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第4話 カルセルク公爵家でのお茶会

  



 神殿での適性検査から数日後、私はいつもの様に、カルセルク公爵家にお邪魔していた。


 カルセルク家の庭園は王宮の次にすごいのでは、というくらい、季節の花々が常に咲き乱れており、お茶会にピッタリの場所だと思う。



「お招きありがとう、シェリーナ」


「こちらこそ。アリスが来るの、楽しみに待ってたわ」


 ニコッと微笑むカルセルク公爵家の長女、シェリーナ・カルセルク公爵令嬢は、私と同い年。父同士が同じ大臣職という事もあって、小さい頃からの長い付き合いである。


 サラリと腰まで伸びた艶めく銀髪に、紫色の眼をしたザ・美少女は、才色兼備であり、尚且つその容姿と性格で、ユーグ殿下の婚約者候補に選ばれている。実に自慢の幼なじみ兼友人なのだ。



 そんなシェリーナが、今日はいつもよりも憂いた表情を時折見せるのだから、私ははて?と疑問に思う。美少女レベルが2割増しなのは、一体どうしたのだろうか。


 ひとまず、貴族令嬢らしからぬ私の趣味、手作りお菓子を渡す事にしよう。



「はい。今日はガトーショコラにしてみたの。沢山作ったから、公爵家の皆さんにもよかったら食べてもらって?」



「いつもありがとう、アリス。アリスの作ったお菓子は美味しいから、皆楽しみにしてるのよ」


 ふふ、早い者勝ちね、と笑うシェリはいつも通りだったが、またふとした瞬間に悩ましい表情へと変わる。



「シェリ、何かあったの? 殿下とケンカでもした?」


「ううん、ユーグ殿下とは仲良くさせていただいているから大丈夫なんだけど……ねぇ、アリスもこの前神殿で属性検査を受けたのよね?」


「うん、受けたよ。手紙でもサラッと書いたけど、色々あって最終的に気絶しちゃったからね……全然神殿の中見学できずに終わっちゃったよ……私のバカ……」



「頭を打ってなかったのは幸いだったわね……もう、心配したんだからね」



「うぅ、ごめんね、心配かけて。あとね、うーんと……シェリには伝えてもいいんだよね、多分これ……」



 私がもにょもにょと口をつぐんでいるので、シェリがどうしたのかと目で問いかけてくる。


 チョイチョイ、とシェリの耳を貸す様に、手で合図する。シェリが気を利かせてテーブルにはめてある盗聴防止の魔法石をそっと発動させてくれた。私が耳元で、魔法適性が4つだった事を告げると、シェリの目は驚きで段々と見開いていった。



「ア、アリス、それって本当なの……!? それってとても珍しい事よ……! すごいわ!」



「私もまだ信じられないんだけど、水晶に4つの属性の色が映し出されたのを、この目でバッチリ見て、それから気絶したから間違いはないと思うの。神官長様も仰ってたみたいだし……ただこの件に関しては、王家への報告義務があるらしくて。父様が謁見の申し出をして、一応簡単には王家には伝わってるみたい。その内殿下からシェリの耳にも話は入るとは思うんだけどね。あと、この件は近しい人にしか話しちゃいけないらしくて。シェリも内緒にしてね?」



「勿論よ。アリスの身辺を危険に晒すなんて、絶対しないわ」



「はぁ、シェリに言えてホッとした……魔法が使えると言えどまだ実践もしてないし、本当に4つも使いこなせるかは、そもそも私の力量の問題だし……不安で」


 一思いに全部を話せた事でホッとした私は、ミルクティーを一口飲んでようやく落ち着いた。




「私だって魔法の原理や歴史を家庭教師の方からそれなりには学んだけれど、実践は学園でっていう決まりだから皆スタートは一緒よ。アリスはお菓子作りも上手だし、器用だからきっと大丈夫」


 優しいシェリの言葉に励まされて、私は不安が緩和され、顔が綻んだ。持つべき者は、理解のある優しい友人ですな……


 そんなシェリは、未だに真剣な顔でジッとこちらを見ていたが、そっと口を開いた。


「……ねぇ、アリス。実は私もこの間の適性検査で、普通とはちょっと違う属性の発現があって……私も近い内に、王宮へ報告に行く事になると思うの」



「ん? 普通とは違う属性……?」


 はて、と首を傾げる私。


 それってもしかして、特殊属性の事かな? 特殊属性は確か、と私が考えて、ちょうど思い付いた瞬間、シェリの言葉が重なった。



「そう、光属性だったの」



「ひかッ……えぇぇっ!?」




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