恐怖の刺青美術館
こんにちは、紫雀です。
昔、紫雀の実家は医者でした。
隣は幼稚園、裏に小学校という、素晴らしい環境で育ちました。
しかし、なぜか暴力団の事務所も近く、川をはさんで反対側は繁華街
近くにシマなんかもあったりして・・・そういう人は珍しくありませんでした。
故に紫雀の家では、
暴力団を「坊っちゃん」
やくざを「ヤッちゃん」
チンピラを「チっちゃん」と呼んでいました。
ある日のことです。実家の風呂が壊れて
家族で近所の銭湯へ行くことになりました。
銭湯は温泉です。私は、皆満足して
帰ってくると勝手に思い込んでいました。
しかし、終始無言だった弟が、家に入る
なり開口一番、こう叫んだのです。
「もう、ぼく、絶対 あの風呂屋に行かないからね!!!」
一体、何があったというのでしょう。
弟が、脱衣室に入って、服を脱いでいるとそこへ、暴力団御一行様がやってきて
あっという間に服を脱いで、弟より先に風呂場の方へ行ってしまいました。
あっけにとられていた弟も、
遅ればせながら、風呂場に入っていくと
そこには、ずらりと座った
坊ちゃんたちの背中!背中!!背中!!!
色鮮やかな牡丹の花や、桜吹雪、
弁天様や、観音様の図柄が美術館
さながらに並んでいたそうです。
想像する方は可笑しいのですが、本人にとっては身も凍る体験だったようで
ろくに風呂にもつからず、さっさと上がってきたのだとか・・・
シマが近いとこんなこともあるのです。