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マリー・グランヒルは愛を教えたい  作者: kwkou
二章 マリー・グランヒルは友達になりたい
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15話 楽しい放課後

「貴方たち、今一体何をしていたのかしら?」


「えっと…この学園の屋上の雰囲気が気になったので見てみようかと…」


 突然現れた彼女に私は咄嗟に言い訳をする。少し焦って噛んでしまったが理由としてはあり得ると思う。

 これで納得してくれるとありがたいのだが。


「…嘘ね」


「い、いや本当ですって。ねぇ、ハナちゃん」


「は、はい。自分たちはただこの学園の屋上の雰囲気を見に来ただけであります」


「そんな見え見えの嘘、ついても意味はないわ。早く本当の理由を言いなさい!」


 彼女はとても鋭い眼光で私たちを見つめてくる。どういうわけか彼女は私たちが嘘をついていると確信しているらしく凄い勢いで詰めてくる。

 このまま捕まると情報収集という名のストーカーをしていることがバレる可能性がある。しかし、彼女に嘘はバレておりもう言い訳も思いつかない。

と…なれば私たちがするとはことは一つ。


「嘘はついていません。私達用事があるので失礼します。さよならっ」


「あっ!待ちなさい貴方たち!」


 私はハナちゃんの手を引いて全力で逃げる。緑色の髪の彼女も追いかけてくるが私たちの元々の運動神経もあって追いつくことはできない。

 その後、私達はそのまましばらく逃げて私たちの教室に逃げ込んだ。


「はぁ、危なかったであります」


「うん、なんとかバレないで済んだよ」


「…でも、今回も大きな情報は得られなかったであります。」


「…そうなんだよね。好物の一つでも知れたら良かったんだけど、結局一人でどこに行っているのかわかったぐらいだったね」


「まぁ、とりあえず、成果なしよりは良かったと思いましょう。今までのことを考えると大きな進歩であります。」


「そだね…」


 屋上で弁当を食べていること知ったことで何ができるかわからないが、何もないよりかはマシなはずだ。ここはポジティブにいこう。まだ今日は時間がある、何かしらの情報は手に入るはずだ。


***


ー放課後ー


「…ここまで成果なし」


「ま、ま、まだ大丈夫、であり、まままま」


「落ち着いてハナちゃん!まだ放課後があるから」


「そ、そうでありますよね。いや、でも自分は今日何もできてないのであります。それどころか迷惑ばかり…屋上の件だって、私がもっと警戒していれば…」


 ハナちゃんの表情には焦りや不安が浮かんでいる。彼女は今回のいろんなことを自分のせいだと思っているらしい。

 でも、情報が取れなかったのはどうしようもないし、屋上でバレたのも仕方のないことだ。

 それは決して彼女のせいではない。

 だから、彼女がそんな表情をするのは筋違いなのだ。

 今日、彼女には事前に人を偵察するときの距離感とかを教わった。そのおかげで肝心の本人にはバレていないのだ。

 そこに感謝こそあれど迷惑などは一切ない。


「いい?私、今日色々ハナちゃんに助けてもらえたから本当に感謝してるんだよ。だからそう落ち込まないで」


「いえ、自分はこれといった…あいた」


 私がいいと言っているのにハナちゃんは今日成果がないのは自分のせいにして自分を卑下するようなことまた言おうとした。

 私はそれに少しむかっとし彼女のおでこを軽くデコピンした。


「そんなに自分を卑下しちゃダメだよ」


「で、でも…」


「だからいいの。…あっ、そうだ朝の件のお詫びで何が飲み物奢るよ」


「…いいんですか?今日、自分何も…」


「いいの!もうしつこいよ。ハナちゃんはさ、そんなに落ち込むんじゃなくて笑顔でいてよ。その方がよっぽど似合ってるよ」


「…そうですね、すみませんでした。」


「わかればよろしい!じゃあジュース買いに行くよ。」


「はい!いただくとします。」


 ハナちゃんやサルネ様、もしかしたらマオさんも自分で抱え込みすぎるところがあるのかも知れない。

 昼のあのセリフだって実は不安を隠していたのかも知れない。

 あんな優しく可愛い彼女ら、だからなのだろうか?責任を負いすぎるところがある。でも私はやっぱり彼女たちには笑っていてほしい。

 だから、私はハナちゃんにネガティブなことを言ってほしくなかった。

 だって、悪い感情は何もいいことを呼ばないから。

 そして、私はクラメルが向こうで帰っているのを知りつつも見ないふりをして、ジュースの売ってる自販機に行くのであった。


「はい、ハナちゃん。りんごジュースだけど」


「さっきから色々ありがとうございます。

…て、あっ!そういえば、クラメル様追うのすっかり忘れてました!すみません、また私やらかして…」


「ストップ!今日はもう何も得られそうにないし、それよりも私たちが楽しく過ごすことの方が大切だからもういいの!気にしない!

いい?私はこの学園生活を楽しく過ごしたいのだ。…ねっ、だからさ、もう気に病まないで、今日はもう楽しもう」


「ふふふっ…マリー様ってとても優しいんでありますね。」


「そんなことないと思うけどな〜」


「はい!かしこまりました!今日はもう終わりにして楽しむことにするのであります。」


「うん、それがいいよ」


 はなちゃんは満面の笑みで私に敬礼をしてくれた。今の彼女は子供のかわいさではなく明るい美しさを持っていたのだった。


***


 その後私たちはいろんな雑談をして楽しんだ。途中まで一切不安そうな様子がなかった彼女があそこまで追い詰めていたとは思わなかったが結果的に笑顔になって良かった、

 私は今日の情報から来週の水曜日は弁当でも持っていこうかなと思いつつ、いつもより遠い駐車場への道のりを歩いた。


「たまにはこういう日も楽しいよね」


 辺りはもう夕焼けで今の時刻は大体6時ぐらいだ。昨日の勉強会といいいつもより帰るのが遅くなってルイちゃんに心配かけることに罪悪感を覚える。


「今日はルイちゃん、甘やかそう!。そうと決まればとっとと家へレッツゴー」


 私は気分を上げ少し駆け足気味に歩いて行く。クラメルとの友達への道は遠そうだが、私は絶対諦めない。サルネ様のためにも自分の気持ちのためにも…


「ー調子はどうだクラメル」


 すると私があるて行く方向の途中にある駐車場でクラメルを呼ぶ声がした。

 私は思わず物陰に隠れる。すると、そこにはクラメルとその家族らしき人たちがいたのだった。



サルネ様陣営の人たちは皆超優しい。

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