第20話 初めての魔法学 実践編 1
昼休みを終えて、午後の魔法実践の為、私たちは先生から説明があった通り、室内実技場へ移動してきていた。ちなみに、ラウル君とも合流できました。
室内実技場内はドーム型になっていて、とにかく広い。敷地も広ければ天井も高い。私たちはグラウンドの中心辺りにまとまって、先生を待つ事にした。
チャイムが鳴ると、先生がグラウンドに現れた。
「さて、始めるぞ。午前中、しっかり魔法の原理を学んできたか? いいか、魔法は3段階だと覚えておけ。①自分の魔力を覚醒させて身体に巡らせる事、②紡ぎ言葉で魔力を身体の一点に固めて、③魔法古語で魔法を発動だ」
グレイ先生は指を折り数えながら、そう話す。
「まー、百聞は一見にしかずというもんだな、一旦魔法をやって見せるか。今からあの防御壁に向かって魔法発動させるから、よーく見とけよ」
先生が片腕を前に伸ばして指先を突き出し、銃の構えをする。途端に魔力の雰囲気を感じた。
『狙撃せよ 火花拳銃』
すると指先から火花が散るように、炎の玉が防御壁に向かって「パァン!」と音をたてて弾け飛んでいった。
おおぉ……先生ってザ・攻撃タイプなんですね。いや、絶対そうだろうと思ってましたけど。
「まっ、こんなもんか。まずお前たちが挑戦するのは、①の自分の魔力を覚醒させて、身体に巡らせる事だ。自分の属性の代表的な色をイメージしながら、それがモヤみたいに体内を巡っていると考えてみろ。まぁ外に放出された魔力のオーラがその色になるって訳じゃないんだけどな、あくまで自分の脳内での想像だ。ただ、その方が属性が1つの奴は特にイメージしやすいと思うぞ」
そう、属性の色というものがある。大半の理由は連想しやすいという理由でだが、火→赤 水→青 風→緑 土→黄色 光→白 闇→黒 とイメージされているのだ。
自分の属性の色となると、私4色だから、混ぜたら……待って、すごいカラフルだなぁ……
赤青緑黄色……緑黄色野菜……あ、ダメダメ青が仲間外れになる。
ううん、と悩んでいると、近くにいたルネ様が話しかけてきた。
「ねぇねぇ、アリスちゃんも3属性持ちなんだよね? 俺もなんだけど、イメージ難しくない?」
「ですよねぇ……赤緑黄色のものって、野菜くらいしか思い浮かばないです」
「あ〜アリスちゃんは水以外なのか。俺は土以外の3属性なの。赤青緑…………あ、出来ちゃった」
えへ、と笑うルネ様に、私は衝撃のあまり、一瞬絶句した。
「……えっ!? 突然の裏切り!? 今一緒に頑張ろうって感じになってたのに……!」
この人酷い……もう信じない……と恨みがましい目で見てしまうのは仕方ないだろう。
「ごめんって〜 俺だってまさか出来るとは思わなかったよ? 参考になるか分からないけど、どうやったか教えてあげるから」
「ルネ様、僕も教えてもらいたいです……」
そう。おずおずと手を挙げるラウル君も、実は3属性仲間なのだ。
「勿論。んーと、俺はだけどね、血液の流れをイメージしたの。血液も身体の中を巡ってるでしょ?、その流れを意識して、そこに属性の色を足して一緒に流す感じ」
なるほど……体内を巡るものと一緒にイメージすればいいのかな。でも血液は何かグロいから、呼吸を意識してみようっと。
私はふ〜、と出来るだけリラックスした状態を心がけて、目を閉じた。お腹に力を入れて、空気とともに属性の色のオーラを吸い込んだイメージをした。
空気に色をつけた感じ……なんなら雲に色をつけた感じ……綿あめ……
……お? 何回目の挑戦で、身体の中心になんだかポカポカしたオーラのような物を感じる事が出来た、と思う。これが私の魔力なのかな……!?
私が魔力を実感できた頃、ラウル君もコツを掴めたようだった。シェリもサラもバッチリのようだ。
「お、さすが特Aクラスに選ばれているだけあるなぁ。皆センスあるじゃねぇか。そしたら、次の②と③の工程はまとめていくぞ」
皆の様子を見て回っていた先生は、クラス全員の魔力循環の成功を確認し、次のステップへの説明を始めた。
いつもありがとうございます(*´꒳`*)