あなたの知らない世界
今日の新聞、
近所に葬祭場ができたというチラシが入っていました。
チラシの中に「人形供養祭」の文字
やっぱ、こうゆうの必要だよ、と真剣に思うのです。
なぜか? それは私自身、こんな体験をしているからでした。
まだ、私が独身貴族だった頃
実家は貸しビル業をしており、人が住めるようになっていたので
当時も何人か入居者が居ました。
ビルの後ろに居住用の家があり、私は母と一緒にそこに住んでいました。
その日は日曜でした。
一軒屋で二人で暮らしているとあまり使わない部屋というのが出てきます。
その、あまり使わない部屋に、その日はなぜか入ってしまったのです。
からりと襖をあけ、一歩中へ入ると寒気がしました。
そして、妙な気が部屋中に満ちているのがわかったのです。
ナニ、コレ、……殺気 イヤ……コレハ怒気!!
部屋中に渦巻く怒りの感情
一刻もはやく部屋をでたい気持ちを抑えて、私は慎重にあたりを見回しました。
書道、茶道の道具、その他もろもろの雑貨はいつもどおり
目の前のものをひとつずつ確認して、突然悟りました。
後ろ!、コノ怒気は私の真後ろから来ている!
振り向いた私の眼に飛び込んできたのは、鮮やかな着物を身に纏った
市松人形でした。
何で、こんなところに市松人形が……
私は凍り付きました。