最終話 最高の曲
「ファアア」
リビングのソファーで寝るなんて、俺は余程疲れていたみたいだ。テレビも点けっ放しだし……音楽番組はまだ続いている。画面には、さっきと違うアイドルグループだ。
「……マジかよ」
思わず、俺はハッとなった。何故なら、右上のテロップには和月プロデュースとの文字が躍っているのだ。曲もよく聞くと、どことなく昔のバンド時代を思い返すようなものだ。しかも、バックバンドのドラマーは、年は取ったが顔の特徴から間違いなく安藤だ。
――そして、最も驚くべきことは、メンバーの一人に俺の昔の彼女だった翔子そっくりの子がいるのだ。
「そういえば、ちょっと前に『娘が上京してアイドル活動をしている』と翔子が電話で話していたな。それにしても、皆、頑張っているんだなあ。――よし、俺も」
俺は居ても立っても居られずに、押し入れ部屋に向かった。そこから、埃を被ったギターケースを開け、中からアコースティックギターを取り出した。
「久々に自宅で曲作りでもするか!」
理由は分からない。――だけど、今日は過去を振り返ってみても、最高の曲が書ける気で一杯だ。
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