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第22話 初めての魔法学 実践編 3


 


 私は先生に促されて、前に立った。私がやってみたい魔法……学園長が見せて下さったみたいに、綺麗で目を奪われるようなのが理想なんだよなぁ。それが現実的にできるかと言われると、何とも言えないのだけれど……


 ふぅ、息をついて集中する。身体の魔力の巡りを感じとれると、閉じた瞼を開き、イメージを固めた。よし、と私は土魔法に魔力を定めて、自分の心に語りかける。



 準備はいい?


 創り出すよ、私の好きな、春の花咲く木を。



『そびえ立て』


崇高なるマグノリアよ(グランド・マグノリア)!』



 私の紡いだ言葉の一音一音が、自身の魔力と共鳴して、魔力を帯びたような、不思議な感覚がした。これが魔法なんだ……


 そう感じたのと同時に、魔法が発動する。前に突き出した私の手のひらから、紫色の花を沢山付けた、巨大なマグノリア(木蓮)の木が生み出された。


 そして私たちの辺り一面に、マグノリアの爽やかで上品な花の香りがふわっと広がったかと思うと、次第に木は姿を消していった。



 それはとても荘厳で可憐な木だったのだが、いかにせん大きすぎた。皆が首を思いっきり上に向けて、見上げるような形のサイズになってしまったのである。



「マーク……お前、魔法発動は問題ないけど、いかにせんデカすぎだ。世界樹じゃねぇんだから、もうちょっとコンパクトにイメージしろ。魔力勿体ないから」


「うっ……はい……私も見たとき、流石にこれは大きすぎるなと思ってました……」



 先生は可哀想な子を見るかのように、アドバイスをくれた。ですよね、分かってます。


 だって……! このドーム広いから上限が定まらなかったんだもの……!


 ひとまず成功したはいいけれど、魔力制御が課題となった私は項垂れたのだった。静々と後ろへ下がると、近くにシェリとサラ、それにサリソン様がきて、慰めてくれる。うぅ、優しい。



「素敵なマグノリアの香りだったわよ。紫の花も綺麗で再現度が高くて驚いたわ」


「うん、私もすごく大きくてビックリした。普通、最初からあんなに大きく再現するのは一苦労だそ?」


「そうですわよ。本当に美しいマグノリアの木でしたわ、マーク様」


「そう言ってもらえると嬉しい……! ありがとう、シェリ、サラ、サリソン様」と私は笑顔で返した。



「……というか、シェリーナとサラにもさっき言ったのだけれど、私の事も名前で呼んでくださって構わなくてよッ……!」


 そう言い切ったサリソン様は、照れているのか、顔は赤く、もじもじとちょっと挙動不審である。しかも「ルネ様だけ名前呼びなんてずるいですわ……」と、ブツブツ呟いている。



「えーと、じゃあミレーユ……?」


 そう言って、私は頬をポリっとかきながら、小首を傾げる。仲良くしたいと思ってくれているのなら嬉しいなぁと思い、呼び捨てにしてみた。



「……ッ! はいですわ! でしたら私もアリスと呼ばせてくださいませ!!!」


 パァァッと笑顔になり、私の手を握りながらそう話すミレーユに、私も笑顔で快諾したのだった。



 クラスの皆が、魔法発動を一巡し終えたところで、グレイ先生が私たちを近くに集合させて、再び話し始めた。


「1人ずつ試して、お前らの魔法発動の様子は確認できた。皆、発動は全く問題なさそうだな。残りの時間は5、6人くらいで、いくつかある防御壁を交代で使って、自分の魔力量と相談しながらもう少し魔法を試してみろ。俺は巡回しとくから、その都度質問があれば聞けよ」



 よし、私は小さな魔法を使えるように、魔力量のコントロールを練習しよう。魔力量がすごく多いと分かってはいたけれど、自分が思っている以上の多さなのかも?


 だとしたら気をつけないとだなぁ……


 私たち(シェリ・サラ・ミレーユ・ラウル君・ルネ様と私)はこのメンバーで、まとまって練習する事にしたのだった。




いつもありがとうございます(*´꒳`*)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 穏やかでほのぼのとした空気感が心地よいです。 そんな中でのアリスの魔法。 巨大なマグノリアの爽やかな香りが広がるシーンは 映像が浮かび、香りが漂ってくるようでした。
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