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第72話 ルルクナイツ魔法学園長

 



 私は緊張しつつも先生の後をついていき、本棟にある学園長室の前に辿り着いた。


「じゃあな、マーク。学園長に、とって食われないように気をつけろよ〜」


「……!? 学園長って、怪物か何かなんですかっ……」


 チラリと私の方を見たかと思うと、グレイ先生はそっと視線を逸らした。いやいや、何で否定してくれないんですか。


「……学園長室に入ったが最後、その後マークの姿を見た者は、いなかった……」



 そう言い終わると同時くらいに、パシーンといい音が廊下に鳴り響いた。


 グレイ先生が「あだっ」と言いながら前のめりになる。


「全く……何で貴方は、わざわざ生徒を脅かすような冗談を言うんですか」


「マルグリット先生」


 グレイ先生の後ろから現れたのは、手に丸めた冊子を持ったマルグリット先生だった。すごくいい音が鳴ったなぁ……


「マークさん、学園長はとても優しい方です。グレイ先生のくだらない冗談は気にしなくて大丈夫ですよ。さ、いってらっしゃい」


「いや、俺はね? 緊張を和らげてやろうかなと……」


「グレイ先生は、いい加減クラスのチーム分けを行なってください。タイムスケジュールを組むの、時間かかるんですから」



 ピシャリとグレイ先生の言い分を遮るマルグリット先生、かっこいいです。


 私はようやく、学園長室の扉をコンコンコン、と叩いたのだった。




 ────────────────




「し、失礼します……」


「やぁやぁ。いらっしゃい、マーク君」


 学園長は、ニコニコとした様子で私を出迎えてくれた。室内は奥に学園長のデスクが置かれ、手前には応接室の様にローテーブルとソファーのセットが置かれており、全体的にシックな雰囲気である。


 私は学園長に促され、ちょこんとソファーに腰を掛けた。



「急に呼び出して悪かったね。マーク君には元々、一度会って話したいと思っていたんだけど、中々都合がつかなくて、今日になってしまったんだ」


「そ、そうだったんですか。私、てっきり夏季休暇の魔獣の件で、学園長直々に注意を受けるものだと思ってました」


「実際その話も、もう儂の耳には届いておるぞ? 何でも強化魔法を更に強めたり、新しい魔法を使って魔獣の動きを止めたとか」


 情報源は独自のルートでな、と楽しげに笑う学園長である。



「あの……学園長は、私のしでかした事を聞いても、あまり驚かれないんですね?」


「4大基礎属性持ちは、皆が驚くような事が色々と起こるもんでな。それに見合った度胸がつくもんじゃ」


 学園長の朗らかに笑う姿を見て、ようやくホッとした私であった。異端児と思われてなくてよかった……!


「入学前から、君の父上はとても心配しておったが……マーク君はいざという時に、自分の力で頑張るタイプなんじゃのう。学園生活も問題なく送れているようだし、儂の出番はひとまずなさそうで何よりだ」


 そういえば、父様が「何か困った事があれば、学園長を頼るように」と、言っていたっけか……


「父が入学前から色々と無理を言ってすみません……属性は3属性で問題なく通せているので、大丈夫です。あと、隠している水属性も自主練習をしてるので、一応扱えるようになりました」


「ほぉ、それはよかったよかった。学園の個人練習室も役に立っておるようじゃな。カルセルク君も光魔法を頑張ってるようだし、君達の頑張りにはいつも感心してしまうのぅ」


 学園長からお褒めの言葉をいただき、何だかこそばゆい気持ちである。学園長が褒めてくれていたって、シェリにも伝えないとな。



「折角こうやって話せる機会ができたからの。何か不安な事や悩み事はないかね?」


「悩み事というか、今は試験の事で頭がいっぱいですね……実技試験もそうですけど、試験自体が初めてなので、どうなるのか不安ではあります」


「マーク君は既に魔獣と直接対峙しておるからなぁ。普通の子なら、初めて魔獣に出会った時に的確な対応をするのは難しいからの。それに比べたら実技試験は、マーク君なら落ち着いてやれば何ら問題はないと思うぞ?」


「そ、そうですかね……? 私も普段は怖がりなんですけど、あの時は無我夢中でしたので……あと、私の周りにいる方々は割と好戦的なので、それに比べたら全然です」


 フォルト様やサラの姿が目に浮かんだのは、言うまでもない。あ、あとニャーさんもか。


「マーク君の近くにいる子たちの評判は、儂もよく教師から聞いておるよ。皆優秀で、クラスの中でも飛び抜けた才能を持っているそうだね?」



 皆の評価を聞いて、私は嬉しくなった。先生たちから見ても、やっぱり皆、才能があるんだなぁ。


「そうなんです、皆すごいんです……! 自分の得意な事を活かして、それぞれが違う才能を持っている感じが、私でも分かるくらいです」


 自然と弾んだ私の声色に「そうかそうか」と、頷きながら学園長は微笑んだ。


「マーク君。儂からのアドバイスとまではいかんけどもな、困った時は、友達を信じなさい。魔獣と対峙した時も、友達と協力して頑張っただろう? 1人で難しい事をしなくてもいいんじゃ。自分の背中を預けてもいいと思えるような信頼関係があれば、必ず道は切り開けるからの」


 友達と聞いて私の頭の中には、シェリやサラ、ミレーユ、ラウル君に、ルネ様が浮かんだ。



 改めて皆の事を考えると、私の身近にいる人たちは皆、強くて優しくて、かっこいい。


 私は皆を頼ってばかりだけど、皆からも頼られるような、お互いを助け合う関係を築けているといいなぁ……



 うん。頼りたいと思ってもらえるように、私は私の出来る事を頑張ろう。


「はい。皆で協力し合って頑張ります……! ありがとうございます」


 困った時は、友達を信じる。


 学園長の言葉を噛みしめて、私はコクンと頷いたのだった。




いつもありがとうございます(*´꒳`*)

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