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98 襲撃者の正体と処置

 俺をホテルに連れ込もうとする潮浬をなんとかいなして、リーゼも一緒にカフェに戻って千聡と合流する。


「――魔王様、ご無事でしたか!?」


 俺の姿を見かけるや、千聡が全速で駆け寄ってきてくれた。


 それが恋愛感情からではないとしても。産まれてきて良かったと感じる瞬間である。


「うん、潮浬のおかげで傷一つないよ……それより状況はどうなってる?」


「はい。襲撃者三名の身柄を確保し、移送させました。目撃者の店員と発砲音を聞いた者達への対応も、順次進めております」


 ああ、最初にした大きな音って発砲音だったんだ……そういえば、かすかに火薬の匂いが漂っている。


 俺は天井の壊れた照明を見上げながら、改めて背筋を寒くする。


「……あれ、警察は呼んでないの?」


「はい。襲撃者からはこちらで情報を取りたいですし、魔王様の貴重なお時間を浪費する訳にはいきませんから」


 そりゃまぁ、事情聴取とかないのは楽でいいけど……。て言うかこれはもしかして、犯人達からすると『警察に捕まった方がマシだった』になる案件じゃないだろうか?


「あの、あんまり手荒な事はしないであげてね」


「承知いたしました。……魔王様、ここでやる事はもうありませんから、拠点に戻られますか?」


「え、もういいの?」


「はい。襲撃者は確保し、警察が来る事もありません。店員達は幸い役者のたぐいであるようですから、撮影もしくはイベントだったという事にして、後日上乗せした報酬を払えば問題ないでしょう。施設への対応も同じくです」


 ……まぁ本来は撮影とかに使われる場所らしいし。店員さんも全員そっち系の人みたいだから、誤魔化しやすくはありそうだ。


 そう納得して、千聡達とアパートに帰る事にする。


 潮浬がものすごく悲しそうにしていて心が痛んだが。どのみち襲撃がなくてもホテルには行かなかったと思うし、よく考えたらそもそもデートではなかったので、我慢して欲しい……。




 翌朝。いつもの執務室で、千聡が事後処理の報告をしてくれる。


「襲撃者達の目的は、魔王様の拉致らちだったようです」


 その言葉が放たれた瞬間。部屋の温度が5度くらい下がった気がした。


 潮浬が。アイドルが絶対出しちゃいけないような、凄みのある声で言葉を発する。


「千聡、あいつらまだ生かしてあるわよね? わたしもちょっと『お話』がしたいから会わせてくれる」


「別に構いませんが、魔王様に『手荒な事はするな』と命じられていますから、それは忘れないように」


「…………」


 千聡の言葉に潮浬は思いっきり不満そうな表情を浮かべたが、黙って引き下がった。


 会ってなにをする気だったんだろうね……。


「……報告を続けますが。襲撃者達は金で雇われた人間。雇い主は不明。隠している訳ではなく、本当に知らないようですね。拉致が成功した場合に落ち合う予定だった場所も調べさせましたが、手がかりはなしでした」


 なるほど……と言うか、その前に一点気になる事がある。


「あのさ千聡。ホントに俺が標的だったの? 人気アイドルの潮浬じゃなくて?」


「情報は限界までしぼり取りましたが、そもそも潮浬の身元を誰も知りませんでした。狙われたのは魔王様で間違いないと思われます」


「……俺、狙い撃ちで誘拐される心当たりなんて全くないんだけど。つまり首謀者は俺が魔王だって知ってる人って事?」


「お考えの通りだと思われます。可能性が高いのは、魔王様の勢力拡大をよく思わない敵対的な魔族勢力でしょう。現在協力者も使って、資金の流れと総当たりの二本立てで黒幕を探らせています」


「それで見つかりそう?」


「わかりません。迂闊うかつな相手で資金の流れから尻尾を掴めるようなら早いでしょうが、隠蔽いんぺいが厳重になされていた場合、総当たりでも特定できない可能性はあります」


「そっか……俺にできる事ってなにかあったりする?」


「恐れながら魔王様におかれましては、これまで以上に周囲にご警戒願えればと思います。願わくば、外出の際には我々三人の内二人以上を護衛につけて頂ければ幸いでございます」


「――ちょっと! それわたしと陛下が二人っきりでデートできないようにするための嫌がらせじゃないでしょうね!」


 突然横から、潮浬さんが怒りの声を挟んでくる。


「私が貴女に嫌がらせをして、なんの得があると言うのですか? 魔王様の身の安全のために決まっているでしょう」


「…………」


 潮浬が黙り込まされるのは本日二回目だが。これ、地味に俺にも効くな。


 千聡の言葉は潮浬を恋愛におけるライバルだと全く見ていない。つまり俺に少しの恋愛感情も向けておらす、溢れるほどあるらしい好感度は100パーセント忠誠心のみという事だ。


 ……ちょっと凹んでいると、千聡が少し口調を改めて口を開く。


「魔王様。襲撃者達の処置について、ご判断を仰ぎたいのですが」


 ああ、当然その話出てくるよね……。


 これはあの人達三人の運命が、俺の一言で決まるという事だ。千聡の事だから、なにを言ってもその通りにするだろう。

 それこそ、無罪放免から死刑までなんでもだ。


 ……俺としては襲われた立場ではあるが、実害はなかったので特別恨みがある訳でもない。


 でもお金を貰って人を誘拐ゆうかいしようとする人達なので、このまま解放するのもよくないだろう。かといって、今から警察に引き渡すのも難しい……。


「ええと、一定期間拘束して更正させる……みたいな事ってできないかな?」


「可能ですよ。傭兵組織にツテがありますから、そこに預けて厳しく心身を鍛え直すなどいかがでしょうか?」


「あーうん、じゃあそれで」


「承知いたしました」


 千聡は顔が広いんだな……まぁともかく。これで一件落着だ。


 襲撃の黒幕問題はあるが。千聡が調べているみたいだし、そうそう立て続けに襲ってこないだろう。


 そんな事を考えて、『あ、ちょっとフラグみたいだな』と思ったりしたが。ともかく襲撃事件は一応の解決を見た。


 潮浬はなんか怖い顔をしていたので、黒幕への怒りを募らせていそうだが。半分くらいは潮浬が言う所のデートを邪魔された私怨しえんな気がするので、タイミングが悪かったとしか言いようがない。



 ともかく後の事は千聡の調査に任せて、俺は間近に迫った千聡の誕生日へと思いをせるのだった……。




 現時点での世界統一進行度……0.25%

・日本の魔族勢力を全て配下に

・魔族の小勢力三つ

・イリスルビーレ公爵を正式に配下に

・天川さんを仲間に


 千聡の主人公に対する忠誠度……100%↑ カンスト『我々のせいで魔王様にご迷惑をおかけする事になってしまうとは、なんと申し訳ない……この上はせめて。これ以上ご迷惑をおかけしないように全力でお守りしなくては』忠誠度上昇

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