義父とギフトを買いに行く
刑務所の夫と面会した帰りに、百貨店で義父と待ち合わせをした。この時期になると毎年、被害者のご遺族への贈る品を二人で買い求める。私たち加害者の家族にできることは限られている。これが、せめてもの償いなのだ。謝罪の気持ちと真心を込めて、送り届ける。たとえ、受け取ってもらえなくても。
会うといつも義父は私に「すまないねえ」と謝る。義父が謝ることじゃないのに。
顔は似ているが、義父と夫の中身は大違いだ。夫が私に謝ったことは一度もない。遺族への贈答品を欠かさない私たちに感謝してくれたこともない。本物の屑だと私は思っている。反省の姿勢を示せば仮釈放が認められるかもしれないと言って遺族へ手紙を出したら「内容に反省の色がない」と逆に激怒された人間だから、もう諦めているけれど。
ギフトを買った帰り、義父は言った。
「来年からは、俺一人で買うよ」
私は聞き返した。義父は微笑みながら言った。
「あなたは、まだ若い。息子と別れて、新しい人生を送ったほうがいいよ」
またか、と私は思った。以前から、義父は私に離婚を勧めていた。その都度、私は拒否した。夫を愛しているからではない。義父と離れたくなかったからだ。
私は義父を愛している。
早くに奥さんと死に別れた義父は、男手一つで夫を育てた。その育て方が悪かったのだろうと苦し気に呟く横顔を見つめて「この人だけに償わせてはいけない」と誓ったときは、愛情はなかったと思う。
だけど、一緒に苦難を耐え忍ぶうちに、いつしか私は義父を愛するようになったのだ。
いつか、この想いを伝えたい。そして私自身の体を、義父に捧げたい。
心からの贈り物を義父は、受け取ってくれるだろうか……そんなことを考えながら、私は首を横に振った。
「私は別れません。お義父様と一緒に、あの人の罪を償い続けます」




