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豪腕令嬢は恋を知らない  作者: 馬輩騎
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夜会ーその2ー




笑いの収まらないユリウスが涙を浮かべながら口を開く。




「俺にそんな事を言ったのはフィオーネ、お前が初めてだ!そうだな、選別と思えばいいか。」




ふぅ、と落ち着きを取り戻したユリウスは、次の瞬間フィオーネにとって魅力的でもなんでもない台詞を口にしたのである。




「今日の俺の護衛、フィオーネに頼めるか?」


「はぁ?!」




通常、王族に一対一でつく護衛は男性と決まっている。うちでいうところのトーリは国王陛下につき、副隊長達が王妃さまやご家族につくのだ。フィオーネは会場の警備をする予定だった。




「話し相手になってくれりゃ、それでいい。ダンスだの適当に社交が必要な時は適度な距離でいりゃいいし、護衛というスタンスに変わりはない。どうだ?」




どうだと聞かれましても、王族の頼みなんですから始めから選択肢なんてないじゃないですか!




「…、私でよろしければ。」


「ああ、頼む。」




その後殿下がいなくなった図書室で盛り上がったサングイネさんを粛清し、トーリの元へと向かった。フィオーネの警護するはずだった立ち位置を誰か他の人に代わってもらわなければならないのだ。

とりあえず人員の確認をすべく執務室へと向かうとそこには既にトーリがいた。フィオーネと目が合うと哀れみの目を向けてきた。


その目線は癪にさわりますね。


眉間に皺をよせるフィオーネを見てトーリは吹き出す。




「第一皇子に気に入られるたぁ、また何をしでかしたんだ?」


「誤解を招く言動はやめて下さい。何もしていませんし、頼まれたんですから仕方がないでしょう断れませんし。」


「まぁ、頑張れ。話は聞いてる。フィオーネの配置には他の奴をつける。」


「わかりました。」


「あと、妙な情報が入った。」




珍しく真面目な顔をしてトーリはフィオーネに書類を渡す。今日の出席者リストだ。

パラパラとめくっていくとある名前のところに目が止まる。そのままトーリを見上げれば頷いて。




「恐らく、何か仕掛けてくるだろう。第一皇子の存在を疎ましく思っている奴だ。病み上がりは格好の的、気をつけろ。」


「はい。」


「ユリウス殿下も奴のことはわかっているだろうが、何をするかわからないのが奴だからな。」


「そうですね。念には念を入れて準備します。暗器使用の許可をいただいても?」


「許可する。」


「はっ。」




2人の間で"奴"と呼ばれている人物、ダラス・フォン・ラムネスはこの国の第二皇子だ。才能があればユリウスの陰に隠れる事もなかろうが、残念ながら何一つ秀でていない。はっきり言ってしまえば、勉学も剣術も普通以下。決して容姿が悪いわけではないが、性格の悪さが外見に滲み出てしまっている。おまけに国民を卑下している節があり、嫌われ者だ。

夜会など出席しなかったその第二皇子が出席リストに載っている。本来であれば出席してしかりだが、蹴落とす為にはなんだってする男だ。陛下や王妃さまもそれは理解している。


もしかして、あえて泳がせているのかしら。


聡明なお2人が息子を危険な目に合わせるはずがない。しかし、第二皇子をそろそろどうにかしたいのであれば…。


考えすぎですかね。


暗器を仕込みながらフィオーネの頭はものすごい速さで回転していた。用心していて損はない。




「何もない事を祈るが、何かあったら報告しろ。緊急の場合の判断はお前に任せる。」


「わかりました。」




普段チャランポランな人だが、流石は近衛隊隊長殿だ。頼もしい。互いに敬礼をして執務室から出る。トーリは国王陛下の元へ、フィオーネはユリウスの元へと向かう。















波乱を纏う夜会が始まろうとしていた。












長くなりそうなので一旦区切りました。

次からいよいよ夜会が始まります!

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