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マリー・グランヒルは愛を教えたい  作者: kwkou
三章 マリー・グランヒルの友達への道
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36話 アドバイス

 あまりの衝撃の事実に私は完全にパニックになり、驚きの言葉も出てこない。

 角まちで驚き、急な雰囲気の変化で驚き、そしてそれがアレクトロ家の人間であることに驚き、もう脳がショートしてしまっている。


「おねーさん?固まってるよ?私が自己紹介したんだから反応ぐらいしてよね」


「…」


「あ、もしかして驚きすぎて脳がフリーズしてるんだ。あはは、おもしろーい」


「…はっ、」


「あ、起きた。おねーさんおはよー。いい夢見れたー?」


「なん、なの?あなた…」


さっきからイライラする口調でからかってきたかと思えば急に凛としたり、またからかったり、…一体この人は何がしたいんだ?


「だから、言ったじゃん。私はグラーム家の可愛いアイドルで間抜けなおねーさんにアドバイスしにきたの」


「アドバイスって…うちに帰れってこと?」


「ふふ、大正解!やっぱおねーさん賢〜い」


「必要ない…私はまだやれる」


「ふふ、立てもしないのに威勢だけはいいね。」


「うるさい!」

 

 この人の喋り方…いちいち癪に障る。こっちの気持ちをわかっていながら私に家に帰ることを強制してくる。

 私だって、家に帰った方がいいのはわかる…

でも、私にはもう時間がないんだ、1秒でも多く勉強してクラメルの点を追い越せるようにならないと…そうしないと、私は彼女を助けることができない…。


「おねーさん何をそんなに焦ってるの?まだテストはたくさんあるのに」


「それは…1秒でも早く彼女を…」


…あれ?私なんでこんなに焦っているんだ?

 彼女を救いたいと思って1秒でも早く友達になりたいという思いはあるが、別に無理してまでやる必要はあるのか?

 確かそう思うのはわたし直感が…


「…なるほど、そうなるのか。」


「は?」


 彼女はまた凛とした雰囲気になり、何かがわかったような表情をした。

 さっきからこうコロコロ変わるとなんかまるで二重人格みたいでちょっと怖い。


「うん、どうやら君の考えは正しいらしい。1秒でも早く助けるというのは間違っていない、むしろそうしなければ間に合わないかもしれない」


「…え?なんでわかるの?」


「それはまだ言えないな。私にも秘密にしたいことはあるのでね」


「…まあそうですね。それはそうと、そろそろ私生徒会室に行きたいんですけど」


「おっと、それはだめだ。さっきも言ったが君はまだ心に傷が残っているんだ、それを治すことは何よりも優先されるべきことなんだ」


「…でも、あなたの言った通りなら時間が…」


「それはそれ、これはこれだ。まだ立たないような人間がする無理はもう不可能に近いんだ。まずは休め、」


「もう立てますよ!」


「マリー様〜」


 フラフラする足を抑えようやく壁にもたれながら立ち上がりいけらという意思を表そうとした時、後ろから私を呼びかける声がした。

 まさかと思い振り返ると、やはりそこにはルイちゃんがこちらに手を振って向かってきている姿があった。


「ほら、君の可愛いメイドさんもきたんだし大人しく帰りなよ」


「…っ、もう!わかりました、帰ればいいんでしょ帰れば!」


「ああ、そうしてくれ。君には君を心配してくれる人がたくさんいるんだ、その子達に心配をかけることはあまりあってはならないからね」


「…そうですね、まあアドバイスありがとうございました!」


「ふ、イライラしているなら言わなくてもいいのに。まあ、確かにアドバイスと言ったアドバイスもあまりしていないしな。」


「そう…」


そうですよ、と言葉を繋ぐよりも先に彼女は私に今までで一番真剣な顔でこう伝えてきた。


「せっかくだし、一個教えてあげよう。ーーー」










「…………え?」


***


「はあ、はあ。マリー様大丈夫ですか?腰が抜けたとか聞きましたけど」


「…うん、大丈夫。ただ…」


「ただ…?」


「いや、なんでもない。私、まだちょっと暗いところ怖いみたいだから一緒に手繋いで帰りたいな。」


「そうですね、手を繋いで帰りましょう、」


 ルイちゃんと一緒にいるととても落つく、彼女にはどこか不思議な力があるのかもしれない。

 まあ、早く帰るなら今日は家に帰ってもらった手紙でも読もうかな。



「ルイちゃん、今日はアレクトロ家のミラさんにあったよ」


「ミラ様に!?すごいですね、どんな人でした?」


「うん、なんかすごいからかってくる人だけど、たまにすごい凛としたりして、不思議な人だった」


「凛と…?」


「うん、なんか未来を見ているような不思議な感じ。それでね彼女から色々アドバイスもらったんだ。」


「なんかすごい人何ですね。アドバイス、なんて言われたんですか」


「それがね、早く帰ったほうがいいとか、やり方は変えなくてもいいとか、何かを見ているようなアドバイスされたんだ」


「そうだったんですね。…あ、そろそろ馬車つきますよ」


「はーい。」


 彼女のアドバイスは確証がない、それなのに何故だがそれが正しいと心がずっと受け止めた。

 なんか本当に色々不思議な人で今までの四大貴族とはどこか違う感じがした。

 

 そして…


***


「君がクラメルの点を抜いた時、クラメルは学園から消える」


***


 最後のアドバイス、あれは一体どういう意味だったのだろう…


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