第18話 カフェテリアへようこそ 1
新しい知識を詰め込んだら、お腹がとても空きました……!
お昼だ〜! と内心ウキウキしながら、シェリのところに向かう。
ちなみにラウル君もお昼に誘ったのだが、小鳥の様子を見に一度寮へ戻るから、先に食べちゃっててください〜、とペコペコと謝られた。無念である。
さてどうしようかな、と思って教室内をキョロキョロすると、サラと目が合ったので、私はシェリと共にサラの元に寄っていく。
「サラ! 一緒にお昼食べない?」
「お、いいのか? 是非」
「勿論! シェリを紹介するね。といってももう知ってる、よね?」
「そりゃ、入学前から美人で優秀な公爵令嬢って有名だからな。辺境の地でも名は知れ渡ってるぞ。サラ・ナースズだ。よろしく、シェリーナ」
「え、そんな風に言われてるの? 改まって聞くと恥ずかしいわね…… シェリーナ・カルセルクよ。よろしくね、サラ」
ほんのりと頬を赤くして照れるシェリ。シェリは普段から公爵令嬢として感情を表に出さないようにしているので、この表情はレアである。
私たちは教室を出て、飲食・販売棟に向かって、お喋りしながらテクテクと歩く。
「午後の実践、楽しみだねぇ。上手く出来るかはともかくとして」
「そうだな。アリスは3属性持ちなんだろう? 魔法の幅が広いから試すのが楽しみだよな」
「持ってはいるけど、宝の持ち腐れにならないか心配だよ……」
私はへにゃんとした顔になりながら、そう語った。
「サラは火属性でしょう? 検査の時に魔力量がすごく多かったって噂になってたわ」
シェリの問いかけに、うん、とサラは頷いた。
「魔力量が多いのは、騎士として攻撃手段が増えるから嬉しいな。どうにか剣と魔法を両立できるようにしたいと思ってる」
ほわ……剣と魔法の二刀流、かっこいいな……
「シェリーナは光の他に、水があるんだったか? 水はいいとしても、光についての情報が少な過ぎるよな」
そうねぇ……と、シェリは困った顔をしながら
「本当に実践は独学になってしまうかもしれないわね……マルグリット先生がおっしゃってくれた様に、まずは図書館で文献を探してみるわ」と話す。
私とサラは、探すの手伝うからね、とシェリを励ました。
とにかく、まずはご飯を食べて鋭気を養おう……!
飲食棟に着いた私たちは、カフェテリアの入り口で何を食べようか、きゃっきゃとメニューのサンプルを眺めていた。すると、後ろから声を掛けられた。
「そこのお三人方、ご一緒にランチしませんか?」
スマートなお誘いはエヴァン様でした。勿論、ユーグ殿下とフォルト様も一緒である。
昨日から思ってるけど、何でか私たちの動向をよく知ってるんだよな、この人達……
エヴァン様はサラを見て、あれ?っという顔をした。しかも、ちょっとビックリしているようだった。
「君……もしかしてナースズ嬢かな?」
「? そうですが……?」
「……ふふっ、ナースズ嬢は2人と仲良くなったんだね? ほんとフォルトってすごいな」
エヴァン様に話を振られた当のフォルト様は、澄ました顔をしていて、ダンマリを決めているようだった。
「「「???」」」
私たち3人は何のことやら、さっぱりだ。
「……そうかそうか。じゃあ僕からもお願いしとこうかな? シェリと是非仲良くしてあげてね?」
なんだか1人で納得している殿下が、サラにそう話しかけていたけれど、殿下のニッコリ笑顔が黒く見えるのは、私だけのエフェクトなのかな……?
しかし殿下は本当ブレないな。このシェリ一筋な様子を見てると、もう婚約者候補じゃなくて、婚約者に確定してるのでは……と、私は薄々感じている。
まぁ女好きで、色んな女の子にフラフラしちゃうような王子じゃなくてよかったとは思いますけど。
カフェテリアではランチセットでメイン1品とサイドメニューを2品選べる仕様になっていたので、各々目星をつけていた物を注文する。
私はメインにハムレタスチーズのサンドイッチ、サイドメニューはチキンナゲットとコーンポタージュにした。ちなみに飲み物はカウンターで注文のフリードリンク制なので、ひとまずアイスティーを頼む。
私たちはゆったりとした6人掛けのテーブル席に着いて、昼食を食べ始めた。