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走破  作者: 鳳凰院
1/1

多くの人が走り、自然を踏みにじることで辛うじて保たれる人社会

自然とはかくも強大なのか。

人間だって負けてはいられない。自然の中を走るんだ!

自然の中を走りきることで、自然の力を抑え、人間社会を守る。

そんな走者ランナーたちの物語。


なんか、いきおいでかいた。


「C!」


俺のサマーソルトキックが見事、巨大熊のあごにクリーンヒットし、

熊はおおきくのけぞった。



「今のを耐えるか…。」

「GURURURU…。」



熊は威嚇でのどを鳴らした。だが、足はぷるぷると震えていた。

限界が近いのだ。



「C!」


俺は巨大熊の懐に入り、再びサマーソルトを放った。


「GYAOOOOO!」



ずず・・・・・・ん。確かな手ごたえ。熊は沈んだ。




「ふう、今のが尾瀬の主と考えるのが妥当だろうが、…ずいぶんと気性の荒い熊だ。」



ぱちぱちぱち…。



「いやぁ、すごいすごい!さすが噂の群馬のベルセルク、さすが群馬のベルセルクにゃ。」



人気のない静かな森の中での場違いな拍手。

とびのき、音の発生源を探る。



「………そこ!」



俺は腕にはめていたボウガンの矢を放ち威嚇する。



「っとっとっと…。あ、あぶないじゃない!いきなりとか何考えてんのよ!」


振り向きざま勘で放っただけだったが思いのほか精度が高かった。

紙一重で俺の矢をかわした木の上の何者かは、怒り心頭のようだ。



「お前こそ何を考えて、そんな木の上に潜んでいる。猿かな?」

「こぉんな可愛いお猿さんがいるわけないじゃない!」



そういって声の主が木陰から姿を現す。



顔はお祭りで売ってそうな猫のお面でかくされている。

ツインテール。

服装はフリルがたくさんついているが動きにくくはないのだろうか。

そしてスカートが短い。


そのいでたち。知っている。



「………猫姫か。」

「ご名答にゃん!一発であてたから、さっきの無礼は許してやるにゃん!」



手をお手のようにつきだし、片足まげ、ポーズをとる。



「きまぐれ猫姫、河川敷のアイドル、ユコとは私のことにゃ!」



10数秒ポーズをきめた少女は、満足げな顔で腕を組むと睥睨する。

自分の名が知れ渡っていることがうれしいのか、ポーズが決まったことが嬉しいのか。

しっぽらしきものは揺れていた。どちらでもいいか。



「で?その河川敷のアイドルが何かようか?」


「ん?んん~。ちょっと、群馬のベルセルクの実力をみていたにゃん!」

「……で?みてどうおもったよ。」



「にゅーん?動きは大したことなかったけど、装備を考えれば早いほうかにゃ~。

 あまりよくわかんない☆、その熊じゃあ役不足だったようね。」


「なるほど、この巨大熊がずいぶんといきり立っていたが、

 けしかけたのはお前か。」


「どうかにゃ~。」

「で?どうする。技術とやらはみなくていいのか?」



ジャコッ!

俺はボウガンをセットしなおす。

くるか?



「いや、まぁ、ぎりぎり合格にゃん。私とやりあって自信なくされちゃったら

 もったいないし、やめとくにゃん。」


「ほう、河川敷のアイドル、ユコちゃんはずいぶん自信がおありなんだな?」


「まぁね~、謙虚に、相性がいいから楽勝!って事にしておいてあげるにゃん!」


「…知ってるか?『走破』中、つまり今、なんらかの原因で

 行方不明になっちまった場合、そいつは事故で処理されるってな。」


「知ってるにゃ~。群馬のベルちゃんこそしってるにゃか?

 猫は気まぐれ、今日の天気は……くもり時々猫姫様…………に゛ゃ!」



「ちっ!」


猫姫がすさまじい速度で木々を蹴り、とびまわる。

早い!目で追うのも一苦労だ。



「安心するにゃ、タマとるきはなーにゃ、ただ~。

 その生意気な口は裂いて、舌と声帯かっきってやるにゃっはーーー!」


ついに視認できなくなった。残像で猫姫が10匹くらいいるようにみえる。

流石にこの界隈で有名なだけある。速い。短距離型か!?


同じ場所にいるのはまずい。いい的だ。


「C!」


おれはサマーソルトを放つ、熊が吹き飛ぶ。


「死体蹴り!?気でも触れたにゃか?なんにせよ着地する時間は与えねーよ!」


SYAAAAAAAAAAHAAAA!


猫姫が一直線に飛んでくる。俺はまだ技後硬直時間。

今ならかわせないと踏んだのだろう。


これを、まっていた。


「…おまえ、ベルセルクってマンガ知ってるか?」


俺は右腕を構え、空にむけて仕込まれた大砲を放つ。



DOGOOOOOOOOOOOOOO!



「にゃぎゃああああ!」



突っ込んできた猫姫のバランスが崩れる。

耳が痛いだろう。俺も鼓膜がきーーーんっていってる。


右腕に大砲。左腕にボウガン。

この仕込みのせいで、普段は腕をあげるのもおっくうだ。

だが、これで今までやってきた、きっとこれからも―。


大砲の反動で、猫姫の攻撃の線上からずれる。

そして、その線上に右腕をおく。



「左腕は、そえるだけ――。」



GOIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIN



「にゃぎゃあああああああああああああああああ。」



猫姫は鉄筒の右手に頭から直撃した。


尾瀬、単独走破

----------------------

討伐、まどわし花。必死に滝を登っている鯉。巨大熊。

捕獲、猫姫

出費、山小屋で一泊 ボウガンの矢、砲弾

----------------------

とぅびーこんてにゅーーー

ふだんはりんごジュース

たまーに、アルコール

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