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インスタントレインボー  作者: 神ヶ月雨音
8/14

八話・~幕間~十二色の使徒

お久しぶりです。雨音です。

またかなり更新が遅れました。今回は閑話休題、説明回です。

主にエルナやエイジを含めた異空の十二使徒たちについての説明です。

気を抜いてまったり読める回ですのでどうぞお楽しみください。



2020 3/12追記:より内容をわかりやすくするために、一部改変と説明回を二話に分割しました。

 陽はもう姿を消し、空が藍に染まる頃、ようやく四人は都市アルカに到着した。

「うわぁ、おっきい……」

「ここらじゃ一番大きい都市だからな。まあ、世界的に見れば中都市ってくらいだけど」

「俺たちが居たところよりも大きいな」

「せやね。あそこも結構栄えてたんやけどなぁ」

「さて、とりあえず宿に向かうぞ。空いてるといいけど……」

 地図を片手に歩く雨音を先頭に、四人は街を歩く。五分ほど歩いてところで、目的の宿に到着した。

「空いてるか聞いてくるからちょっと待っててくれ」

「空いてなかったらどうするの?」

「その辺の公園で野宿だな」

「野宿!?」

 驚きの声を上げる勇姫を置いて、雨音はホテルに入っていった。が、ものの数分で戻ってきた。

「空いてたぞ。ただ……」

「ただ?」

「長期で借りられる部屋が二つしかなくてさ。まあでも二人部屋だからセーフだけど」

「なんだ、そういうことか」

「長期ってことは、滞在するんか?」

「おう。依頼こなしてちまちま稼ぎながら、契約者と出会ったら戦闘。って感じだ。余程のことが無い限りこっちから探しには行かないさ」

「エルナはそれでいいのか?」

「うん。だって歩き回るの疲れるもん」

「さすがポンコツエルナだな」

「ポンコツじゃない!」

 四人は宿に着くと、各々の部屋に入って荷物を纏めた。部屋割りは従来どおり雨音エルナペアと勇姫エイジペアになった。内心男子同士女子同士で別れると思っていた雨音だったが、誰も一言も言わないので諦めた。

「ねえ雨音! ベッドが二つあるよ! これで雨音もベッドで寝れるね!」

「そうだな。まあ、どうせ机で寝落ちするんだろうけど」

 雨音はずっと着たままだったローブと手袋を脱ぐと、ハンガーにかけて窓辺に干した。エルナはベッドの上でゴロゴロしている。

「風呂は大浴場だってよ。移動は面倒だけどそっちの方が楽だな」

「なんでー?」

「なんでって、男女相部屋だと色々面倒だろ」

「あー、確かに」

 雨音は宿に来る途中で買った入浴セットと着替えを抱え、部屋の鍵を手に取った。

「風呂行くぞ。多分俺の方が速いだろうから鍵は俺が持ってく」

「はーい」

 二人そろって部屋を出て、大浴場へ向かった。途中で数人の人とすれ違う。空室状況からも察せる通り、それなりに人気のある宿のようだ。

 雨音が浴場に入ると、ほとんど貸切状態だった。入浴には遅めの時間なので、無理も無い。雨音は一通り体を洗うと、湯船に浸かった。しばらくすると、誰かが入ってくる音がした。

「なんだ、誰かいると思ったら雨音か」

「おお、エイジか」

 浴場に入ってきたのはエイジだった。エイジも体を洗い終わると、雨音の隣に浸かった。

「はぁ、疲れたな今日は」

「そりゃそうだろう。あれだけ戦えばな」

「やっと一勝か。先が思いやられるぜ」

「十二人しかいないからな。一勝は大きい」

 そこで、雨音はふと思い出したようにエイジに聴いた。

「そういえば、他の使徒ってどんな奴らなんだ?」

「他の使徒、か」

「おう。あとエイジとエルナについても教えてくれよ」

「まあいいだろ。知ってて損はないだろうからな」

 エイジは天井を見上げ、記憶を辿りながら語った。

「俺たちにはそれぞれ色と星座が割り振られてるのはわかるよな?」

「エルナ含めて三人見てきたからな」

「じゃあその説明は飛ばそう。そうだな、まず一人目は赤情(せきじょう)のマルズ。さそり座の使徒だ。とにかくうるさくて破天荒な男。簡単に言えば馬鹿だ」

「ひどい言われようだな」

「仕方ない。そういう奴なんだ。加護の力の源は情熱とかそんな感じだ。アイツのことだから熱血馬鹿とでも契約してるんだろう。」

「熱血馬鹿ねぇ」

「二人目は青空のフーリ。こいつは知ってるんだっけか」

「ああ。一回闘ったからな。星座はいて座だったか」

「その通りだ。見た目どおりクールな奴で、普段は無口。俺たちの中で一番冷静で落ち着いている。加護の力の源は心の静けさ。どれだけ感情を波立たせずにいられるかが強さに直結する」

「……」

「三人目は黄真(こうしん)のクワム。かに座の使徒だ。ザ・武道家って感じの男で、マルズとはまた違った意味で暑苦しい。まあでも、使徒の中でも常識人な方だな。あいつは希望や期待が力の源だったはず。どんな形であれ希望があれば強くなれる」

「厄介な奴だな。こんな形じゃなければ会いたいぜ」

「次はリーザだな。緑穏(りょくおん)のリーザ、やぎ座の使徒だ。優しい性格で、みんなのお姉さんって感じ」

「エイジが言うと何か面白いな」

「うるせえ。あいつは多分この戦いに乗り気じゃないだろうけど、争いが嫌いだからこそ頑張るだろうな。統率者になるために。あいつは他者を思いやる心が力の源になる。一人だとどうってことないが、誰かとコンビを組まれたりすると厄介になる」

「俺たちみたいなチームになったらってことか」

「五人目は紫霊(しれい)のテーナ。みずがめ座の使徒だ。性格が荒っぽいわけじゃないが、常に人を見下していて煽るのが得意な女。ついでに黒と仲が悪い。力の源は強い願望や未練。あいつと契約する人間は、それは強いだろうな」

「未練……か」

「次は茶剛(さごう)のゴウラ。うお座の使徒だな。元々ゴウラが統率者代理だったんだ。まあ、テーナと黒は従おうとしなかったけどな」

「だからこんな戦いになったわけね」

「そうだ。ゴウラの力の源は強い意思。ゴウラ自身がしっかりとした性格の持ち主だから、契約者も相当な手練だと思う」

「今のところ一番強そうな印象だな」

「まあ、間違っては無いかもな。七人目は桃純のプラン。おとめ座の使徒だが、こいつはちょっと特殊でな」

「特殊?」

「ああ。力の源は純粋な心と、大しておかしくはないんだが、問題はプランの性格なんだ。天真爛漫で明るい少女。そして、他者に尽くし、補佐をしたいタイプの性格をしている。きっと、プランだけは最初から他の使徒に勝利を譲って付き添っているはずだ」

「さっき言ってたリーザだっけか。そいつと組まれてると面倒かもな」

「その推測、当たってるかもな。プランも元々リーザには懐いていたし」

「そんな奴もいるんだな」

「次が俺、燈灯のエイジ。しし座だ」

「知ってる」

「力の源は勇気。勇姫と読みが同じなのは偶然だ」

「偶然じゃなかったら怖いわ」

「こっからは曲者ぞろいだな……。九人目、藍冥(らんめい)のミナン。ふたご座の使徒だな。普段から暗くて基本的に口を開かない。だけどその分言葉を発するときは核心を突いた発言だったり、重みのある言葉だったりするような奴だ。元々この裁定戦争もミナンが提案したものなんだ」

「へぇ」

「力の源は心に抱えた闇。適合するしないが分かれるが、適合するときはぴったりはまるタイプだな」

「印象的にも闘いたくは無い相手だな」

「次。十人目は黒邪(こくじゃ)のルーゴ。おうし座の使徒だ。俺たちの中で一番ヤバイ奴でもある」

「そんなにか? それと確か黒って、さっきのテーナって奴と仲が悪いんだっけ」

「その通りだ。テーナとルーゴは犬猿の仲で、言葉を交わせば喧嘩が始まる。その上ルーゴには強い破壊衝動があって、とにかく何かを壊したり殺したりしようとする。絵に描いたような戦闘狂だ」

「なんか、物語で言う魔王みたいだな」

「似たようなものだ。力の源は邪心。ミナンのと似ているようで少し違う」

「矛先が自分かその他か。って感じか」

「物分りが早くて助かる。そして次が、お前と契約しているエルナだ。白夢のエルナ、おひつじ座の使徒」

「おう」

「通称ポンコツエルナだな」

「ずっと言ってるけど皆言ってんのか?」

「ああ。言ってないのはフーリとゴウラ、あとリーザくらいだな。一応ルーゴも言ってないが、あいつの場合はただ嫌ってるだけだから話は別だ」

「なんでそんな愛称つけられてんだアイツ」

「文字通りポンコツなんだよ」

「例えば?」

「定期会議の集合時間を一時間街がえるだとか、持ってきた差し入れを階段で躓いてぐちゃぐちゃにしたりだとか、ドリップコーヒーと粉ココアを間違えたりだとか」

「えぇ……。っていうか定期会議ってなんだ?」

「その辺は跡で説明する」

「わかった」

「おう。アイツの力の源はご存知の通り想像力だ。まあ、本人がファンタジー大好きな少女だしな」

「俺の書いた小説もすげえ面白そうに読んでくれるよ」

「小説書いてるのか?」

「おう。一応そっちが本業なんだけどな」

「そうか。じゃあ相性はバッチリなわけだ」

「おうよ」

「とまあ、ざっとこんな感じか」

 と、エイジは全ては話し終わったかのように伸びをした。しかし違和感に気づいていた雨音はエイジに問う。

「ん? まだ十一人じゃないか。あと一人は?」

「あー、そういえばそうだな。やっぱり説明しないといけないか……」

 エイジが少し苦い顔をする。雨音はその表情の意味が読み取れなかった。

「仕方ない、話そう。と言っても、話せる内容は少ないんだがな」

「?」

「十二人目、てんびん座の使徒、灰偽(かいぎ)のアーズ。俺もと言うか、他の使徒もこいつの事は何も知らないんだ」

「どういうことだ? 使徒の一人なんだろ?」

「ああ。だがアーズは一度も会議に出席したことも無ければ、俺たちの前に姿を現したこともない。男か女かも、力の源が何かも誰も知らない。唯一つわかっているのは、俺たちの中の誰よりも最初に使徒になったということ」

「ふぅん。そんな奴もいるんだな。そいつも参加してるのか?」

「わからない。少なくとも裁定戦争の開始が決まったときの会議にも、奴は参加していなかった。この戦いに参加している可能性は低いと思うが」

「じゃあ実質十一人での戦いだと思っていいわけだな?」

「恐らくな」

「ちょっと待て。使徒になったって言ったか?」

「ああ、その話もしなければいけないか。さっきの定期会議の話も含めて説明しよう」

 エイジは一つ深呼吸をして、説明を再開する。


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