1人暮らしの始まりと1人暮らしの途中結果
前話で質問されたのでその回答をここに.....。学校生活での透也は作者である僕の役職をベースにしています(声優志望やラジオ出演、生徒会活動等)。そして1人暮らしをしているプライベート透也くんについては完全にフィクションになっていますので、あくまで1人のキャラとして透也くんを認識してあげてください♪
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高校に入学する少し前の春休み。
俺は1人暮らしを始めるために契約先のアパートに訪れていた。
アパートの外では既に大家さんが待っていてくれており、部屋の細かい説明や契約等は既に終わらせているので部屋までの案内をしてくれるそうだ。
「あの、これからよろしくお願いします」
「ハイよろしく。だが若けぇもんがそんなに気を使う物でないよ。今日からここはアンタの家なんだしねぇ」
大家さんマジ良い人......。
おばあちゃんみたいなんてのは恥ずかしくてロには出せないが本当にそう思った。
「ここがアンタの部屋さ。隣には誰も住んどらんし居るとしたらここの丁度上の部屋には人が住んでるからね。少しくらい音を出しても迷惑は誰にもかからんさ」
俺の部屋は3階建てアパートの2階だ。
大家さんがいうには両隣は無人でここの部屋の上の階には人が住んでいるという事らしい。
大家さんは「それじゃあね」と言って管理室へ戻って行った。
俺は部屋の鍵を開けて中に入る。
床はフローリングになっており、バス・トイレは同室。
アパートにしては豪華な仕様で冷蔵庫や電子レンジ、洗濯機、テレビ等は既に部屋に設置されていた。
「これで家賃も学生に優しいお値段とか......大家さんって何者?」
俺は実家から持ってきた必要最小限の荷物を床に下ろし、一度部屋を出る。
アパート内の住人の方々への挨拶周りをすることにしたのだ。
挨拶は早い方が印象良いだろうしな。
2階の両隣には人がいないのだが、1階や3階には人が住んでいる。
2階の住人が何故少ないのかについては1階と3階からの苦情を受けやすいのが原因かもしれないと大家さんが言っていた。
「これから下の階に住む事になりました。山岸透也といいます。よろしくお願いします」
挨拶を下の階から準にしていき、最後の挨拶は自室の上の階の方になった。
「ふぅん、アンタ下に住むのね。私は和泉って言うの、よろしく。それじゃ」
上の階の和泉さんは淡々と挨拶を返した後すぐに部屋に戻ってしまった。
年齢は20代後半のようだがやけに目つきが鋭い女性だった。
正直怖いし随分と無愛想だな......。
まぁ、関わる事はそんなに無いだろうしこれで良いのかもしれない。
この日、俺は挨拶をした後、部屋の整理をして一日を終えた。
その一連の中で俺は和泉さんが部屋に戻る時『一瞬だけ見えた女の子』の事が何故か頭から離れなかった。
涙目でこちらを見つめる女の子。
その姿がしばらく忘れられずにいた。
***
さて、これは今現在の話。
旭が合鍵を持っていると判明した日の夜のことだ。
「今日は和食にしてみたよ一!」
そう言って旭ちゃんは用意していた料理をリビングへ運んでくる。
今日の夕飯はタケノコご飯に焼き魚、そして野菜たっぷりのお味噌汁というまさに和食オンパレードだった。
「これ全部旭ちゃんが作ったの?」
「和食が作れる女の子ってなかなかポイント高くないですか?透也さん!どーです?私に惚れちゃいました?」
「相変わらずだね......まぁ、惚れるかどうかは別として和食が作れるってのはポイント高いと思うよ。それじゃ、いただきます」
「召し上がれ一♪」
実際、旭ちゃんは和食だけでなく洋食も作れてしまう。
洗濯やら掃除も難なくこなしてしまうので、ここしばらく俺の家事スキルの出番がない。
誰?俺が家事出来なくて任せっきりにしてるとか思ってる人は。
......ん、今日の夕飯も美味しいな。
いや、ちゃんと料理も洗濯も掃除もできるからね!
本当だぞ?!
「黙々とご飯を食べる透也さんは可愛いですね!ずっと見てられます」
旭ちゃんは本当に楽しそうにニコニコしているのだが、俺からしてみればやはり違和感がある。
それは先程の合鍵の件で感じた違和感と同類の物だ。
「どうしました?」
「いや、なんでもないよ!やっぱり美味しいなって、旭ちゃんの料理」
ここでその事に触れるのは少し違う気がしたので俺は適当に話の方向を別の方に流した。
気付けばいつの間にか完食していたようで、本当に黙々と食べていたのだと思うと今更ながら恥ずかしい。
しかもずっと見られてたんだっけ......?
「さて、透也成分も摂取できたのでサクっと洗い物済ませてきますね♪」
「いや、それぐらい俺がやるよ。旭ちゃんこそゆっくりしてていいんだよ?」
というか透也成分とはなんだ。
新手の栄養分ですかね。
しかしそんな旭ちゃんは納得いかないらしく「いえ!私がやりたいんです!私に洗わせてください!」と説得するのは無理そうな勢いなので、旭ちゃんがお皿洗い、俺がその皿を拭くという分担手段に落ち着く事になった。
***
2人でテキパキとこなしていけば洗い物等10分程あればすぐに終わる訳で。
今は夜の20時を少し過ぎた所。
宿題もなく昨日小説を更新した俺は特別しなければならない事は無いので、今日はもうゆっくりしようと思っていたのだが。
「さて、洗い物も終わりましたし......透也さん!ポッキーゲームしませんか?」
「......え、ん?ハイ!?」
俺は突然のあまり本日2度目の変な声を出してしまった。
どうやら俺の1日はまだ終わらないみたいです......。
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