プロローグ
その日、空は真っ赤に染まっていた。まるで空全体が燃えているように。いや、実際に燃えていた。熱い火の粉が降り注ぎ、人々は我先にと逃げ惑う。叫び声、子供の名前を呼ぶ声、どの声も爆発音により全く何も聞こえない。
「なんで?」「どうしてこんな目に遭うの?」「どうしてこんな酷いことを?」「怖い?」「怖いよ。」「怖いね。」「誰か、助けて。」
わけがわからなかった。つい数分前までは綺麗な明かりが見えて、太陽の匂いがする毛布に包まれていたのに。心地よい揺れの中、眠りについたと思ったのに・・・。今は激しい波が襲う。息が苦しい。目が回る。言葉にすることもできず、ただただ落ち着くのを待つしかなかった。
逃げ惑う人々の声は次第に聞こえなくなり、辺りは恐ろしいほど静かになった。木々が焼け焦げた匂い、動物の死体。走る先々に人間の死体が目につく。立っている人影はたったの二つ。二つの人影は正面の塊に向かって行った。塊の正体は一人の人間が操る複数の魔物。二つの人影は黄金の精霊を二体放った。黄金の精霊が複数の魔物を包みこみ、消えた。
その時の出来事を全て見ていて記憶していたのは、たった一人の子供だけだった・・・。
にくい、ニクイ、憎い!奴らが憎い!もうこの世の全てを終わらせてしまいたい。なんで僕なんだ!どうして僕だけが、、、。ああ、ダメだ。頭は働いても体が言うことを聞かない。指一本も動かせないなんて、始まってもいないのにもう終わったのかな。少しだけ、、、少しだけ寝よう。そうすればきっと――――
息を切らして走る。見つからない。どうしてもあと一つが見つからない・・・




