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69 俺もですかね?

 俺を背中に乗せて、顔を水に浸けたまま10分近く泳いでみせた潮浬。

 これはもう、いよいよ人間ではない可能性が確定的になってくる。


 俺は水がしたたる潮浬を改めてながめ。息一つ乱していない事を確認して、言葉を発する。


「潮浬はもしかして、水中で呼吸ができたりするの?」


「はい」


 おおう、わりと衝撃の事実をすごくあっさり肯定された……。


「それってホントに呼吸? クジラみたいに空気を溜めて長く潜れるとかじゃなくて、ずっと潜っていられるの?」


「100年でも200年でも、ずっと潜っていられますよ。わたしは本来水中が生活圏ですからね。逆に陸上にいる時は、三日以上水浴びをしないと苦しくなったりします。最低限水だけ飲んでいれば、一ヶ月くらいは死にはしませんが」


「水浴びって、シャワーを浴びるとかでいいの?」


「それでもいいですが、やっぱり頭までとっぷり水に浸かるとテンションが上がりますね。お風呂とかプールとか大好きです」


 なるほど。だから今日は湖に来たがったし、やたらと嬉しそうだったのか。


 そして潮浬は、お風呂で潜るタイプらしい。俺も一緒なのでなんか親近感が湧く、潜るの楽しいし落ちつくよね。


 そう共感を深くした所で、まだまだ泳ぎ足りないらしい潮浬に再び湖へと誘われ。俺は潮浬ボートに乗って湖を駆け回る事になった。


 今回はリーゼも来て並泳へいえいしたり。振り落とされない範囲でちょっとしたジャンプもやってくれたりと、かなり楽しい。


 こんなの、イルカと相当仲良くなった人しか体験できないと思う。



 ……そんなこんなで半日ほど楽しく遊び。潮浬もほどよく満足した所で、帰路につく事になった。


 帰りの飛行機の中で、俺は今回の旅行で起きた事を思い返してみる。


 水竜さんとの出会い。変身する多津姫さん。そして潮浬の人間離れした能力……。


 どれも俺に魔族の存在を信じさせるに十分なもので。俺の中で千聡達は魔族……少なくとも普通の人間ではないという認識が定着しつつある。


 だけどまだ納得できない事もあって、それは『俺も魔族』という点である。


 少なくとも俺は今まで普通の人間として生きてきたし。千聡達が言う所の前世の記憶も、特殊な能力もない……と思う。ないよね?


「……ねぇ、俺って魔王の生まれ変わりなんだっけ?」


 誰に言うともなく言葉を発すると、千聡が弾かれたように姿勢を正す。


「はい! 魔王様は間違いなく、われらの主君であった魔王アドラスティア様の魂を引くお方です!」


 欠片かけらの迷いもない、文字通りの即答だ。

 潮浬とリーゼも、視線とうなずきでそれを肯定する。


『血を引く』ならともかく、『魂を引く』とかはじめて聞いた。


「なんか、俺が魔族な証拠みたいなのってあったりする?」


 俺の言葉に潮浬とリーゼが千聡に視線を向け。千聡は一瞬目を泳がせたが、わずかな間を置いておずおずと口を開く。


「ご所望しょもうとあれば、なくはありませんが……」


 なんだろう? 急に歯切れが悪くなった。


「どんな証拠?」


「…………玉藻殿の病を治す時に血を賜りましたが、魔王様の血液には特に魔族に対して、高い治癒効果があります。目で見える効果という事であれば、体の欠損さえも再生できるでしょう」


 ――おおう、これはまた厄介なのがきた。


 試してみようにも魔族に対してという事は、千聡達に指を切り落としたりしてもらう事になる。

 さすがにそんな事はできな……『閣下、試してみますか?』


 リーゼがそう言うと、おもむろにギターケースから刀を引き抜き。自分の左手小指に当てる……。


「――待ちなさいリーゼ!」


 さすがに千聡が大慌てで止めに入った。


「馬鹿ですか貴女は! そんな事のために魔王様の血を頂くなど、恐れ多いにも程があります!」


 ……あれ? なんか怒る所違わない??


 どう考えてもリーゼが自傷行為に走ろうとした事を怒るべきだと思うのだが、千聡的には俺から血を採る所が問題らしい。


 玉藻さんの時には採ったけど、あれは命がかかっているって話だったしね。


 ともかく実験は中止となったが、千聡が証拠を言い淀んだのも。俺に魔族の存在を信じさせる手段があったのに言わなかったのも、俺を傷つけるのが嫌だったからであるようだ。


 傷つけると言っても注射採血程度だろうからさほどでもないのだが、それさえもいとうほどに。本当に俺を大切に思ってくれているのだと感じられて、とても嬉しくなる。


 好感度をちょっと下げて対等の恋人同士になるという目標からすると微妙ではあるが、それはそれでこれはこれだ。


 好きな人に大切に思われて、それを嫌がる人なんているはずがない。



 ニヤニヤしていると気持ち悪いだろうから、緩んでしまいそうになる表情をなんとか押さえ。俺は幸せな気分に包まれながらも平静を装う。


 なんか今はこの幸せに浸りたい気分なので、魔族とか魔王とかはまた今度考えよう……。




 現時点での世界統一進行度……0.24%

・日本の魔族勢力を全て配下に

・魔族の小勢力三つ

・イリスルビーレ公爵を正式に配下に


 千聡の主人公に対する忠誠度……100%↑ カンスト『臣下たる私の気持ちなどを推し量ってくださり、証拠の検証を強行なされない。本当にありがたく、恐れ多い事だ……』忠誠度上昇

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