1章 邂逅
新入生オリエンテーションでは単位や授業の取り方、卒業までの流れ等を大学で説明し、その後近くの観光地へ1泊2日のスケジュールだ。
既にホテルに着いて、荷物を置くために部屋へ向かっている。
「なぁ、ちょっと」
「ん?」
不意に2人組の男に話しかけられた。
「あんた、(名前)だろ」
「そうだけど」
一人はスポーツマン風の男だ、初対面だっていうのに妙に馴れ馴れしく話してくる
「俺は(名前)って言うんだ。おんなじ部屋に泊まる」
「ああ、なるほど」
「僕は(名前)よろしく」
もう一人の(名前)という奴は礼儀正しく、線の細い男だった。
「俺達みんな205号室だろ。一緒に行こうぜ」
「ああ、いいね。そうしてくれると助かるよ。迷ってたんだ。」
「え、お前も?なんだよ、大人3人揃って迷子かよ。どうすっか?」
「フロントに聞きに行こうってさっき言ったじゃない。」
「そうだっけ、じゃあそうすっか」
この頭の悪そうなやつと頭の良さそうなやつ2人とのこの頭の悪い会話が大学に入って初めての会話だった。
「この後何があるんだっけ?」
「飯がいいな」
「同じ科の新入生全員で集まって親睦会をやるらしい」
「そうだったね、あんまり話すの得意じゃないからこういう催しがあるのは助かるな」
「同感」
「結構女子もレベル高そうだし、何人とお近づきになれるか楽しみだぜ」
「男女で半々くらい人数いるからおこぼれは無さそうだな。」
まぁ彼女ができるなんて俺にとっちゃ夢のまた夢だろうけど
「ほら、時間だから行こう」