第19話 カフェテリアへようこそ 2
モグモグとサンドイッチを頬張っていると、そんな私の様子を隣の席で眺めていたサラが「アリスは小柄だけど、意外としっかり食べるんだな」と、言った。
「朝から学内を探索して、その後頭を使ったからすっかりお腹が空いちゃって……」
私はえへへ、と照れながら返す。
「いや、沢山食べる令嬢が新鮮だっただけだ。私はいいと思うぞ」
サラに微笑まれて、頭をポフッとされた。ふふ、褒められると嬉しい私、実に単純である。
「そういえばラウル君、お昼休みが終わるまでに、ご飯食べられるかなぁ……」
「ラウル?」
サラとは反対側の、私の隣に座っていたフォルト様が、私のポツリと溢した呟きを拾ってくれたようである。
「えと、ラウル君は入学式直前にたまたま会って、お友達になった天使です」
私は分かりやすいように、簡潔に説明してみた。要約すると天使、である。
「……天使?」
説明を聞いても尚、訝しげに顔をしかめるフォルト様である。あ、伝わらなかったか。
「あぁ、入学式で特待生代表の挨拶をしていた子だろう? たしかに天使のような見た目の男だったな」
そう言って、くくっと笑う殿下。そんなにこの表現が面白かったのかな……?
「アリスと並んでると、背も同じくらいだし、双子みたいだよな」
「いやいや。私が天使と双子だなんておこがましいよ、サラ。フォルト様、ラウル君は動物好きのとってもいい子なんですよ」
髪の毛がピンク色のふわふわクルクルで〜、と説明を続けると、あぁ、とフォルト様は思い立ったようだ。
「分かった。昨日帰り際に、アリスティアが挨拶していた奴だろう」
「はいっ、その子です。フォルト様って周囲への観察力がすごいありますねぇ」
よく覚えてるなぁ……うんうん頷きながら感心している私。
「……僕はフォルトの観察範囲はある意味狭いと思うけどね?」
エヴァン様は1人、そうぼやいていたのであった。
昼食も食べ終わり、食後のお茶を飲みながらのんびりしていると、殿下が隣に座るシェリに話しかけていた。
「シェリ、王宮での緊急の用事がない限り、一緒に昼食を取りたいと思ってるんだ。明日から教室に迎えに行ってもいいか?」
「毎日お忙しいのに、よろしいんですか? ……嬉しいです。わざわざありがとうございます、ユーグ殿下」
殿下の提案に少し驚いた様子だったが、ニコニコとシェリは微笑みながら、そう返していた。
「うん。シェリに1日1回は必ず会えるよう、公務も頑張ろうと思う」
あ、ごちそうさまです。
これは暫くお昼時になると、教室が騒がしくなるパターンですね? クラスの子には、もう殿下達の登場に慣れてもらうしかなさそうだ。
話がひと段落したところで、エヴァン様が時計をチラリとみて、提案をした。
「さて、そろそろ出ようか? 君たち3人は午後、初めての魔法実践だもんね」
そうか、と殿下も頷いた。
「初めは緊張すると思うけど、大丈夫。上手くできるようになれば楽しくなるぞ」と、エールをくれた。
フォルト様は「無理しないようにな」と一言。
実践……なるようになる、はずだし頑張ってみよう……!
いつもありがとうございます(*´꒳`*)
次回、魔法学・実践編です。