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第16話 魔法学園、探索します!

 



 ぞろぞろと廊下に出てきた所で、グレイ先生が皆を見渡す。



「いいか? 今、俺達がいるこの棟が【教室棟】だ。教室棟には1〜3年まで全クラスの教室が入ってる。階数は学年順に上がっていく。んで、棟の1番端を見てみろ。入学式が終わった後に通った渡り廊下が見えるだろ? あっちが講堂側な。講堂は昨日行ったから、逆方向から時計回りにいくぞ〜」



 グレイ先生はそう話すと、講堂側の渡り廊下とは反対の渡り廊下へ向かって歩き出した。


「こっちが反対側の渡り廊下な。で、あの【室内実技場】に繋がっている」



 ピッと指差した方向の先に、大きなドーム状のアリーナがあった。


「あそこは主に魔法実技の授業や、上級生の騎士科の訓練などに使用されている。中に個室の実技練習室も沢山あるから、入口で日時を予約すれば、個人練習の時に使えるぞ」


 ま、中に入るのは追々授業でな、とグレイ先生は話す。



 室内実技場の横を抜けると中庭に出た。中庭は小道以外のほとんどが芝生になっていて、座ったらフカフカしていそうだ。所々にある花壇には、季節の花が沢山植えられている。ちょっとしたベンチもいくつか置かれていた。


 私は「ここ昨日通ったところの奥だな」と気が付いた。



「左側に見える建物が【飲食・販売棟】だ。中には学食とカフェテリア、それから購買が入ってる。昼は大抵ここで食べるか、テイクアウトするかってとこか。あとは自分で作ったのを持ってくるのも可能だけど、あんまりいないみたいだな」



 販売棟を抜けると、テラス席が沢山ある巨大庭園にたどり着いた。皆のわぁっといった声が、色んな所で漏れる。



「この学園は本当、沢山の草木や花に囲まれていて素敵よね……」


 シェリも横で、ほぅっとため息をついていた。


「こんなに素敵だと、自然の動物たちも迷い込んじゃうのも分かる気がします」と、ラウル君も横で頷く。


 たしかに、あの小鳥も迷い込んでたもんね。



「そろそろ行くぞ〜 ほら庭園からも見えるだろ、あれが正門から入ると正面に見える【本棟】だ。この建物はややこしいからな、中に入って説明するぞ」



 私たちは先生の後を追って、本棟へ入っていった。1階から4階まで、先生の説明を受けながら、各部屋を順々にみて回っていく。


「本棟内は教室棟みたいに部屋に規則性がないからな。1階が職員室・応接室・学園長室・保健室・放送室・事務室……くらいか? 他にもあった気がするけど……まぁ扉に書いてあるから、困ったときは扉を見ながら探せ」



 ……先生はたまにアバウトである。



「あと2階は大会議室と、小会議室がいくつかあるのと、空き部屋も何部屋かあったな。3階は主に先生方の研究室みたいな自室と、それから生徒会室だな。んで、4階が希望者が活動している部室と、音楽室。趣味で音楽をやってる奴も結構多いから、ここも防音になってる練習室が借りられるぞ」



 本棟を出て見える2つの似た建物は、私たちか住んでいる学生寮だ。勿論、男子・女子に建物は分かれている。


 その横に併設されているのが、どうやら図書館らしい。中に入ると、世界中の本を集めたのかと言わんばかりの本の数に、圧倒された。しかも天井は高く、ステンドグラスになっていて優しい光が差し込んでいる。はわ、綺麗。



「図書館は自習スペースにもなってる。持ち出し禁止スペースの本以外は貸し出しも勿論してるから、カウンターで受付をしてもらってな」



 図書館を出て少し歩くと、ラウル君と小鳥に出会った所である、講堂の横の小さな庭園が見えた。更にそこから、ちょっとした森の小道のようになっている所を進み、入り組んだ奥へと進んでいくと、広大なハーブ園と野菜畑が目の前に広がった。


「ほえっ!?」


 驚きのあまり声が出てしまい、慌てて口を押さえた、が私のすぐ前にいた先生には聞こえていたようで、振り返って呆れた顔をされた。くっ……



「マーク、お前侯爵令嬢なら、もう少し感情隠す練習とかしといた方がいいんじゃねぇのか」


 やれやれ、とこれ見よがしにため息をつく先生。公の場ではキチンとしてますので、学園内では大目に見てほしい所存でありますし、身分とか関係ないって言ってたの先生ですし。というか、先生は確実に私をバカにしている。



「グレイ先生、そこがアリスのいい所なんです。そんなアリスだから皆構いたくなるし、助けたくなるんですよ?」


 うぅ……シェリの優しいフォローが身に染みる。



「そうだなぁ、マークはすぐ迷子になるし、子リスみたいだもんなぁ」


 いや、先生は納得しなくてもいいですし、迷子の件は蒸し返さないでください。私はキッと睨みをきかすが、先生には全然効いていないようだった。



「でも先生。ハーブ園はともかく、なんで学園に野菜畑まであるんですか? しかもこんなに広大な」


 クラスメイトの1人が先生に質問した。


「それはな、もっと奥に進むとわかるぞ。そろそろ声も聞こえてくるんじゃないか?」



 私とラウル君は、あ! とピンときた。


 畑を抜けると、そこは鶏や犬、馬、羊、牛など見える範囲だけでも沢山の動物がいる世界が広がっていたのである。


 ……ここって本当に学園ですか?



「ほら、ここが【飼育場】だ。あ、ついでに言うと、その横に見えるのが倉庫とグラウンドな」



 あ〜、とりあえず案内はこんなもんかな、と先生は肩をコキコキと鳴らして、やりきった感を出している。



「動物の生態を学ぶのも、それこそ野菜や花を育てるのも勉強の一環だからな。こういう世話ができるのも、貴族だって親の目がない学生の時の、見聞を広める貴重な体験なんじゃないか? ま、興味があるやつは部活に顔出すといいさ」


 本当、たまに先生らしい事をいう先生だなぁ……



「アリス様、アリス様。やっぱりすぐにでも、ここ見に行きません?」


 ワクワクした様子のラウル君に、私もコクコクと笑顔で頷いたのだった。




長々しかった学園探索はこれにて終了ッ


次回、魔法学びます。

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