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第45話 夏の過ごし方 2

 



 夏季休暇が始まって、1週間ほど経った今日。シェリとサラ、ミレーユと私の4人で、学園の図書館へ課題をしに来ていた。



 面倒な事はさっさと終わらせるに限るよね、という訳で、女子だけで勉強会なのだ。


 すっかり愛用している図書館の個室は、皆で相談しながら課題が出来るのでとっても便利である。私達は語学のテキストに随時解答を書き込んでいく。


 エタリオル古語の問題は私たちがミレーユを手伝い、逆にリバーヘン帝国語はミレーユに分からない箇所を聞いたりして、お互いに協力し合った。助け合いって大切。



 2時間程集中し、諸々の課題がひと段落したので、ちょっぴり休憩をする事にした。


「サラってさ、休暇中に一度はナースズ家へは帰るんだよね? でも既に寮は閉まってるし、となるとサラは今首都のどこにいるの?」


 サラの家は首都からだいぶ離れているので、あれ? とふと疑問に思った私である。


「あぁ。課題もあるし、学園の近くの方が都合がいいから、首都にある従兄弟の家に世話になってるんだ。でもあんまり長く居座るのも悪いからな、そろそろ実家に帰ろうかとは思ってる」


「あ、そうだったんだね。ん〜、そうすると前に話してた首都観光、いつ頃がいいかなぁ……」


「じゃあサラがご実家に帰る前に、首都観光しましょうよ。それと、サラがよければなんだけど、(しばら)くウチに泊まったらどうかしら。よかったら、アリスとミレーユも一緒に」


 ポンッと手を叩き、そうシェリが提案した。え、ナイスアイディアすぎる。


「楽しそう! 皆で夜、ベッドでお喋りしようっ!」


 これはいわゆる女子会だ。私はルンルンと浮き足立つ。


「私までいいの? 迷惑にならないかしら……」


 ミレーユが申し訳なさそうにシェリに尋ねる。


「迷惑な訳ないじゃない。カルセルク家は大歓迎よ」


 サラとミレーユも、じゃあお言葉に甘えて……という事になり、無事カルセルク家でのお泊まりの約束が出来たのだった。勉強会後、すぐ正式にシェリからお泊まりのお誘いの手紙が届き、私は楽しみで仕方なかったのである。




 ────────────────




「ふんふんふん♪」


 鼻歌まじりの私は、さっそくカルセルク家にお邪魔するとき用の、お菓子作りに取り掛かった。ふむ、今回は何にしようかな……ケーキかタルトか……



「お嬢様、明日持って行くお土産ですか?」


 ぴょこっと、メイドのデイジーが顔を覗かせた。


「うん。夏場だし、サッパリと食べられるレアチーズタルトにしようかと思うんだけど、どうかな?」


 1人用のプチサイズにして、1つずつ可愛くデコレーションしようかな。デイジーも、それはいいですねぇと賛同してくれた。


「私も何か、お手伝い致しますよ」


「ほんと!? ありがとう!」


 思いがけない協力者をゲットした私は、デイジーと共にお菓子作りに励んだのだった。無事に沢山出来たので、マーク家でも夕食後のデザートに出しました。




 ────────────────




「こんにちは〜 お世話になります」


 馬車から降りた私は、カルセルク家の門をくぐり、玄関でペコッと挨拶をする。シェリの母様であるナディアナ様と、シェリがお出迎えしてくれた。


「いらっしゃい、アリスちゃん。お泊まりなんて久し振りねぇ。ゆっくりしていってね」


「はい、ありがとうございます。あ、これお土産です。レアチーズタルトなので、冷やした方がいいかなと思います」


 私は持参したレアチーズタルトの入った箱を、ナディアナ様に手渡した。


 ナディアナ様は私から箱を受け取るなり、ほぅ……とウットリとした表情をする。そして大事な物を抱き抱えるかの如く、箱を持ち続けて離さないのであった。


「あぁ……嬉しいわぁ、久し振りのアリスちゃんの手作りお菓子……」


「奥様、折角のタルトが温まってしまうのでこちらへ」


 優秀なカルセルク家のメイドによって、サササッと箱が運ばれていくのを、ナディアナ様は悲しそうな顔でジッと見つめていた。そ、そんなに食べたがってくれてたんですね……


「ほら、アリス。母様は放っておいていいから、客間に案内するわ」


 ナディアナ様のそんな姿を眺めていた私を、シェリがチョイチョイと横から突いたのだった。



 案内してもらった客間に荷物を置き、サラとミレーユの到着を、シェリとお茶をしながらのんびりと待つ。


「あ、シェリさ、魔法薬学の課題はどうするか決めた?」


 魔法薬学の休暇中の課題は、ハーブを使った薬品及び商品製作の為のレポート(事前準備)だ。


 休暇中に製作の為の手順や問題点、注意点を書きこみ、研究レポートとして休み明けに提出。そして前期試験時に、その製品を実際に作って、完成品を提出するのだった。


「そうね……本番で失敗したら怖いなと思って、安全性を重視して、ポプリ作りにしようかなと思ってるの」


「そっかそっか。ラベンダーのポプリとかいいよね、安眠効果もあるし。オリジナルブレンドにしたら、他の人と違いも出て、凝ってると思われるんじゃないかなぁ」


「なるほどね……アドバイスありがとう。上手くいったらアリスにも作るわね。アリスはどうするの?」


「んん……作りたい物は色々あるんだけど、どれも難しそうなんだよね。一応、第一候補はアロマキャンドルかな」



 休暇に入る前の実技魔法の授業で、キャンドルの魔法を使った時に思いついたのである。


 前世でも手作りした事があったし、アロマキャンドルなら、そこまで難しくはない……はず。うん、きっと。


「素敵ね! この前のキャンドルの魔法も綺麗だったものね。部屋を暗くして使ったら、もっと幻想的になっていいと思うわ」


 こうして私たちは、お互い上手く出来たらプレゼントし合おうという約束をしたのだった。



「お嬢様、アリスティア様。ご友人方がお見えになりました」


「あっ、今行くわ」


 シェリと2人で、玄関に通じている階段を降りていくと、サラとミレーユが、ナディアナ様と挨拶を交わしている姿が見えた。


「サラ、ミレーユ〜」


 階段からの私の声に気づいた2人が、こっちを見て軽く手を振って応えてくれた。


「「お招きありがとう、シェリ」」


「2人ともようこそ。ゆっくりしていってね」



 さぁ、楽しい女子会のスタートだ。首都観光の計画も立てるので、楽しみな事が盛り沢山である。



いつもありがとうございます(*´꒳`*)

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