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豪腕令嬢は恋を知らない  作者: 馬輩騎
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脱線ーユリウスの心境ー

少し本編とは脱線してユリウスの心の中を覗いてみようかなと。



ユリウスの中にフィオーネという存在が欠かせないと位置するようになったのはいつのことだろうか。気付いたら隣に居るのが当たり前になっていた。側近としての役割は勿論のことだが、側近になった時のあの言葉は忘れたことがない。ユリウスにあんな事を言える奴は両親である国王陛下と王妃以外に、後にも先にもフィオーネだけだろう。

驕り高ぶっていた心に聖剣の如く鋭く刺さった。国王陛下に認められるのは勿論のことだが、フィオーネにも認められたい、そう思うようになっていた。国庫横領事件の時もユリウスよりもフィオーネを国王は頼った。確かに第一皇子本人が動くわけにはいかない事はわかっていた。それでも悔しい思いをしたのは事実だ。フィオーネもユリウスには何も言わなかった。言えなかったというのももちろんわかってはいるつもりだが、フィオーネから言われなかったことの方がこたえた。

隣国の姫君が婚約者候補としてこの国にやってくると聞いた時、冗談じゃないと思った。ユリウスの中で婚約者という存在は今まで必要になった事はないし国のために結婚しなければならないのであれば、自分で相応しい令嬢を見つけてやると国王陛下にも言ってあった。それを尊重してくれていたからこそ、今まで何も言われなかった訳だが、流石に今回ばかりはマズイと思ったのだろう。隣国の姫君が婚約者になれば隣国との関係は密になる。隣国の情勢や環境を考えれば非常に良い事ではない。それをユリウスも詳しくはわからないまでも、何となく察する事は出来た。サジから教わった後はよりその事を理解できた。

婚約者にフィオーネを、と言ったのは半ば条件反射のようなものだったけれどフィオーネ以外に仮にでも婚約者という関係になりたいと思う令嬢は居なかった。権力と地位、ユリウスの容姿、それらを欲する頭の悪い婚約者など地に落ちればいい。フィオーネが偽婚約者を拒否しなかった事はユリウスにとって嬉しい誤算だった。確実に断られると思っていたからだ。

フィオーネは滅多に笑わない。貴重な笑顔をユリウスに向けた時、ユリウスの心は早鐘を打つ。もっと知りたい、もっと隣に居たい。この感情を何と言うのだろうか。




「恋だろ。」


「なっ!」


「フィオーネに対してドキドキすんでしょ?」


「あぁ。」


「俺の場合は睨まれた時にドキドキするぞ?あいつ殴んの糞イテーんだもん。そういうのとは違うんでしょ?」


「そうだな。それとは絶対違う。」


「それを恋と言わずして何を恋だというのかねぇ。」


「だ、だけどなサジ、あいつだぞ?フィオーネだぞ?恋とか結婚とか興味ゼロだぞ?」


「でもさぁ、偽婚約者オーケーしてくれたんだからちょっとは可能性あんじゃん?」




夜遅く、もうフィオーネは自室へと下がっている。

サジはユリウスに呼ばれユリウスの部屋に来ていた。「フィオーネにバレないように来てくれよ!」なんて前置きがあったが、バレないようにしてもあいつにはバレると思うんだけど、と思ったのはサジの心の内に仕舞っておく。




「で、俺に言ってどうすんのさ。」


「…どうもしない。」


「まぁ、だろうなー。」


「いや、完全に何もしないってわけじゃない。ちょっとでも俺を意識してくれたらそれは嬉しいから頑張るけど、今は隣国の事もあるし、耐える。」


「なんか、俺、兄弟からそういう話出て嬉しいかも。他人に興味ゼロだったじゃん。」


「そうだな。」


「何で目が覚めたの?」


「フィオーネにドキツイ事言われた。」


「うわぁ、いいそー。で、何処を目指す?」


「だから言ったろ?今は耐える。」




ユリウスの変化は誰の目から見ても、というか身内の目から見たら一目瞭然。嬉しい変化だ。

サジは乳兄弟でもあり、己の親友を応援しようと心に誓ったのだった。





次からまた本編に戻ります。

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