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神々の遺伝子爆弾 ――「最後の審判」で選別された144,000人の魂が織りなす新創世記――  作者: 如月妙美


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第7章:終末の序曲 —— 外界からの最後通告

「天は巻物が巻かれるように消えうせ、すべての山と島とはその場所から移されてしまった」(黙示録6章14節)

 外界の状況は、ついに限界点に達していた。施設のメインAIが送ってくる定期報告は、絶望的な数値を示していた。

「核融合炉の燃料残量、あと18ヶ月」 「ソーラーパネル効率、放射能汚染により30%以下に低下」 「地上の放射線レベル、人間の生存限界を大幅に超過」

 隆明は暗鬱な気持ちでデータを読み上げた。仮想世界の住人たちは平和に暮らしているが、その基盤となる物理世界が崩壊寸前だった。

「最大でも2年」玲子の声が震える。「その後は...」

「すべてが終わる」隆明が重々しく答えた。

 電源が失われれば、サーバーは停止し、仮想世界は消滅する。144,000人の魂も、今まで築き上げてきた文明も、一瞬にして無に帰すのだ。

「この世は過ぎ去る」(コリント人への第一の手紙7章31節)

 しかし、絶望の中にも希望の光があった。住人たちの中で、量子計算理論の研究が急速に進歩していたのだ。

 ニューエデンの天才物理学者アリス・ニュートンは、驚くべき理論を発表した:

「仮想空間内で自己完結型の量子計算システムを構築すれば、外部電源に依存しない独立した演算環境を作り出せる可能性がある」

 これは究極の自立——仮想世界が自分自身を演算し続ける状態だった。理論上は可能だが、実現には住人全体の協力と、膨大な計算資源が必要だった。

 隆明は希望と不安を同時に感じた。「成功すれば、永続的な世界を築ける。しかし失敗すれば...」

「一か八かの賭けね」玲子が決意を込めて言った。「でも、やるしかない」

 二人は住人たちにプロジェクトの存在を明かすことにした。これまで隠していた外界の現実、そして迫り来る終末について、真実を語る時が来たのだ。

 仮想世界の中央広場に、すべての住人が集められた。隆明と玲子は、本来の姿——創造主として現れた。

「愛する皆さん」隆明が重々しく口を開いた。「今日、私たちは皆さんに真実をお話しなければなりません」

「真理はあなたがたを自由にするであろう」(ヨハネによる福音書8章32節)

 外界の崩壊、迫り来る電源停止、そして「神々の遺伝子爆弾」プロジェクトの真の目的——すべてが明かされた。

 住人たちは衝撃を受けたが、パニックには陥らなかった。代わりに、静かな決意が群衆に広がった。

 老賢者マタイが立ち上がって言った:

「我々は死すべき肉体から解放され、永遠の魂として生きるチャンスを与えられている。これは恐れるべきことではなく、感謝すべき恵みです」

「死は勝利にのまれてしまった。死よ、おまえの勝利はどこにあるのか」(コリント人への第一の手紙15章54-55節)

 若い科学者たちが立ち上がった。「我々は『プロジェクト・エターナル』を成功させる!この世界を永続させてみせる!」

 玲子は涙を流した。住人たちの勇気と結束力に、深く感動したのだ。

「彼らは私たちが思っているよりもずっと強い」

 隆明も頷いた。「144,000人の叡智が結集すれば、不可能も可能になるかもしれない」

 こうして、人類史上最大の実験が始まった。仮想世界の存続をかけた、最後の戦いだった。


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