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第74話 前期試験 2

 



「失礼します、アリスティア・マークです。よろしくお願い致します」


 ちょっとドキドキしながら、私は入室して挨拶をした。


「はい、マークさんですねっと……はい、それではリラックスして、頑張ってくださいね」


 リュシー先生は、手元の名簿にチェックを入れて、ニコッと笑った。



 そう、今日は魔法石学の実技試験だ。今回も作業用教室で行なうのだけど、前回の魔法薬学と違う点は、先生と1対1で行なう試験だという点である。


 試験内容は、小さな天然石1粒に魔力を込めて、魔法石を作り上げる事だ。


 魔法石はコストとの関係も大切なので、挑戦は1人3回まで。確かに失敗続きで天然石を沢山無駄にしちゃうのもよくないもんね。つまり3回チャレンジして、1度でもよいから成功したら試験はクリアなのである。


 尚、今回の試験で指定されている魔法石の種類は、属性ごとに分かれている。その中から自分の得意とする属性の魔法を選ぶのだ。



 火・水・風属性のどれかが使えるなら『灯石(アカリセキ)


 火属性なら『加熱石(カネツセキ)


 水属性なら『冷却石(レイキャクセキ)


 風属性なら『乾燥石(カンソウセキ)


 土属性なら『砕土石(サイドセキ)



 複数属性持ちは、自分が1番魔力制御を得意とする属性でやった方がいいらしい。試験本番までどの魔法で挑戦しようか悩んでいたけれど、やっぱりここは風属性でいく事にした。


 使う魔法属性によって天然石の相性も変わってくるので、上手く合ったものを自分で選別するのも試験の一貫である。


 私はふむ、と天然石の入った箱から石を見繕う。


 箱の中をぴょこっと覗き込むと、綺麗な天然石がよりどりみどりであった。色や形は様々で、大きさも多少違いがあるようだ。


 風魔法だから……えっと、イメージ色でもある緑色が、相性がいいんだっけか。


 ちょっと悩んだけれど、私が最終的に手にしたのはグリーンアベンチュリンという、深みのある緑色の石。その石の中でも、私は色味の濃淡が少しずつ異なるものを3つ選抜した。


 自分の魔力量的に、石の耐久力をなるべくメインに考えた方がよいだろう。天然石の元々持っている透明度や、密度が高くて質の良さそうな物を選んだつもりだけど、大丈夫かな。まぁ勿論、出来るだけ魔力は小さく小さーく絞るつもり……!



 私はフッと軽く息を吐き、集中した。


 この石いっぱいに広がるように、石の容量を見極めて、魔力を込める。



『優しく包んで 速乾(クイックドライ)



 私の乾燥の魔法が発動して、魔力が石を包み込むように覆ったかと思うと、そのままゆっくりと石の中へと吸い込まれていく。


 乾燥石となった魔法石は、魔力を帯びて透明度が増し、キラキラと光り輝いているようだった。


 これは……今までで、1番綺麗に出来たのでは?



「おぉっ!? マークさん、1発合格ですよ〜! うんうん、魔力もピッタリ綺麗に、石の容量に当てはまってます。素晴らしい魔力制御ですね!」


「あ、ありがとうございます」


 リュシー先生は興奮冷めやまぬといった様子で、目をキラキラとさせながら、ズイズイッと迫ってくる。私は思わず苦笑いを浮かべながら、一歩下がった。そうか、この人は魔法石マニアか……


「はわ〜……マークさんには、試験じゃなかったらこの調子で、残りの2つにも是非挑戦してもらいたかったところですっ! あぁ、どうしましょう、なんならやっていきますっ……!?」


「え〜っと……あとがつかえちゃうとアレなんで、終了で! ありがとうございました! それではっ、失礼しまーす!」


 勢いに押されつつも、ジリジリと後ろに下がり、そう言い切って退室した私なのだった。



 パタンと扉を閉めて、私はふぅ、とため息をつく。


 くっ……ローラン先生といい、リュシー先生といい、この学園の先生は、研究熱心すぎる節があるんですってば……




 ────────────────




 さてと。今日は早く試験が終わったから、残りの空き時間は森での実技試験に向けた準備でも進めておこうかな。


 私がテクテクと教室棟を抜けて、渡り廊下を歩いている時だった。



「よっこらせっと」


 カタン、と小さな音がして振り向くと、いつの間にか柱の陰に、ニャーさんが現れていた。私はててっと駆け寄る。


「ニャーさん、こんにちは。シェリのところで護衛してなくていいんですか?」


 周囲に人は居ないけれど、私はコソコソと小声で話しかける。確かニャーさんの姿って、学園内で見られたらマズイんだったよね?


「おう。ちょっとあーさんに用事があってな。今時間あるか?」


「私に用事ですか? 時間は大丈夫ですけど……」


「あと数日で実技試験本番だろ? 火魔法の中でも、効率のいい攻撃魔法を直々に教えといてやろうかと思ってよ」


「何でか皆、アドバイスをくれるんですよね……ありがとうございます」


「は? 皆って他誰よ?」


「あ、いや、こっちの話です」


 私は顔をブンブンと横に振った。


「ま、つーのは建前で、内密な話があるから、この後保健室に現地集合な。今も他の奴らから見たら、俺の事はボヤッとしか認識出来ないようにしてるけど、声は消せねぇし、この魔法めんどくせーから」


 そう私の耳元でポソリと呟くと、一瞬で隠匿の魔法を使い、姿を消したニャーさんである。


「へ? え? ちょっと待ってくださ……ってもういない」



 何だってまた、保健室集合なんだ……?


 私はいまいちピンとこないまま、とりあえず保健室へと足を運ぶのだった。


 ていうかニャーさんって、保健室に入った事あるのかな……?




いつもありがとうございます(*´꒳`*)


次回は通常通り、19日(金)の更新予定です。

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