キャラクターの成長を実感するにはラノベという媒体はゲームにはるかに劣るのも事実です
さて、ほかのエッセイでラノベにももう少し成長や変化が欲しいとは言ったものの、単純なキャラクターの成長そのものを楽しむというだけだと、ゲームにははるかに劣るのが文字媒体であるラノベの実情ではあると思います。
特にソシャゲの序盤はキャラクターの成長も比較的スムースなので、キャラクターを成長させて最初は突破できなかったシナリオなどをクリアしていく楽しさというのがよくわかるし、実際、キャラクターを育てるのはとても楽しいのですよね。
ソシャゲなどのゲームの強みをもうひとつ挙げると、ステージ攻略に失敗しても多くの場合はこれといって大きな不利益が発生しないということがあります。
すぐには攻略ができなくてもキャラクターを強化させて気軽に再挑戦できるので、様々な障害を乗り越えていくという経験が簡単にできます。
まあ、ある程度以上になると課金をしないと全然強くならないということも珍しくないですが、私がそうなった場合は、そのゲームは放置して他のゲームを始めてしまいますね。
ソシャゲも楽しいのは最初だけってことはけっこう多いです。
しかし小説だと敗北からのリカバリーにかかるユーザーが必要な時間的コストが高い、要するに時間がかかりすぎるのでそこまで待てないという事も多いのでしょう。
私は冴木忍先生の作品が大好きなので序盤がかなり悲惨でも特に気にしませんけど、当時と現在ではラノベの売れ方が全く違うので、今となっては「多少売れなくても問題ない」と言っていられる空気ではありません。
あの頃と現在では、「多少売れなくても」という言葉で想定される事態も違いすぎるでしょうし。
漫画とラノベの差も同様であると思います。
昨年に最も売れた漫画の『鬼滅の刃』とラノベの『転生したらスライムだった件』を比べてもそうですが、漫画とラノベでは販売部数に圧倒的な差があります。また、紙はともかく電子書籍の伸びが十分な漫画と、紙の売り上げ減少を電子で補えていないラノベでは、失敗に対する寛容性も違うでしょう。
ソシャゲや漫画に比べると明らかに守りに入ってしまってるのがラノベ業界の現状なのでしょうね。
まあ、ラノベが電子に移行できない背景には、「無料のWEB投稿サイトで読めば十分だし、そもそもまとまった分量を読むだけの時間的余裕がない」という人が増えたという事情もあると思いますが。