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マリー・グランヒルは愛を教えたい  作者: kwkou
二章 マリー・グランヒルは友達になりたい
13/56

12話 勉強会

「おはよう、メリーちゃん」


「おはよう、マリーちゃん」


「クラメル様もおはようございます」


「…えぇ、おはよう」


 あれから何も思いつかないまま、また数日が経ってしまった。相変わらずクラメルは拒絶を続けているのだが、最近ちょっとした発展があった。

 それは、クラメルが挨拶を返してくれるようになったことだ。

 これはとても小さいが明確な一歩である。

彼女の壁を越えるにはこういう一歩の積み重ねが大切だと私は思う。


「おはようマリーさん」


「ん?あっ、サルネ様おはようございます」


後ろから声をかけられ振り向くとそこにはいつものように金髪で優しさに満ちている彼女がいた。

 あのお茶会以降、彼女はより明るくなっており、私達との仲もより良くなっていた。


「二人とも私達は今日の放課後、勉強会をしようと思っているのだけど一緒にやらないかしら」


「…なるほど。わかりました、メリーちゃんも誘ってやりましょう」


「ええ、では放課後、勉強室集合で」


「勉強室?」


「あら、知らないの?うちの学園には生徒の自習ように作られた勉強スペースがあって、一人ようから八人用ぐらいまであるのよ」


「なるほど、確かにそれは便利ですね。わかりました。ではそこで勉強しましょう。」


 我が学園は思ったよりもなんでも揃っているらしい。聞いたところによると家が遠い人のための学生寮もあるらしいし、本当に便利だと思う。

 私はこの学園の凄さを改めて実感するのであった。


「うぇぇぇぇぇ!?」


 その後、相変わらずサルネ様に誘われたメリーちゃんが絶叫したのはもういうまでもない。


****


「あ、きたわね。さぁ、やりましょうか二人とも」


「「今日はよろしくお願いします」」


 放課後、私達は約束通り勉強会を行うことになった。メンバーは私とメリーちゃん、サルネ様、そしてマオさんだ。


「あの、ハナちゃんは?」


「ああ、あの子は別の仕事に行っているわ」


「では、お二人方。どうぞこちらへ」


「ありがとうございます」


 マオさんがテキパキと私たちの座るスペースを作ってくれた。

 勉強室はそこそこ広めで畳が引いてある。どうやらそこにある座布団に座ってやるようだ。


「なかなか珍しい部屋のスタイルですね」


「そうね、私もこのスタイルはここで初めてみたわ。でも、思ったよりも居心地が良くて気に入っているのよ」


 どうやらこのスタイルはこの世界では珍しいらしい。確かに、私は前世でよくみていたから知っているがこの世界ではこの類の部屋は見たことがなかった。

 もしかしたら、この部屋は別の転生者が作ったのかもしれない。


「あ、そういえば二人とも勉強はどのくらいできるのかしら?」


「私は理系が得意で文系はそこそこと言ったところです」


「メリーは、全部全然ダメ。前テストした時はほぼ全部赤点の2点上ぐらいだった。得意な歴史もテストないし」


「あら、それは大変ね。なら、もし困った時はマオに頼るといいわ」


「マオさん、そんなに頭いいですか?」


 確か入学前の入試のテストの点を見せてもらった時、サルネ様は2位で1位がクラメルだったはずだ。確か、マオさんは6位ぐらいだったはず。


「知ってるかしら、あの子。メイドの仕事が忙しすぎて入試の勉強してないの」


「はぁ!?うちの学園、偏差値68ぐらいですよね。」


「そうね」


「…てことはあれですか?授業受けてたらできるタイプの…」


「あの子、基本授業中日々の疲れでウトウトしているから多分聞いてないと思うわよ」


「なっ‥、お嬢様気付いていたんですか。」


「当たり前じゃない。いくら上手く起きているフリをしていても私たちの付き合いよ。すぐわかるわ。…ふふ、いつも私のためにありがとうね」


「ぅ……いえ、別に…当たり前です…」


 マオさんは顔を背けて小声でそう言っていた。よく見ると耳が赤くなっており照れているのがわかる。マオさんにもこんな可愛い一面があるのだと少し意外である。やはりサルネ様たちは本当に良い関係だと思う。

 流石にここに水を刺すわけにはいかないので心の中で叫ぼうと思う。

 この完璧メイドが!バケモンか貴様!

なんだ?完全ノー勉の自力で令嬢学園の受験生6位て、そこまで行くと引くわ。普通に!


「なんか?サルネ様たち明るくなりました?」


「あら?そう見えるかしら。」


「はい、なんか笑顔が軽くなったというかなんというか、まぁ勘違いかもしれないですけど」


「まぁ、なんというか。最近愛されていることを再確認したのよ」


 彼女は笑ってそういう。どうやら本当に明るくなっているように見える。あのお茶会の後何かあったのだろうか?

 でも、彼女はこれくらい明るい表情の方が似合うと思う。

 …クラメルの本当の笑顔はどんなんだろう?彼女が憧れた笑顔はどんなんなんだろう。


「マリーさん、さっきからボーとしているけどどうしたの」


「ん?あぁ、なんでもないよ」


「それではそろそろ勉強会始めましょうか」


 そうして、なんやかんやありつつも私たちの勉強会は始まる。




まだ話は重くならないよ〜( ^ω^ )

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