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第112話 頑張ります宣言

 



 ロニーさんは薪を足しますねと、暖炉の方へと向かい、火の調節をし始めた。


 それをキッカケに、サラとミレーユも向かい側のソファーへと戻っていった。


 よ、よし……一旦落ち着こうっと……


 私はテーブルに置かれたお菓子へと視線を向ける。


 アフターヌーンティーという名目だけど、寮内で行なっているプライベートな会なので、お菓子は焼き菓子やチョコレート菓子などである。ロニーさんが準備してくれたであろう、豊富な種類の焼き菓子の中から、私はマドレーヌをチョイスして、パクリと頬張った。


 ちょっと大きめで、一口では食べきれないサイズだったが、そのまま持って食べるのは女子会の醍醐味である。


 コーヒーや紅茶に浸して食べる事もあるそうだけれど、やっぱり私はそのまま食べるのが1番好きだ。貝殻の形をしたマドレーヌは、バターとほんのりと香るレモンが相まって、優しい味わいだった。


 皆もそれぞれ好みのお菓子を手に取り、暫しブレイクタイムである。そうして一息ついたところで、ミレーユがまた、爆弾発言を投げ入れてきた。


「ズバリ聞くけど、アリスは今後カルセルク様とどうなりたいとかある?」


「うぇっ!?」


 3個目の焼き菓子を手にしていた私は、うっかり手から落としそうになって、慌ててキャッチした。


「ど、どうなりたいか……?」


 そろ〜り……と、ミレーユに視線を向ける。


 好きだって分かったのはいいけど、私はフォルト様との関係をどうしたいんだろうか。いざそう聞かれると、言葉にするのは難しい気がする。


 今のままを維持したいのか、それとももっと違う関係になりたいのか。


 え、さっきも例に挙げたけど、つ、付き合いたいとか……? あのキラキラな氷の騎士様と……?


 氷の騎士様で思い出したけど、フォルト様って女子に大人気じゃないか。そもそもライバルが多すぎ問題があるな……


「まぁ、アリスにとっては自覚出来た事が、大きな一歩前進だったと思うけど」


「ありがと、シェリ。でも、フォルト様を狙ってる女子が多い事にハタと気が付いたから、まずは自分磨きを頑張ろうかな。……キラキラ美男子のフォルト様に、少しでも釣り合うようになりたい、かも」


 おぉ〜……と、皆から拍手をいただく。ちょ、何か照れるからやめてください。


「恋する女の子は可愛くなるっていうものね。なら私もアリスと一緒に、自分磨きを頑張ってみようかしら。どんどん可愛くなっていくアリスを見てたら、私も恋したいって思えるかもしれないわ」


 頑張り屋さんなアリスは素敵ね、と結局ミレーユにまで、お褒めの言葉をいただいてしまった。


「じゃあ、冬季休暇のお泊まりの時は、皆でオシャレ研究でもしましょうか?」


 色んな髪型に挑戦したりね、とシェリが微笑んだ。


「シェリは殿下、アリスがカルセルク様の為だろ? ミレーユは恋を探す為……皆乙女だな」


 サラは、自分は皆を見守るポジションだなと言わんばかりに紅茶を飲んで、一歩引いていた。


「あら、サラだって王宮に来た時なんかは、エヴァン様とよく話してるじゃない?」


「そーだよ、サラはエヴァン様と仲がいい感じじゃん」と、私はズイッとサラに詰め寄った。


「エヴァン様か? まぁ、皆よりかは割と話す方だと思うが……」


「思うけど、何々っ?」


 皆がワクワクと、期待に満ちた目でサラを見つめた。


「話す内容は基本的に、王宮騎士団や護衛関係の事だしなぁ」


 何か思ってたのと違う……そんな業務連絡みたいな話を期待した訳じゃないのに。


「つまりはギブアンドテイクってとこだな。将来的に王宮騎士を目指してるし、未来の宰相殿と繋がっておくのも大切だろ?」


 そう言って、あっけらかんと笑うサラなのだった。お似合いだと思うんだけど、サラはそういうつもりで接しているんじゃないのか。何だか勿体ないような、残念なような。



 よし、ここまで来たら、全員の恋愛事情を聞くまで終われないぞ……!


「じゃあじゃあ、ミレーユはっ? エタリオルでいい人を見つけたいって、夏の時には話してたけどっ!」と、私は勢いよく問い掛けた。


「それさ、ちょっと前から気になってたんだけど、ミレーユはルネと特別な関係とかじゃないのか?」


「そうよ、ルネ様とはどうなの?」


 サラとシェリも、興味津々なようだ。


「ルネ様はそうね……」


 うぅん……と、ミレーユは唸りながら首を傾げている。


「例えるなら、戦友? 運命共同体? まぁ、とにかく仲が悪い訳じゃないけど、そういう関係だから恋愛云々って感じじゃないのよ」


「えぇぇ……?」


 どういう事なんだろうと不思議に思ったけれど、ミレーユが照れ隠しで言っている様にも見えないし、まぁ本音なんだろう。


「やっぱり年上がいいわね。可愛らしい男の子は、どうしても弟に見えてしまって……」


「あ〜、ミレーユは同い年だけどラウル君の事も可愛がってるもんね」


「ラウル様は天使よね。頑張ってる姿を見てると、心が癒されるもの」


 それは同感である。私はウンウンと力強く頷いたのだった。




 ────────────────




 恋愛トークもひと段落ついたところで、話題は進級についてになる。


「2年生からは専門学科を選択するんでしょ? 希望とかっていつ取るのかな……選択は皆バラバラだよね?」


 サラは確実に魔法騎士科だろうし、クラスが分かれちゃうのは結構寂しい。


「あら? アリスったら、お兄様から聞いてないの?」


「へ?」


「特Aクラスは、1年の後期試験後、最終成績が問題なければそのまま特Aクラスとして進級するのよ?」


 一瞬思考停止する私である。


「……えっ!? つまり、成績が悪くさえならなきゃクラス替えはないって事?」


「そういう事。ただ、特Aの中でも勿論、選択授業の希望は取るらしいぞ?」


 魔法騎士科、魔法師科、錬金術科、魔法薬学科のな、とサラは笑った。


「で、その選択授業の時だけは、各々分かれて専門分野を学ぶ事になるみたいだ。だからそれ以外の語学や歴史学とか、基本の学科は今まで通り、クラスで受けるっていう流れ」


 あ、そうだったのか。完全に専門学科の選択で分かれてしまうものだと思い込んでいた私は、ホッと肩を撫で下ろした。


 なら、勉強さえ頑張れば、皆とクラスが離れる事はないよね。よ、よかったぁ……!


「2年も同じクラスでいられるように、試験頑張りましょ? 2年は特別行事もあるみたいだし、クラスが変わっちゃうのは惜しいわ」


「うん!」


 お泊まり会に、自分磨き。更には冬の王宮舞踏会や、試験勉強……冬季休暇は充実しそうな、楽しい予感がしていた。




いつもありがとうございます(*´꒳`*)

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