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プロローグ
「えっと…大丈夫?」
「ふぇ!? あ、は、はい。大丈夫、です…」
「そっか。ならよかった」
俺はその場にへたり込んでいた彼女に手を差し伸べる。
差し出された手を不思議そうに見つめ、やがてその意思を理解した彼女は、俺の手を掴み、ゆっくりと膝を立てる。
それを合図に、俺はそっと力を込め、彼女の身体を引き起こす。
「あ、あの…ありがとうございます。おかげで、助かりました」
「気にしないで。困った時は、お互い様って言うだろ?」
「そう、ですね」
俺の返答に、目の前の彼女は表情を崩し、優しく微笑んだ。
そんな彼女の姿に、俺はドキッとした。
吸い込まれそうなくらいに透き通った、綺麗な青い瞳。
そよ風に揺れる、ハニーブロンドの髪。
10人に聞けば間違いなく全員が美少女だと答えるであろうその容姿に。
俺にとっても、それは例外ではなかったようだ。
今もまだ、心臓がバクバク言っているのがよくわかる。
「あ、あの…。もしよかったら、お名前を聞かせてもらってもいいですか?」
「へ? あ、あぁ。えっと、俺は――」