4個目:北欧神話編簡潔手前。
中途な話です。気をつけてください。
さて前回いろいろすっ飛ばしまくりましたが、ついてきてる人どれだけ居るんでしょう?
今回もまだ異世界。早く帰りたい今日この頃。
でもわっちゃんお持ち帰りは決定です。
ミーミル探して北欧神話の世界を探検です。
いきなりですが、私は彼とはぐれました。傍らにはヴァルキリーのわっちゃんしかいません。
それはまあ良いのです。ちまっちゃくて可愛いわっちゃんの方が一緒にいて楽しいですし。
そんなことより、今私たちは追っかけられてます大変です。
追っかけてくるのはでっかいドラゴン。どう見てもニッドヘグです。
わっちゃんの手にも余るようで一緒になって逃げてます。
たーすーけーてー。
…………
………
……
何で誰も来ないんですか! 普通ならここで誰か颯爽と来て助けてくれるのにー。
それか『こんな事もあろうかと』的なアイテムで何とかしてくれるのにー。
「それは少年漫画のお約束です」
冷静なツッコミを入れるわっちゃん。お姉さん、思わず振り向いてしまいましたよ。
何で思考が読めるんです?
「頭の横に吹き出しが」
何ですとー? 彼の行ってたちょっかいって、そんなんなのカー?
「車がどう関係するんですか」
そこをツッコまれるとちょっと切ない……。て、そんなのいいからどっか良い場所ないですか。
「そこの影に洞窟有ります。入り口小さいから追いかけてはこれないでしょう」
ようし逃げ込めー。
「言い忘れましたが、そこにはロキが居ます」
わっちゃんそういうことは先に言おうね。
逃げ込んだ先にロキが居たのは幸いでした。
なんて言うか前門の虎、後門の狼といった感じです。
ありがたいなあ。
「……随分面白い奴だな。なんだその頭の横に出てるのは」
これですか? 吹き出しですよ。コミックですよマンガですよ? 考えてることだだ漏れです。
「何か書いてあるようだがさっぱり判らん。どういう意味なんだ」
おや? わっちゃんはスムーズに読んでたのに。神様のロキが読めないなんておかしくないですか?
わき上がる疑問はこの際置いといて。
「とりあえず、これは吹き出しという不幸なものです」
私は多分有るであろう場所を指さして言った。
「何で不幸なんだ?」
「考えてること漏らしまくりなんですって」
「なるほど。それは困るな」
「そうでしょう」
なんだか親近感。仲良くなれそうな予感。
おや、ロキさん、なんですかそれ。なんだかペンのように見えますよ?
「しかし俺には読めんな。昨今の人間はみんなそんなモノくっつけてるのか」
「いえ、きっと私だけだと思いますよ?」
「そうなのか」
で、なにやらロキは私に近寄ってきて、吹き出しになにやらし始めました。
『………(一般小説につき、公開できません。ご了承ください)』
「って、うわぁ! これ頭の中に直接書き込めるんですか!」
「ほう、そうか。それは面白い」
「面白すぎです!」
「ほれ、こう書くとどうなる?」
ロキが単なるエロオヤジ化してます。これも私の美貌のなせる技なのね?
でも、これってテレパスみたいな感じだなぁ。
「特に何もおこらないのか」
「書けるだけで、影響ないみたいですよ?」
ロキは、ぽい、っとペンを放り出した。興味なくしましたか。
「うむ」
ありがとう。
「いや、どういたしまして」
おや?
「おおう」
読まれてますか?
「読めるようになったな。二分割だ」
吹き出しが進化しました。どうやら書き込まれた文字を勝手に取り込んでくれるらしいです。迷惑な。
「便利だろう」
そうかも知れませんけどー。
あれ?
私はふと気付いて辺りを見回した。しかし、わっちゃんの姿はない。
そういえばわっちゃんはどうしたんだろう?
「わっちゃんとは誰だ?」
ヴァルキリーのわっちゃんです。手のひらサイズで可愛いのです。萌えるのです。
「……そんなヴァルキリーは居ないはずだが」
え? じゃあ、わっちゃんて何者?
「アーブルヘイムの妖精じゃないのか?」
むぅ。疑念が拭えません。これはお持ち帰りの刑決定です。連れ帰って可愛がるんだー。
「吹き出しがピンク色だな」
「それはどうでも良いんで訊きたいことが」
「結構楽しませてくれたからな。聞こう」
話が早くて助かります。ミーミルの場所知りませんか? ビフレストでも可。
私は洞窟の外をうかがってニッドヘグがいないのを確認した後、ロキの洞窟を出発しました。
クライマックスへジェットコースター並みに急加速。
そう加速してない? 気にするなー。
お約束も無視してミーミルの所へ一直線。
わっちゃんも拾ってく必要があるので大変です。
それでなくても彼が何処にいるのか判らないし! 守るって言ったくせにー。
ちなみにミーミルはヴァン神族の所にいるそうです。
ああ、歩いていくのかー。遠いなー。スレイプニルが欲しいなー。
彼がいれば解決しそうなのになー。
グルルルル………………
なんの唸り声だろうなー。気にしたくないなー。わっちゃんどこかなー。
魔剣グラムよ、へいカモーン。ジークフリードさーん出番ですよー。
全力疾走よーいドン。
ニッドヘグさんここまでおいで。嘘ですごめんなさい来ないでー。
ギャアァァァァァ………
なんか凄い唸り声ー。たーすけてぇーい。
「大丈夫だ。もう、追っ払った」
えー。それはそれで問題ですよ。パターン踏んじゃいましたよ。どうしましょ。
「……それは申し訳ないことをしたと言えばいいのか?」
言う必要なく。
私がこの方に向き直ると、そこには長身のわりと美男な人が立っていました。
崖の上に。基本なんですか、この世界でも?
その横には何故か彼。
「助かりました、ありがとうございます」
とりあえずお礼を言います。そこの美男。
「礼には及ばない。この男に言われてやっただけだ」
さらっと言う美男。嬉しそうに笑ってる彼。
久しぶり。横のは誰です、そこの彼。
「彼がミーミル。どうやら彼も迷子みたい」
予想してましたけど、やっぱがっくり来ますねー。結構あっさり。離れてるうちに何があったのさー。
「しばらく離れてたけど君は面白くなったね」
彼は私の吹き出しを見て言った。
「彼女の普通だと思ったが、違うのか」
こんなモノくっつけたのがどの世界にいるんですかそこの人。
「確か、あれはフー・キ・ダーシ世界だったと思ったが」
有るんですかそんな世界。冗談も通じませんか。
「このミーミルは世界を渡れる人だから」
「魔法使い、と自称しているな」
第三の魔法使い。忌まわしい秩序の飼い犬とかそんな感じですか。
それはさておきこの人は迷子なんですね? ミーミルさんが帰ろうと努力したせいで、おかしな事になったんですね?
「残念だけど違うよ。特異点はまた別にあった」
最初と言ってること違いませんか? 確かミーミルどうにかするって話では?
「彼も特異点ではあるけど、自覚有るから大丈夫。むしろ無自覚な特異点の方が問題」
何ですかそれ。
「ちっちゃいヴァルキリー。お持ち帰ってもらわないと、どうにもならないみたい」
いよし、公認! それじゃ早速わっちゃん探しににレッツゴー三匹。
で、二人して何であきらめ顔ですか?
さて、次もまだこの世界です。いいかげん帰りたいところです。