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番外編 俺の友人

番外編というか物語に直接は影響しないような日常展開です。最後の方は今後に影響してしまいそうですが....。そんな感じの普通より少し長めの番外編をお楽しみください!



***


颯天(はやて)の家で勉強会?」

「そうそう、今日は土曜日だし透也も珍しく何も無い日なんだろ?それなら集まらない訳にはいかないだろ!」

現在の時刻午前8時02分。

いつもならもう少し寝ていたい時間だが、突然の友人からの電話により起こされてしまった。

今俺と電話をしているのは友人の松原陽介(まつばらようすけ)

俺はよく颯天と陽介とつるんでいる事もあり陽介は俺達2人に遠慮という概念は無いのだがそれが彼の良い所であり、俺と颯天も慣れっこなので今更朝早くに起こされたくらいでは気にする事も無い。

ちなみに颯天にも遠慮が無いというのは、

「勉強会は良いが、颯天の方には許可取ってるのか?」

「うん?取ってないお!!」

まさにこういう事である。

しかしこれでも俺含め友人達にとってのリーダ一格であり、お泊まりの予定、焼き肉をする等のイベントごとは大体陽介が主催という事もあり信頼度は意外にも非常に高いのだ。

「まぁ、本当に何も無いから別に良いけどさ」

「やったぜ!じゃあ9時に颯天の家集合な!それじゃ!」

そう言って電話は切られてしまった。

普段の俺の土曜日は地域ラジオに出演したり、声優の学校へ行ったりしているので、土曜日まるまる空いているという事は先程陽介が言っていたように珍しいケースである。

「それを理解して今日突然連絡してきたとなると......やっぱり陽介にも警戒しとかなきゃな」

俺は苦笑混じりにそう呟く。

颯天もそうだが陽介も鋭い所があるので気を許すと旭ちゃんの事が簡単にバレてしまいそうなのだ......。

「一応、旭ちゃんに言ってから出るか」

帰ってくるとはいえ恐らく17時を過ぎるだろうからな。

俺はまだスヤスヤと気持ちよさそうに寝息を立てている居候家出少女に一応小声で声をかける。

「旭ちゃ一ん。俺、友達の家で勉強会する事になったから出掛けてくるけど夕飯前までには帰るからね」

そう言い残し俺は部屋を出た。



そのすぐ後の事。

「......ファっ、透也さん今日出掛けちゃうんですか!?せっかくのお休みなのに私を1人にするんですか!!」

1人で5分前の俺に今更文句を言う旭ちゃんの事を俺は知るよしもなく、帰ってきた後に旭ちゃんと徹夜でゲームをする事になるという地獄についても知るよしが無かった。


***


午前9時を少し過ぎた頃。

俺は颯天の家に着き、いざ勉強を始めようと思っていたのだが、

「......なんだこの状況は」

「おう透也、待ってたぜ一!」

「いらっしゃい、お前の気持ちは俺もよくわかるぞ.....」

颯天の部屋にある机には『人生ゲーム』が広げられており、細々としたアイテムの準備も万端という勉強会とは程遠い状況になっていた。

「俺は勉強会って聞いたんだが......」

「うん、これも1つの人生の勉強だろ?」

陽介さん、マジですか。

颯天は既に諦めているようで大人しく机の前に座っており、自分のコマで遊んでいた。

色々と颯天がツッコミを入れてもダメだったという結果だけは十分に伝わったので俺も早々に諦める事にする。

「そんじゃ透也も早く座れよ!そんなとこにいつまでも立ってないでさ!狭いとこだけど我慢してね一」

「陽介くん、ココ俺ん家俺ん家。なんなら出ていく?」

「うるせ一このハゲ!ってな訳で人生ゲームスタート一っ!」

「陽介くん本当に出ていこうか」

「ハイスミマセン、ゴメンナサイ!!亅

そんなこんなで俺達は人生ゲームを始めていった。

勉強会のつもりがこんな事になるとは......。

心のどこかでこうなる事を予測して勉強道具を少なめにしていた俺もこんな事に慣れてきた証拠というか陽介に影響を受けているのだろう。

しかし、陽介が普通に人生ゲームとはなぁ....。

以前は本当に初期のファミコンを持ってきて遊ぶという『こんな高校生いないよな』と驚かされたものだったので、何となく予測していた分、人生ゲームとは少し拍子抜けしてしまう内容ではあった。

そう思っていた矢先、

「あそうだ、最下位の人に罰ゲーム用意してあるから!」

「「ハァ!?」」

人生ゲームもなんだかんだで終盤という所で陽介はとんでもルールをぶっ混んできた。

ちなみに今の人生ゲームの順位は、

・1位:陽介・2位:颯天・3位:透也

となっている。

終盤でこの状態であり陽介はもうゴールまであと1マスというダントツトップであり、颯天も余裕で2位を維持する事が出来る位置なので特に問題は無いだろう。

その点俺はと言うと、序盤からずっと4マス以上の目が出ないという神様からのいじめを食らっていたので2人の大分後方あたりにいるのであった。

「......罰ゲーム確定じゃね一か、俺」

「あたりまえだよなぁ?」

「陽介お前ソレ、透也に殺されるぞ......」

その後の人生ゲームの結果は......どう足掻いても無理でした(≧∇≦)



***


「ってな訳で、罰ゲームは透也くんに決定一!」

陽介は持ってきた人生ゲームを一通り楽しめた事もあり、テンション高めなご様子。

「俺は何をさせられるんだよ......」

「そうだな、じゃあ透也の秘密にしている事のヒントでももらおうかな?」

「俺の秘密って......まさか!?」

「前に俺が聞いたやつだよ。なんで声優目指してるのに小説書いてるのか一ってやつ」

「.........。」

俺が小説を書いている理由が秘密になっている理由。

それには旭ちゃんが大きく関わっている。

というか秘密自体が旭ちゃんな訳だしね?

そのため下手な事は言えないが、ヒントだけでも良いらしいので俺はそれとなく答える事にする。

「俺が小説を書く理由はとある人の事を少しでも理解しようと思ったからで、正直言うとただの自己満足なんだよ。そのとある人も俺と同じように『小説家になろう』ってサイトで小説書いてるんだけどさ。俺はその人の事をどうしても理解しなきゃいけないんだ。だからその人と同じ事を俺が勝手にしてみているってだけの事だよ。颯天みたいな読者がついた事には正直驚いてるんだぞ?」

俺は2人の友人に要所を隠しながらだが、今の俺の思いを伝えてみた。

大事な部分を隠して伝えたのでどこまで理解してもらえたのかはわからないのだが、1人で抱えていた時よりもいくらか気分が軽くなるのを俺は感じ、勝手に満足してしまっているようだ。

颯天と陽介はその間、静かに話を聞いていてくれており、俺の人生ゲームの罰ゲームはとても罰ゲームとは呼べないなんだか曖昧な物になってしまった。

その後の事については、俺の下げてしまった空気を陽介がいつもの調子で壊してくれた事もあり、勉強会など一切しないまま、いつものように遊び続けた後にその日は解散となった。


その日の帰り道。

「あ、小説が更新されてる......」

俺は『小説家になろう』での人気作品の1つを執筆している作者のページを開いて苦笑混じりに、

「相変わらず才能が凄いな......やっぱり『ちゃんと』理解するためには俺からもっと踏み込んでくしかないんだろうなぁ....同じ部屋で暮らしてるんだし、今は俺が保護者みたいなものなんだしな......」

と長い独り言を呟いた。

俺が小説を書いているのは旭ちゃんが思っている事を少しでも理解しようと思ったからだ。

彼女には色々な事情があるので少しでもその気持ちを理解するために俺は形から入る事にしたのだ。

結果的にそれはお互いにとっての1つの話題になっているので間違ってはいないのだろう。

そんな事を思い直しながら、俺は『徹夜でゲーム』という地獄と旭ちゃんが待っている部屋へと帰るのだった。


やっぱ彼女には居候の自覚が足りてねぇ!!



***


誰かの過去と誰かの今や颯天や陽介との出会いなんかも含めて、全く関係のない事が偶然にも合わさると面白い事が途端に起きるんじゃないのかと俺はそう考えるようになった。


何故なら俺らの毎日というのはこの物語も含め、大体いつも『そんな感じ』に作られているのだから。


颯天と陽介にはモチーフになった友人がいて、セリフ等は勝手にいつもの会話をベースにさせていただきました。これを読んでいるリアル颯天、リアル陽介に感謝すると同時に皆様にも感謝を!誤字やアドバイス、感想コメントやブックマークをしていただけると執筆の励みになりますのでよろしければ是非お願い致します!

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