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第17話 初めての魔法学 入門編

 



 学園探索も終わり、私たちは再び教室に戻ってきた。ふぃ〜、よく歩いた。


 ……というか朝からこれは、貴族令嬢にとってはしんどかったのでは?



「じゃ、休憩挟んだら残りの午前時間は、この教室で魔法学の座学な。昼休みの後は魔法学の実践だから、さっき案内した室内実技場に集合だぞ」


 また後でな〜と、ヒラヒラと手を振りながら、グレイ先生はいなくなった。



 いよいよ魔法の授業か……どんな先生なんだろう? クラスの皆も心なしかソワソワとしている気がする。


 私もドキドキしながら待っていると、ガラッと教室の扉が開いた。



「おはようございます。授業を始めるので、まだ席に着いていない人は着席を願います」


 キリッとした、真面目そうな女の先生が現れた。



「魔法学の座学を担当します、マルグリット・デュボアと申します。よろしくお願い致します」



 グレイ先生を見てたからか、すごく先生っぽい人が来た……! と思っているのは、きっと私だけじゃないはず。何ならクラス全員が思っているに違いない。



「今日は時間があまりないので、さっそく魔法について授業をしていこうと思います。皆さん、教科書とノートの準備はいいですね?」


 マルグリット先生はそう言ってチョークを手に持つと、黒板に文字を書きながら、説明を始めた。



「今日はまず、魔法学の初歩、基礎の部分を教えていきます。既に家庭教師の方から習った、という人もいるかと思いますが、復習も兼ねてきちんと聞くように」



「魔法というものはまず、【基礎属性】と【特殊属性】の2つに分類されます。更に細かく分類すると、基礎属性は【火・水・風・土】の4つ、特殊属性は【光・闇】の2つに分かれています。そしてこれらは、貴族、ないしは平民の一部の適性を持つ者が、人によって属性数、魔力量さまざまな組み合わせで、15歳になる年の春に発現します」



 ここまでは皆さんいいですね? と先生がチョークを置いて振り向いた。皆が頷いたのを確認すると、教卓の上に教科書を広げて、先生は説明を続けた。



「では、肝心の魔法はどのようにして発動させるのか。入学式の時に、学園長の魔法をよく観察していた人は分かったと思いますが、まず集中して自分の中の魔力を覚醒させ、身体に巡らせます。1年生は、まずこの段階をマスターするところからスタートですね。


 そして魔法発動の為に呪文を唱えますが、呪文の前文の部分、【紡ぎ言葉】と呼ばれていますが、これを唱えて自身の身体に流れた魔力を一点に固めます。学園長が行なっていたように、手に魔力を集中させるのが1番ポピュラーですね。そして呪文の後文の部分、【魔法古語】と呼ばれる言葉で魔法を発動させます。これで上手くいくと、魔法が発動されて成功となります。


 尚、紡ぎ言葉と魔法古語には、ベースとなる基本の形があります。まずは基本の組み合わせで、どういった属性の魔法が発動するのか、教科書にも表が載っているので、確認してみましょう。更に、魔法古語が長く複雑になればなるほど、魔力量を多く必要とし、その分威力が上がります」



 皆は興味津々で教科書の表を覗き込んだ。おそらく自分の属性が、どの呪文に当てはまっているのか、探しているのだろう。無論、私もである。


 それこそ属性数が多いという事は、それだけ使える魔法も多いって事だから、人より沢山覚えなきゃいけないのね……



「基礎属性は発現者が多い分、魔法の種類も多種多様ですが、特殊属性は発現者が少ない為、確認されている魔法の数がとても少ないです。特にこのクラスでいうと、カルセルクさんの持つ光属性は、闇属性よりも稀な属性なので、教科書にもやはり掲載されている魔法が少ないですね……まずは図書館で古い文献をあたった方がいいかと思います」


 先生はシェリに向かって申し訳なさそうに話した。


 シェリの属性も、珍しいが故に勉強が大変だなぁ……


 光属性は国に2、3人しかいないって話だし、それを持つ先生はさすがにいないよね。シェリ以外に光属性を持ってる人って、有名な人だと神官長様だけど。



 私はひとまず思考を戻して、教科書に集中する事にした。紡ぎ言葉と呼ばれる前文は、魔法古語との相性がよいとされる組み合わせであればあるほど、魔法のイメージ化もしやすく、発動も容易いようだ。


 つまり分かりやすい前文に、短い単語の後文で組み合わせると、簡単で小さな魔法が発動されるという事かな。それに、紡ぎ言葉で連想される相性のよい魔法古語を、瞬時に選択する必要があるって事……?



 ……え、難しくないですか?



「又、紡ぎ言葉と魔法古語の関係性については今も尚、研究され続けていますが、未解明の点も多くあります。新たな紡ぎ言葉や魔法古語が生まれたり、それによって発動する新魔法もある為、あまり自分1人で闇雲に適当な文字を羅列して、魔法を発動させようとしないように。成功するかも分かりませんし、暴発の恐れもあります。そういう研究をしている部活動もあるので、興味のある人はそちらに行ってみるといいでしょう。


 それから、いいですか? 魔法を扱う者は、きちんと使う場面を見極めて、適切な魔法を発動させる判断力が必要となります。この国では勿論ですが、属性を持って生まれた者は、魔力を持たない一般市民の方よりも魔法を使える分、責任が増えます。魔法が使える事を権力化して威張るのではなく、国の発展に役立てられるよう、しっかり学んでいきましょう。


 ちなみに、学園内では許可のない所での魔法の使用は禁止してますので、練習は然るべき所で行うように」



 マルグリット先生は、私たちに釘を刺すのを忘れなかったようだ。皆が学園内で、好き勝手に魔法を連発したら大変だものね……



 その後は近くの席の人と、自分の属性がどこに当てはまるのか、表を見ながら確認したり、考察しあったりした。午後の実践でどんな魔法が使えるのか、想像しながら話し合ったのは、中々楽しかったです。


 そうしている間に、授業終了のチャイムが鳴った。



「もう聞いているかと思いますが、魔法の実践は昼食後、室内実技場で行います。初めて魔法を扱うので、皆さんグレイ先生の言う事をしっかり聞いて、行動するようにしてくださいね」


 私たちはマルグリット先生の言葉に、はい、と返した。



 こうして午前の授業が無事終わり、昼休みとなったのだった。




いつもありがとうございます(*´꒳`*)

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