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マリー・グランヒルは愛を教えたい  作者: kwkou
三章 マリー・グランヒルの友達への道
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31話 暗闇

ーゴンー


「いたっ、って、え…?ここ、どこ?」


 目が覚めると何故か私は見知らぬ部屋にいた。

周りを見渡すと、質素な普通の部屋といった感じでベット以外のものが何も置かれていなかった。

 窓は鉄格子のようなもので塞がれており、入り口はあるもののドアノブがない。


「…っ、開かない。」


 少しの望みをかけて体重をかけ扉を開こうとしてみてもやはり固く閉ざされており、開けられるようなものではなかった。


「…どういうこと?私、昨日までは普通にミリーさんの家にいたはずなのに…」


混乱、困惑、疑問、恐怖、様々な感情が頭の中を駆け巡り何が何だかわからなくなってきてしまう。

 落ち着け、落ち着くんだ私。焦っていてもいいことなんて何もない。冷静でいなければわからないこともあるんだ。

 深呼吸、そう深呼吸…


「ふう…まずは今の状況を推測しろ」


 朝起きると知らない部屋で私は目覚めた。扉は閉ざされていて私は閉じ込められている状況。


「考えある可能性として一番あり得るは、誘拐…か」


 信じ難いことだがこれが確実可能性としては高いだろう。昨日まで別の部屋にいたのに目が覚めると…なんて漫画でしか聞かないやつな展開ではあるが、実際問題今、起こり得ているのだ。

まだ、推測の域を出ないがこの貴族のいる世界ならありえるかもしれない。

 

 そう考え、状況を理解しようとしていると外から喋り声が聞こえてきた。


「…じで、楽だよな。」


「なー、だって夜の静かな空間から少女一人誘拐するだけだぜ。俺らからすると朝食取るより簡単だぜ」


「でも、まさかさらう相手が四大貴族だとは思ってなかったけど…」


「マジそれ、依頼きた時一瞬嘘かと思ったもんな」


 聞き耳をたて、話を聞くとどうやら私は本当に誘拐されたようだ。

 だが、誘拐する相手を間違えている。

彼らは本来のターゲットは私ではなくミリーさんだ。それをどういうわけか間違えて私を攫ってしまっている。

 最悪の可能性として二人とも攫われているというのがあるが先ほど少女一人と言っていたのでその線は薄いと思っていいだろう。


「それだけはまあ、救いだな…」


 そんなことを思いながら私はさらに情報を得るべく聞き耳を立てる。


「…そういや、結局なんで攫うことになってんだっけ?」


「しらねぇな。まあ多分身代金とか交渉とかだろうけど、俺らにボスの考えはわからねぇ。…けどまあ、結局はよくて奴隷落ちがいいところだろ」

 

「…だな」


 そんなような会話が繰り広げられならがら、声が遠のいて行った。

 奴隷…この世界にもそんな制度はあるのか。

 このまま助けが来なかった場合私は奴隷落ちするのか?…いや、それは否だ。

これらの話はきっとミリーさんの場合だけだ。。

 私は彼女と間違えられ連れられた、つまり、偽物だ。もし、私がそうバレた場合きっと口封じのために私は…


「やばい。…どうしよう。…どうすればいいんだろう。」


 このまま本物だと演じ、助けが来るのを待つのも手だが、ミリーさんを知っている人がきたら1発アウトだ。

情報を集めるほど、理解するほど、今の状況の危険さを理解していく。


 …あれ?私が助かるにはどうしたらいいんだ?

場所もわからないところに連れられて、助けなんて来るのか?…私はこれからどうなるんだ?


「…ははは。あれ?なんか急に怖くなってきちゃったな…」


 少しの希望に縋り付くように周りを見渡しても壊せそうなところも、抜け出せそうなところもない。

 一面、何もない部屋。何かできることはない。


 いっそ、入ってきたやつを隠れて襲って逃げるというのは…

いや、相手は多数で私よりも間違えなく強い。

無謀でリスクしかないことは今は避けるべきだ。

なら、今からでも床に穴を…いや、そもそも開けるための道具がない、それにそこまでの時間があるとは思えない。だったら…


方法がないとわかっていても私は逃げ方を模索する。意味がないとわかっていても一筋の光を探そうとする。

 そうでないと、そうしてないと…暗闇しか見えない未来が見えて心が壊れてしまいそうだから…



―私は何か悪いことでもしたのだろうか?

―どうしたらこの状況を未然に防げたのだろうか?


ーねえ…誰か? 助けて…。お願いだから。

ー私、まだ死にたくないよ?

ー誰か暗闇にいる私に光を見せてよ。




「…あ、足音が…する。誰かが…きた。」




***




私は今、人生で一番焦っているかもしれない。

まさか、こんなことになるとは思いもしなかった。


「お父さん!なんか、他に情報は?」


「くっ、待ってろ、今いろんなところに協力を要請してる」


「私も知り合いに話してみるわ!」


 バタバタと家中が騒いでいる。朝起きた時、マリーさんが家の中にいなかった。ちょっと出かけているのかな、と思ったが、屋敷の人間が誰もみておらず行方不明になった。

 みんなで捜索をしているとマリーさんの寝ているベット下に手紙が置かれていた。



 ミリー・グラームは預かった。返しては欲しくば、早急に学園を退学し、王権の候補から外れろ。


 そこで私たちは理解した。マリーさんは誘拐された、あの時とは逆に私と間違えられて…






やべぇ、思っていたよりも暗くなったかもしれん。


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