ヤブと名医の話 その2
お医者に受診してくれと言われれば
それはイコール病気っていう意味だよね!
私の眼の病気って一体なんなの?
白内障?緑内障?
うーん、あのお医者さんは
「ぼくも、見たことないから」って言ってたような……
見たこと無い病気って一体……
翌日、休みを取って、
私のおじさんお勧めのT病院を受診しました。
夫婦でやっている小さな医院で、
健康診断を受けた総合病院の
目と鼻の先にありました。
受付をすませ、待合で待っていると名前を呼ばれました。
診察室に入っていくと、三十代前半
せみロングの優しそうな女の先生が待っていました。
「今日は、どうされましたか?」
声もやさしい。
「あの、健康診断で引っかかって、
眼科を受診するようにいわれたんですが」
「そうですか、ではどうぞ」
促されて、機械の前に座った。
先生は、機械を通して私の目の中を覗き込んだ。
そして、一言小さな声でつぶやいた。
「……キレイ」
えっ?……キレイって、私って瞳の中は美人だったの?
なんか、うれしーかも
じゃ、なくて、
うろたえているとまぶたの上をそっと押さえられた。
「うん、眼圧も問題なし」
「大丈夫、なんともないですよ」
にっこり微笑んでおっしゃる先生
「でも、あの、眼底写真に雲みたいな物が写るっていわれたんです」
「くも?……」
小首をかしげていた先生は
「ぷっ……」
と噴出し、口を抑えて笑いをこらえている。
ついと立ち上がり、隣の部屋から、分厚い医学書を持って帰ってきた。
そして、ページを繰りながら一枚の眼底写真を見せてくれた。
「もしかして、雲って、コレですか?」
「あーっ、コレです。これです」
まぎれもなく私のと同じ眼底写真
「これは、網膜です」
「も・う・ま・く……」∑(゜Д゜)
誰でも、平等に持ってるアノ網膜!
あんのぉーヤブ医者ぁーーー
見たこと無いっていってからにー
「網膜は普通、20歳くらいまでに眼底写真に写らなくなるんですが
瞳がきれいだったから写っちゃったんですね。」
にこにこして先生がいう。
なーんだ。そうだったんだ。
心配して損した……ほんとにもうっ
一通りの診察が終わったので
お礼を言って診察室を出た。
お金を払うために待合室で待っていると
診察室から先生がヒョイと顔を出して言った。
「ただでいいですよ。何もしてませんから」
「えーっ、でも、でも」
丁寧に診て貰った上に、医学の薀蓄まで教えてもらって
なんか、申し訳ない……
今時、こんなお医者様がいるなんて……
おじさんが薦めるはずだわ。
この先生、ホントの名医だわ~
大病院のヤブと開業医の名医、あなたはどちらを受診しますか?
以上、紫雀の体験談でした。




