私たちの幸せ
私の夫は私の事を、殴る蹴る。毎日毎日だ。
それでも私は幸福だし、それは私の望んだ関係だった。
でも、初めて私の事を見た人はぎょっとする。それはさすがに、ちょっと嫌だった。顔も体もアザだらけ、傷だらけだから。
事情を説明すると、そういう事かと納得するが、毎回めんどくさいな、と思ってしまう。
おや? 夫が帰ってきたようだ。おかえりなさい〜と出迎える。ただいま〜と答える夫。やさしい夫。
食事を終えると、私は今日もよろしくお願いします! と夫に頭を下げる。よし、先に行ってまってなさい。と夫が言う。
私はその場へ行って夫が来るのを待つ。
夫がやってくる。
「よろしくお願いします! 師匠!」
「さぁ、どこからでもかかってきなさい!」
私は彼に突きを放つが、かわされて、顔面に一撃くらう。
KO!
「まだまだ、あまいな。もっと、突きに体重を乗せるのだ」
「はい! 師匠!」
そんな私たち、武道家の夫婦の日常。