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第33話 生徒会室

 



 お昼休みになり、私とシェリは机の片付けをささっと済ませる。いつもは殿下のお迎えを待っているけれど、今日は私たちが先に殿下の所へ行こう、と教室の入口へと向かった。


「よーし。シェリ、いざ参らん」


 後ろにいるシェリを振り返って、話しながら扉を開ける。


「あ。アリス、前見て」


 シェリが助言するも間に合わず、私はたまたま扉を開けてすぐ目の前にいた人と、ぶつかってしまった。


「へぷ」


 私はずいぶん背の高い人にぶつかってしまったな……と思いながら、見上げて慌てて謝った。


「わっ、すみませ……ん!?」


「大丈夫か?」


「フォルト様っ!?」


「丁度よかった。今日は、生徒会室の方に来てもらいたくてな。殿下に代わって迎えに来た」


 そう話すフォルト様は、ほら行くぞと言わんばかりに先を歩く。私たち2人はその後を慌てて追いかけるのだった。



 本棟にある生徒会室に着くと、「やぁ」といつもと変わらない様子の殿下が、お迎えしてくれた。


「急に生徒会室に呼んじゃってごめんね。お昼は用意してあるから、沢山食べて」


 エヴァン様が、テイクアウトのランチが置かれた、テーブルの横のソファーを勧めてくれる。


「いや、私たちは全然構わなかったんですけど……?」


「あんまり他の人に聞かれたくない話を少ししたくてね」


 殿下はそう言いながら、デスク席から立ち上がり、私たちの正面にあるソファーに腰掛けた。


「君たちは今朝、学園内で急速に広まった噂を耳にした?」


 私とシェリは、パッと殿下を見た。


 やっぱり殿下の耳にも入ってきてたんだ……


「はい……」


「私たちも、その件について直接お話を伺いたかったのです」と、シェリは話し、こう続けた。


「クラスの女子生徒から聞いた話ですが、国境近くにある村に隣接した森に魔獣が現れた、しかもその森は元々魔獣が現れた事がないのに何故……と」


「概ね噂の内容は同じみたいだね」と、エヴァン様はシェリの話を聞いて頷いた。


「あの、この噂って、本当なんですか?」



 私の意図せず核心をついた問いかけで、一気に部屋の空気がピリッとした。殿下は真面目な顔で「ここから話す事は、他言無用だ」と、私たちを見据えて告げる。


 私たちは、コクッと静かに頷いた。


「……噂の内容は、概ね本当の事だ。だがどこから漏れたのか分からないが、情報が広まるのが早すぎる」と、殿下がため息をつく。


「学園内で、誰かが意図的に噂を流した可能性が高いな」


 フォルト様が表情を特段変えずに、そう静かに呟いた。


「でも、この事件を知っているのは、王家だったり王宮騎士団だったり……上の方達しか知らないはずなんですよね?」


「うん。まだ魔物が出現したっていう森へ、騎士団が派遣されたばっかりだしね。国民を不安にさせないよう、この件については情報を広めないよう、ストップをかけていた所だったんだ」


 エヴァン様は苦々しそうな表情をしている。また厄介な仕事が増えました、と言わんばかりの表情だ。



 噂を広めた人間は、何でそんな重大な情報を知り得る事が出来て、尚且つ学園内に流したんだろう……?


 私はうぅん、と知恵を振り絞った。


 学園の誰かに教えたかった? それとも学園内を驚かせたり、不安にさせたかったとか? でもそれってなんだか……



「愉快犯……」


 その場にいた皆は、私の何の気無しに呟いた言葉に、ハッとしていた。そんな周りの様子に気づかず、私は思った事をポンポンと話し続ける。


「こんな事になってるけど、大丈夫?って笑いながら聞かれているような気がする。ビックリだよね、君たちはどう対処するのって。うわ……そう考えると性格悪いですね、この愉快犯。高みの見物感がすごい」


 そもそもどうするって問われていたとしても、私たち学生には、出来る事なんて限られてるし……


 本当に何がしたいんだろう、この愉快犯は。


 思考の海から出てきた私が顔を上げると、皆がすごく驚いた顔をしていた。あれ、フォルト様すらも目が少し見開いているぞ?


「……アリス?」


「何? シェリ」


「……貴方って本当に突然、しかも無意識に覚醒するわよね……」


「……ん? 何の話?」


 話についていけず、私はキョトンとした。


「アリスティア嬢の考えは、あながち間違ってないと思う。噂を流して、僕たち学生を不安にさせようとしているタチの悪さが滲み出ている。あとはそうだな……王家を批判しているのかもな。こんな情報をなぜ隠しているんだってね」


 なるほど。秘匿にすべき事ではないと、安直に王家を批判している可能性もあるのか。


「だから、陛下に状況を説明して、午後に急遽学園集会を開く許可をもらった。そこで今回起きた事について、僕から説明する予定だ」


 流石殿下、仕事が早い……!


「王家の判断で、混乱を避ける為に情報を止めてたのに、先に噂を流すなんていい度胸してるよね? だったらこっちも、迅速な対応をさせていただこうって事」


 エヴァン様はニコニコとしているが、殿下ばりの黒い微笑みである。


 あ、エヴァン様も怒ってらっしゃるんですね? そりゃそうですよね、お仕事増えましたもんね……



「アリスティア、そういう事だから昼食をしっかり食べておけ」


 私の目の前に、ズイッとピックに刺さった1口チキンが差し出される。私はフォルト様から有り難く受け取ったのだった。


 これは所謂、腹が減っては戦はできぬ、ですね……!


 ……あれ、でもその原理だと、集会で話す殿下こそしっかり食べた方がよいのでは?


 口元を手で押さえて、モグモグしながら、そんな事を思う私であった。チキン美味しい。



「何か、間違いなく深刻な話だし、怒ってたんだけど、段々気が抜かれるよね、この雰囲気……」


 エヴァン様の一言に、シェリと殿下が即座に頷いていたのは、言うまでもない。


 

いつもありがとうございます(*´꒳`*)

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