で、食事を全く与えられなくなる……。


 両親は肉を食べているのに私には分けてくれない。


 こんな奴らは親なんかじゃない!!!


 元々男の子が欲しかったと、この親は女の子の私をよく虐待していた……。


 それこそ毎日だ……レオンと会うという日課だけのために我慢して乗り越えてきた。バレないように顔だけは殴られないようにした。


 飢餓に苦しんでいく内に、私の姿が変わり始める。


 醜い……。


 こんな醜い姿をレオンに見せられないよ。


 それにもう動く事が出来ない。そこまで……もう弱ってしまっている。


 数日中に死ぬんだろうな。


 正ちゃん……レオン…………。



 会いたいな……。



 部屋にいきなり入ってくる人影があった。


 すると目の前にはレオンがいた。


「ミア、会いたかったよ……」


 ……声も涙も出ないぐらい私の体は限界なのだろう…… でも、嬉しかった。死ぬ前に会えるなんて……。


 声をかけようとするが、かすれて声が上手く出ない。


 レオンは私に林檎のすり潰したらしき物を食べさせてくれ────


 ────私は意識を失った……。


 次に目が覚めた時に、私は転生した事を話し、レオンはその事を認め、前世の繋がりがあると確信できて幸せだった。


 その反面、自分がもうすぐ死ぬだろうという現実も直視すると悲しくなった。



 再度レオンが目の前に来た時、薬をくれた……。


 しかも、飲み込めない私に口移しで!


 私はとても嬉しかった。こんな姿でも気にしない彼が愛おしい────


 ────でも、私は今夜辺りに死ぬのだろう。そんな気がした……。


 本気で悲しんでくれるレオンを見て、私は少し嬉しかった……そして、少しの間会話した。


 あぁ、死にたくないな────



 もっとレオンと幸せを感じたい……。



 レオンの涙は止まる事はない……。



 私は精一杯笑った……醜い姿だけど、私に出来る精一杯だ。


 レオンは袋をあさり始めて、一つの瓶を発見すると喜んだ。



 そして、レオンがまた顔を近づける。



 なんだろう? 思ったら、もう一回口移しで薬を飲まされる。


 すると、私の身体はみるみる回復していった。


 きっと、かなり高価な薬なんだったんだろうと思う。袋の中から出した時にビックリしていたのはなんだったんだろう?


 その後はね……2人でラブラブしたんだ……子供だからそこは残念だったけど……。



 私……今凄い──幸せです────




 神様……ありがと────





 あっ、そうそうっ!


 今世の親の事なんだけど────


 私に行った行為をエリクさんが村の皆に暴露した────


 ────けど、あんまり反応は良くなかったそうだ……。


 村全体というか────この世界の価値観がそうなっているみたい……本当嫌な世界だと思う。


 幸いなのはレオンのご両親がそっち向きの考えじゃなかったのが救いだった。


 この不作の時期に唯一手助けをしてくれたレオンのご両親からの信頼を失った私の親は────誰からも食べ物を分けてもらえなかった。


 日に日に窶れる親の姿が目に入るが────全く胸が痛まない。


 事あるごとにレオンのご両親に泣き叫び、物乞いをする。


 エリクさんとマリさんはレオンとの約束を守る為に門前払いする。私にも泣いて謝っていたが────もう遅い。


 私の中の親はもうレオンのご両親だ。


 ────後で聞いた話だと、人様の家に食料を盗みに入ったりもしたそうだ。


 その度に殴られ蹴られ、ボロボロになる。



 そんな日々が繰り返されていたそうだ。

 


 自業自得、因果応報──そんな言葉が思い浮かんだ。この世界に来て私も価値観が変わった気がする。


 そして、ある日を境に私の両親は家から出てくる事はなくなった。


 しばらくして、家に火を放たれていた。


 おそらく、死んで火葬されたんだろう。


 別に復讐を叶えて嬉しいわけじゃないし、したかったわけじゃないけど……それでも、レオンが私の為に行動してくれた事が嬉しくて、胸がかあ、と熱くなる


 レオンが……私を救ってくれたレオンが愛しい。


 これからは私の恩恵──【植物成長】を、彼の……そして、彼の大切なもののためだけに使おう。

 それに、今はレオンがいない分、新しい両親のエリクさんとマリさんに恩返しをしよう。


 あぁ、早く会いたいな──


 ──私の大好きなレオン──

挿絵(By みてみん)


成長したミア。物語は幼少期になりますので幼くした感じをイメージして頂けると幸いです。


イラストは柴た様より


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