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瀬尾まいこ「そして、バトンは渡された」感想

作者: 木谷日向子

 瀬尾まいこ先生の著作を、本作で初めて読んだ。ありきたりな言葉だがとても感動した。

 「本屋大賞」を受賞した作品なので、面白くないわけがない。ただ自分に合うかどうかだと思いながらページを開いた。

 冒頭がヒロイン・優子の3人目の父親である森宮さんが、優子にとってのある「大切な日」の朝に卵サンドを作ろうと決めるシーンから始まる。

 優子は現在高校生で、これまでの人生で母親と死別し、父親の再婚相手・梨花と共に暮らしていたが、梨花と父が離婚することになる。海外で働くことになった父に対し、学校の友人と離れたくないという幼い決断で実の父よりも梨花を選び、父と別れ、義母と2人暮らしをする。

 そして梨花が年上の相手・泉ヶ原と再婚する。泉ヶ原は裕福で優子にピアノを与えたり、不自由ない暮らしをさせるが、その不自由のなさに耐えられず、梨花は家を出て行ってしまう。

 優子は紆余曲折があり、梨花とそのまたの再婚相手である森宮さん(作中でずっと森宮さんと呼ばれているのでここでも呼ばせてもらう)と暮らすことになるが、梨花が突然出て行ってしまい、全く血の繋がりの無い森宮さんと親子として2人暮らしをする……。

 親が何度も変わっていくという複雑な人間関係に置かれた優子だが、終始不幸を感じさせない。

 それは優子がどの親にも違った形の愛情をそれぞれの時代で受け取っている描写が丁寧に描かれているからだ。

 逆に、家庭外の学校生活で優子が虐められてしまうシーンがあるのだが、その問題を家庭での出来事で解決していくという過程が描かれている。

 キャラクターも良く、特に森宮さんのひょうひょうとして丁度いい優子との距離感が好感が持てた。

 森宮さんが優子に作る料理のそのすべてが飾らない愛が込められており、2人で家で料理を食べるシーンが温かかった。この2人の食卓に混じって自分も共に森宮さんの料理を食しているかのような空気に包まれる。

 こういう設定でよくある悲劇ものや愛憎劇ではなく、梨花が何故優子を置いて出て行ってしまったのかもクライマックスで明かされ、優子が梨花から受けていた愛を感じさせて涙が流れた。

 同じような離婚・再婚を繰り返して生きてきた方には、優子が愛され過ぎており、家族とも上手くいっていくので共感が持てないかもしれないが、温かい家庭愛と料理、そしてピアノが好きな方にぜひおすすめしたい。

 親子とは何なのかを考えさせられる本だった。


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