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マリー・グランヒルは愛を教えたい  作者: kwkou
二章 マリー・グランヒルは友達になりたい
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14話 クラメルの観察(ストーキング)

えーこちらマリー・グランメルです。今日はクラメルを尾行することになりました。

 なので今日はいつもより3時間ほど早くきて登校路でクラメルを探してます。

 聞いた話、彼女は学生寮に住んでいるらしく、いつもこの時間帯ここを通っているらしいです。ちなみに情報源はマオさんです。


「ふぁ〜、マリーさん。眠いであります」


「ごめんね。朝早くから。今日はよろしくねハナちゃん」


「よろしく…であります」


 彼女は目をこすりながら答えてくれる。その仕草は子供のように可愛らしい。


「むむ、今マリーさん、私のこと子供っぽいと思いましたね」


「え、いや思ってないよ」


「いえ、絶対思いました。このハナセンサーに間違えはありません。」


 なんだ…?そのセンサーは。それでいて当たっているという、テンサンス家は不思議な人しかいないのか?


「くそう、マオさんだけでなくマリーさんも私を小さいと思うんですか。…いいです、私は将来大人のお姉さんになるので。今のうちに笑うがいいです。…ぷい」


 彼女はそう言いながら私からそっぽ向く、拗ねていても可愛い彼女だか、流石に今回は彼女頼りの部分もあるので機嫌を損ねたままにはできない。


「ごめんごめんハナちゃん。ほら、後で何か奢ってあげるから」


「別に怒ってるわけじゃないですけど、でも、奢らせてもらいます。ありがとうございます」


 拗ね方が子供みたいでとても可愛い。

その後、しばらくハナちゃんと雑談していると、宿舎の門から見覚えのある顔が見えてきた。


「あっ、クラメル様だ」


「本当ですね。うん、マオの言ってた時間ぴったし、あの人相変わらずですね。」


 私達は近くの芝生に隠れながら彼女を観察する。ん?覗きだって?…い、いや決してのぞきではないぞ、ただの観察による情報収集だ。


「あっ、移動した、行くよハナちゃん」


「かしこまりました」


 私達はクラメルを双眼鏡でギリギリ見えるぐらいのところから見ている。あくびとかを特にしておらず身だしなみも完璧なためおそらく朝は弱くないと思われる。


「今のところ、特に寄り道する気配は、なしと。うーん、こんなに早く家を出るんだから何かしら目的があると思うけど…」


「あれですかね、早く学校行って本を読みたいとか」


「だったら、家で読まない?」


「それは、…確かにそうですね。」


「…まぁ、まだ学校まで10分ぐらいあるし、何かしらあるでしょ」


***


「登校中、特に怪しい点はありませんでしたね」


「ね、寄り道とか特になく一直線に学校まで登校してたよ」


 あの後学園までコソコソついて行ったのだが特に何も起こらず普通についてしまった。

 登校中の情報といえば朝が強いということぐらいだ。

 こんなのほぼ情報ともいえないため、実質成果ゼロである。

 とはいえ、まだ今日は始まったばかり、まだまだこれからである。

 私はそう思い、気合を入れて授業に臨むのであった。




 クラメルの隣の席である私はたまに授業中に横目で彼女をみることがある。前はモヤモヤの理由を探ってだったが今は友達になる方法を考えるためによく見ていた。

 彼女は授業は基本真面目に受けており、寝ていたり、落書きしていたりするところは見たことがない。

 一方、体育や音楽、美術などのペアが必要になりそうな科目の時彼女は保健室で休んでいるらしい。彼女は人と関わるのが本当に嫌らしい。


ーキーンコーンー


 そんなこんなで授業中は結局、これといった情報を得られず昼休みになってしまった。

 クラメルは授業が終わるとすぐに教室を出て、どこかに行ってしまう。それに対し、私達はそんな彼女を後ろから追いかける。


「今日は学食に行かないんだ」


「はい、どうやらマオの情報によるとクラメル様はほとんど学食で食べるそうなんですが、毎週水曜日だけなぜか食べにこないそうなんであります。」


「あっ、そういえば…。前私が探した時、いなかったことあったな。あの時は食べ終わっちゃたのかと思ったけど」


「おそらくちょうどその日が来ない日だったと思われるであります。どうしているか確かめるためにも、適当にご飯済ませて行くでありますよ」


 そう言って私達はマオさん作のサンドウィッチを頬張る。さすがマオさんと言ったところがその味は学食にも劣らない美味しさをしているが、やはり学食のご飯を食べられないのは少し残念に思う。


「クラメル様は弁当を持って行っているでありますね。」


「本当だ、でも何故わざわざ弁当を?」


うちの学食は地球の値段で1食350円ぐらいとまじで安い。それを家紋を持つ令嬢が、ましてや四大貴族の人が払えないわけがない。

 もし仮に外で食べたい気分だった、という理由だとしても毎週するのはおかしい。

ーそういえばメリーちゃんはここに来ない人がいる理由を話していた気がする。それは確か…


「人混みが多いところが苦手だから…?」


「あっ!なるほど、確かにそれなら学食に行かないのも納得であります。あの人混みなら、一日ぐらい休みたい気持ちもわかるであります。」


 そうである。何故ならうちの学食はそんじょそこらの高級レストランより味がよく尚且つ種類がとても多いため、家のシェフの弁当より人気があるのだ。

 そのため、連日あり得ないほどの人が押し寄せみんなで席の奪い合いになる。私は毎回なんとか席をとっているが、人によっては1時間待たないといけない人もいるらしい。

 これでも去年席の数を3倍にしたらしいのだがまだ足りないらしい。…うちの高校そんな人いるの?

 まあそんなレベルで人が来る学食で恐れの目を向けられたらそれはやはり疲れると思う。

 そんな彼女が休みを求めるのは理解できる。予測でしかないのだがなんとなく当たっていると思う。


「マリー様、どうやらクラメル様は階段を登って屋上に行くようであります。」


「本当だ、この先は確か屋上だったね。確かに一人で食べるならなかなかいい位置な気がする」


「自分も同感であります。さぁ、追いましょう」


 私達はクラメルが屋上の扉を開けて出て行ったのを確認した後、ドアの隙間からこっそり彼女を観察する。

 見ると屋上は風が気持ちよく吹いており、とても見晴らしの良い広々としたスペースが広がっていた。そして彼女はそこの少し奥の塀に座った。


「あっ、お弁当を開いて食べ始めていますね。

…うーん、中身はなんでしょうか、あまりよく見えません。」


「私も、もう少し背伸びしたらギリギリ見えそうなんだけど…。ちょっとハナちゃん肩貸して」


「任せるであります。」


 そうやって私はハナちゃんの肩を借りて背伸びをし、中身を確認しようとする。

 弁当であるからには好物の一つぐらい入っている可能性が高い、彼女と近づく際そういう情報はできるだけ手に入れておきたいのだ。


「もうちょっとで……」


「ちょっと貴方たち!そんなところで何をしているのかしら!」


「ぴゃあっ!」

「うわっ」


 もう少しで中身が見えるというところで急に後ろから声をかけられる。

 ハナちゃんはそれにびっくりして声を出し、バランスを崩した私が倒れてしまう。

 とりあえず、ハナちゃんの可愛い悲鳴は置いとくとして、私たちが後ろを振り向くと、緑の髪をした女の人がいた。

 その少女はメガネをかけておりとてもキリッとしたし表情をして彼女は私たちを睨みつけるように見ていた。



ん?ストーカーは犯罪行為だって?いい?バレなきゃ犯罪にはならないんだよ。…バレたけど

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