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マリー・グランヒルは愛を教えたい  作者: kwkou
三章 マリー・グランヒルの友達への道
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27話 グラーム家

みんな!俺にやる気を分けてくれ〜

「ついたわよ」


「…これまたすごい屋敷。」


 あれから私はミリーさんの馬車に乗ってグラーム家の前までやってきた。

 言わずもがなの大きさをした家で相変わらずどこからがこの家の庭なのか一切わからない。


「さあ、入ってちょうだい。」


「…お、お邪魔しまーす。」


 四大貴族クラスの家を訪れるのはこれで4回目ぐらいになるのだが、やはり初めて訪れるのは緊張するし、いつまでも大きさにびびってしまう。

 玄関を開けるとアニメなどでよくあるような真ん中から上がり両側に開くような階段が目に入る。

 奥の部屋に続くと思われる廊下にはいくつかの展示品が置かれており、見るからに高そうである。


「マリーさん、まずは私の部屋に案内するわ。とりあえずそこで荷物を置いてきましょう。」


「はーい」


 私はそう言われて彼女の部屋に案内された。彼女の部屋はさっき言っていた階段を登って向かって左の廊下の少し奥にあった。


「…うちの屋敷、広いのはいいんだけどほとんどの部屋が仕事の関係でもらった美品の物置になっていてろくに部屋が空いてないのよね。」


「なるほど、なんか大変そうですね」


「…大変ってもんじゃないわよ。お父様、商人としては優秀なんだけどコレクターでね。自分の気に入った商品をどんどん買ってしまうの。おかげさまでうちは変な備品で溢れかえっているわ。」


「あぁ…それは…また…」


 商人であるが故のコレクター、別に変な趣味じゃないし、こういう仕事柄ならとても合っているとは思うけれど部屋が溢れるほど買うのはな〜。

 私は彼女の私生活の苦労に同情しつつ、とりあえず荷物を置き終わった。


「…先に言っておくけど、うちのお父様はずごくいいひとだからね。少し収集癖があるだけで……

でも、それだけ。他に変なところはないわ。

だから……だからっ!変に思わないでちょうだいね!わかった!?」


「…!?。は、はい。わかりました」


 彼女は私の考えを読んだかのようにそう言ってきた。

 彼女も荷物を置いているため私に背中を向けており、表情は見えないはずなのに彼女の言葉はまるで私を睨むような感覚がした。

 本当に数秒前まで普通に話していたのに、突然大声を出して親を悪く思わないで、と注意してきた。

 何故ここまで声をあらにして注意してきたのかはわからないが、私は心中を言い当てられた気まずさと睨み付けられているような気迫から彼女の背中から目を逸らしてしまった。


 ーその瞬間、私の瞳にある一枚の写真が映った。

 棚の上に置いてある、なんの変哲のない写真、

その中には二人の緑色の髪の少女とその親らしき人が写っていた。みんな笑っていてとても幸せそうである。

 それが彼女の昔の写真であることは一目見れば わかる。

 なんてことはない、よくある家族写真だ。

 しかし、私はそれに何故か違和感を覚えてしまう。

 雰囲気というかなんというかどこか今とは大きく異なる気がするのだ。


 だが、やはりそのことを言及する時間などはなく、ミリーは自分が急に声をあげでしまったことに気づいき、慌ててこちらを向いた。


「…ごめんなさい。マリーさん。急に大声を出してしまって、つい感情的になってしまったの」


「…あっ、いえ、全然大丈夫です。顔をあげてください。」


「…ごめんなさいね。」


 誠実な彼女は私よりもぐらいが高く、たとえ謝る必要がなくてもきちんと頭を下げて謝ってくる。

 そして顔をあげた彼女の表情はいつもの怖い顔でもたまに見せる優しい顔でもなく、また別の辛そうな、悲しそうな顔をしていた。

 そんな顔を見ていながら、さっきの感情的な言葉を聞いていながら、写真のことに言及する勇気など、私にはなかった。


***


「いただきます。」


 ところ変わって今は夕食の時間。

ミラーさんの両親から歓迎を受け、とても豪華な夕食をいただいている。

 ミリーさんの言っていた通りお父さんであるエルト・グラームさんもちろんお母さんのモネ・グラームさんもとてもいい人で、商人もやっているからか人当たりもとても良かった。


「マリーちゃん、遠慮しないでどんどんたべていいからね。」


「そうだぞ、健康の第一歩はきちんと食べることだ。まあ、私は食べすぎて太ってしまったんだかな」


「あはは…ありがたくいただきます。」


「もう、お父様。マリーさん困ってるでしょ、つまんないジョークなんて言わないで」


「うっ、なぁ、母さんうちの娘が手厳しいんだが…」


「そうかしら?」


「か、母さんもひどい…」


家族の団らんとした温かい食卓が続いて行く。

とてもほんわかとした空気で前世の家族のような気の抜ける感じがして心地よい。

 ミリーさんも学校の雰囲気が嘘のように優しい雰囲気をまとっている。

 これがきっと本当の彼女なのだと思いつつも、印象の変化の大きさに少し衝撃を受ける。

 そんな彼女はあの写真の彼女そのものだとそう感じるのであった。


***


 まあ、そんな調子でみんなでワイワイ食事をしているのだがどうしても気になることがある。

 一応、気にしないようにしているのだがどうしても目に入る存在。

 それは食卓にいる五人ものボディガードの存在だ。

 四大貴族の家系なら別にいること自体に違和感はないのだが、普通どこか見えにくいところにいるか、もう少し少なくてもいいと思う。

 それなのにそのボディガードはなんと私たちの背後に立って見守っている。

 あまりにも威圧感がすごくふとした時にビクッとびびってしまう。

 しかもおかしいのは、この家に一人もメイドがいないということである。

 少数精鋭とかそう言ったものでなく一切一人もいないのだ。

 ボディガードだけ雇ってメイドを雇わないなんてことがあるのだろうか?

 初めに持ったその疑問はだんだん大きくなりどうしても聴きたくなってしまった。

 この空気にあまり変なことは言いたくないのだが、この疑問を聞かないと夜も眠れない。

 だから思い切って、


「質問なんですけど、なんでボディガードだけ雇っていてメイドとかいないんですか?」


そう、聞いた。…それが彼女らにとってどれほどの意味があるか知らず。

 ただ、ボディガードだけの意味を聞いたのだった。

 




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